「タイヤがたくさんありすぎて、どれを選べば良いかわからない…」とタイヤ選びに迷っているあなたに向けて、排気量・乗り方の2つのカテゴリーごとに、スペシャルパーツ忠男(以下、SP忠男)で人気があるタイヤの銘柄をご紹介! 実際にタイヤ交換の現場で見たお仕事風景や、タイヤ交換に関するちょっとマニアックな質問もぶつけてみました。

文・写真:大冨 涼/取材協力:スペシャルパーツ忠男 浅草本店
▶▶▶写真はこちら|SP忠男で『売れてるタイヤ』8選(41枚)

画像: スペシャルパーツ忠男 浅草本店 東京都台東区花川戸2丁目17−10 営業時間:9時30分~19時(平日)、9時30分~18時(土日祝) 定休日:毎週水曜日、第1,3,5火曜日

スペシャルパーツ忠男 浅草本店

東京都台東区花川戸2丁目17−10
営業時間:9時30分~19時(平日)、9時30分~18時(土日祝)
定休日:毎週水曜日、第1,3,5火曜日

「気持ちイー!」のキャッチフレーズでお馴染み、東京都浅草に店舗を構えるスペシャルパーツ忠男(以下、SP忠男)。オリジナルマフラーメーカーとして誰もが知る名店ですが、実はバイク用タイヤの専門店でもあるのです。

ちなみに同店では、ブランドや銘柄を問わずサイズ別で価格が決まっているため、銘柄ごとの価格にとらわれず、乗り方や好みにあったタイヤを選びやすいのがポイントです。

画像: 店長・小山内綾さん

店長・小山内綾さん

ライトウェイト・ミドルクラスで人気のタイヤ

▶ツーリングメイン

画像: MICHELIN Power 6 (ミシュラン パワー6)

MICHELIN Power 6
(ミシュラン パワー6)

スポーツタイヤに分類されますが、250ccクラスでも十分にツーリングの要素を満たしてくれる懐の深さが魅力です。

ミドルクラスのツーリングユーザーから今一番選ばれている大人気モデルで、低温時からしっかりとしたグリップ力を発揮します。万一ツーリング中に雨に降られても、くねくねしたワインディングを走るのが怖くないくらい、ウェット性能も高いです。

▶通勤メイン

画像: MICHELIN Road 6 (ミシュラン ロード6)

MICHELIN Road 6
(ミシュラン ロード6)

天候を問わず毎日乗るライダーには、圧倒的な耐久性(ライフ)と乗り心地を誇る「ロード6」がおすすめ。雨の日でも、まるでレインタイヤのように安心して走れる「雨の日の最強タイヤ」です。

ちなみに、月刊『オートバイ』・webオートバイで長年テスターを務めてくださっている太田安治さんも「乗り心地が良くて街乗りもツーリングもぴったり!」と舌を巻くほど。

ただ、「車両重量が180kg以下のバイクは『ロード5』の方が柔らかいから良いかも!」とも仰っていました。

▶スポーツメイン

画像: BRIDGESTONE BATTLAX RACING STREET S23 (ブリヂストン バトラックス レーシングストリート S23)

BRIDGESTONE BATTLAX RACING STREET S23
(ブリヂストン バトラックス レーシングストリート S23)

「とにかく旋回性が高くて、バイクが楽しくなる!」と店長・小山内さんが絶賛。タイヤが勝手に曲がる方向へ誘導してくれるような感覚があり、自分が上手くなったように感じさせてくれる1本とのこと。スポーツバイクとの相性が良いことは間違いありませんね。

ヘビーウェイト・メガスポーツに人気のタイヤ

▶ツーリング・通勤メイン

画像: MICHELIN Road 6 GT (ミシュラン ロード6 GT)

MICHELIN Road 6 GT
(ミシュラン ロード6 GT)

車重のあるメガスポーツには、カーカスが1枚追加されて剛性が高められた「GT」がベスト。タンデムでも安心の高速安定性と長寿命を誇ります。ハヤブサや、CB1300シリーズなど、車重220kgを超えるバイクにおすすめです。

▶スポーツメイン

画像: BRIDGESTONE BATTLAX RACING STREET S23、RS12 (ブリヂストン バトラックスレーシングストリートS23、RS12)

BRIDGESTONE BATTLAX RACING STREET S23、RS12
(ブリヂストン バトラックスレーシングストリートS23、RS12)

画像: (左)MICHELIN Power GP2(ミシュラン パワーGP2) (右)PIRELLI DIABLO SUPERCORSA SP V4(ピレリ ディアブロスーパーコルサ SP V4)

(左)MICHELIN Power GP2(ミシュラン パワーGP2)
(右)PIRELLI DIABLO SUPERCORSA SP V4(ピレリ ディアブロスーパーコルサ SP V4)

大型バイクになると、やはりそのハイパワーに負けない剛性感とグリップ力が欲しい…そんな人たちに人気なのがこの4モデルです。

ちなみに一番人気はここでもブリヂストンのS23。より自分で操る感覚が好きならRS12、硬めのフィーリングが好きならミシュラン・パワーGP2など、好みが分かれる面白いカテゴリーです。

店長・小山内さんの一言
私は個人的にRS12が好みでした! 今回BSのタイヤは2銘柄ピックアップしましたが、街乗りメインであればより温度依存の低い、S23の方が良いかと思います。

クローズドコースでタイムを出したい人(おまけ)

本格的にサーキットのタイムを狙うなら、ピレリの「DIABLO SUPERCORSA V4 SC」(ディアブロ スーパーコルサ V4 SC)が圧倒的なシェアを誇ります。私もサーキット走行で使用しましたが、スポーツタイヤとの違いにカルチャーショックを受けました。

ほかにも、モトジムカーナでは旧レギュレーションの名残もあり、ダンロップ製のハイグリップ「SPORTMAX Q5(スポーツマックス Q5)」を使っている人がいます。現在はスパコル勢の方が若干多いようです。

使用されている皆さんの所感で共通していた「Q5」のメリットは、“「Q5」は熱の入りがいいので冬場や雨でも安心”、逆にデメリットは“何回か使用したときに露骨にグリップ感が落ちる気がする”というものでした。

ただ、ハイグリップタイヤを一般道で使用するにはツーリングタイヤと比べてリスクがあったり、値段が高いのに摩耗しやすいなんていうデメリットもありますから、おすすめしません。見た目はかっこいいけどね!

のぞき見! プロのタイヤ交換術

せっかくSP忠男にタイヤを交換しにきたので、実際の交換作業を見せていただきました。

画像: ▲同時に2台まで店内で作業ができるようになっています。

▲同時に2台まで店内で作業ができるようになっています。

まずは前後タイヤを浮かせます。

画像3: SP忠男で『売れてるタイヤ』8選! 排気量・使い方別に紹介|タイヤ交換に関するQ&A「新品タイヤにパーツクリーナーってアリ?」
画像4: SP忠男で『売れてるタイヤ』8選! 排気量・使い方別に紹介|タイヤ交換に関するQ&A「新品タイヤにパーツクリーナーってアリ?」

撮影車はセンタースタンドがついているモデルなので、リアはセンタースタンドで浮かせます。フロントは写真のとおり、「バイクハンガー」なるものを使用し、車体を吊るし上げています。布は頑丈なステムまわりに引っかけられていました。

ブレーキキャリパーを外したら、アクスルシャフトを抜いてタイヤをホイールごと外します。外したキャリパーはひも付きの巾着に入れられ、ぶらぶらにならないように吊り下げられています。さすが、プロの業!

次に、専用の機械でホイールから古いタイヤを外し、新品のタイヤを組付けます。

写真の機械はビードブレーカーと組付けが自動でできる優れもの。下のペダル操作でそれぞれの動作を行います。

ホイールとタイヤの間に差し込む金属部分には、あらかじめリムガードの役割を果たしてくれるカバーがついているので、ホイールを傷つけてしまう心配はありません。

古いタイヤが外れたら、新品タイヤを組み付けます。

画像: ▲新品タイヤを履かせる前のワックスがけ。滑りをよくしてホイールにタイヤを組みやすくします。

▲新品タイヤを履かせる前のワックスがけ。滑りをよくしてホイールにタイヤを組みやすくします。

画像: ▲組付け終えたらエアを入れてビードをあげます。「パンッ!!!!」という強めの破裂音がしたらOK。ちゃんとビードが上がった証拠です。

▲組付け終えたらエアを入れてビードをあげます。「パンッ!!!!」という強めの破裂音がしたらOK。ちゃんとビードが上がった証拠です。

組み終えたタイヤは「ホイールバランサー」という機械にくっつけ、重心バランスを測ります。測定結果が出たら、軽い部分に「ウェイト」を貼り付けて全体のバランスを整えます。

最後は組付け。その前に、足まわり全般を点検・掃除してくださいました。

また、車両ごとに異なる組付け時の適正トルクは、事前に把握してメモに控えているのだとか。人気モデルなどはオーダーが多いので、いつの間にか規定トルクを覚えているみたいですよ。

▶プロの裏話:メーカーごとの「味付け」の違い

実は同じカテゴリーのタイヤでも、タイヤの形や素材の硬さが全く異なっていて、組付け前のタイヤを押してみると違いがよくわかります。

画像: ▶プロの裏話:メーカーごとの「味付け」の違い

ミシュランやピレリはゴムが柔らかくて「しっとり・ぷにぷに」系。一方、ダンロップは反発力が強く、ホイールに組付ける時に元に戻ろうとする力が凄いので、手組みではプロでも一苦労するそう。

また、ブリヂストンなど国産メーカーは日本の道や環境に合わせて開発されているためか、日本のライダーが乗った時に一番しっくりくる仕様になっている印象なのだとか。

店長・小山内さんの一言
圧倒的な「乗り心地最強(ラグジュアリー感)」を求めるならブリヂストンのT32がおすすめ! まるで高級サスペンションに換えたかのようにしなやかで、タイヤだけでこんなに乗り味が変わるんだ…と感動した記憶があります。

タイヤの話からちょい脱線? 店長に聞くお仕事Q&A

Q. タイヤチェンジャー(機械)と手組み、何が違うんですか?

画像1: タイヤの話からちょい脱線? 店長に聞くお仕事Q&A

小山内さん:昔は手組みだったみたいですが、現在は基本的に、すべてチェンジャーを使っています。最新のチェンジャーは力がいらないだけでなく、アームの強度が高く、リムカバーもついているため、ホイールを傷つけない仕組みになっているんです。手組みは機械が壊れた時などの緊急時にするくらいで、大切なホイールを傷つけないよう丁寧に行っています。


Q. 今までで一番組むのが大変だったタイヤは?

画像2: タイヤの話からちょい脱線? 店長に聞くお仕事Q&A

小山内さん:トライアンフ「ロケット3」などに入る「240/50-16」のような、極端に太くて扁平率が低いタイヤは、やっぱり硬くて難しいですね。人の手ではちょっともう組めないんじゃないかって(笑)チェンジャーを使っても、かなり慎重に行います。


Q. タイヤを外した時、チェックしているポイントは?

画像3: タイヤの話からちょい脱線? 店長に聞くお仕事Q&A

小山内さん:ホイールベアリングのガタつき、オイルシールの潰れ、ブレーキパッドの残量、チェーンの伸び具合など、「外から見えにくい足まわり全般」は必ずチェックしています。

過去には、外した瞬間に内部のハブダンパーが粉々に崩れ落ちてきた……なんて驚きのケースもあったそう。タイヤを交換だけのはずが、その場で緊急入院(お預かり)になり、修理して後日引き取りとなったそうです。


Q. 作業中、一番神経を使う部分は?

画像4: タイヤの話からちょい脱線? 店長に聞くお仕事Q&A

小山内さん:作業自体はもちろんですが、何より「お客様の命を乗せるバイクに触れている」という責任感です。特にブレーキ周りの組み忘れや締め忘れは重大事故に直結します。ですから、トルク管理の徹底や伝票への記載を通じたダブルチェックなど、極度の緊張感を持って安全確認を行っています。

SP忠男の工夫:各部ボルトやナットの締め忘れを防止するため、タイヤ交換の際に締めた箇所を伝票にチェックして、作業員1人でダブルチェックができる仕組みをつくっています。


Q. 新品タイヤにパーツクリーナーかけるのってダメ?

画像5: タイヤの話からちょい脱線? 店長に聞くお仕事Q&A

小山内さん:「おすすめです」とは言えませんが、オーナーさんによっては「パーツクリーナーをかけて欲しい」と仰る方もいらっしゃるので、そういった場合には意見を尊重します。

私たちは作業に当たってグローブをはめているのですが、気をつけていても、そこにグリスや油分が付着していることがあります。組付けた後、万一タイヤにグリスが付着してしまっていたら危険ですから、それを洗い流す目的で、布にパーツクリーナーを塗布して拭くことが多いです。

明日からできる! プロからの安全アドバイス

その1.セルフチェックは「月1回の空気圧」から!

画像1: 明日からできる! プロからの安全アドバイス

最低でも月に1回したいのは、空気圧のチェックです。空気を入れるためにタイヤ全体をぐるっと見渡すことで、「あれ?釘が刺さってる」「変な減り方をしてる」と、手遅れになる前に異常に気がつくことが大切です。

また、空気圧はメーカー指定値が基本ですが、1人乗りで、かつ街乗りがメインなら10%ほど抜いたほうが乗り心地が良くなることもあります。もちろん、タイヤの銘柄やライダーの体重、好みによって変わるものなので、空気圧で迷ったら私たちに相談してくださいね。(小山内さん)

その2.交換時期のサインは「スリップサイン」だけじゃない

画像2: 明日からできる! プロからの安全アドバイス

タイヤを撫でてみてゴツゴツ(偏摩耗)していたり、空気圧は正常なのに、乗っていて「フロントが取られる」「切れ込む」と違和感を覚えたら、溝が残っていても交換時期です。

また、メーカー推奨は「製造から10年」ですが、年数が経てば経つほどゴムは確実に硬化しています。ツーリングを楽しみたいなら、例え溝が残っていたとしても、「安全」と「走る楽しさ」のために、早めの交換をおすすめします。(小山内さん)

画像: ▲「ご相談、いつでもお待ちしております!」と仰る店長・小山内さん。ちなみに持っているヘルメットはアライから発売されている 「RX-7X SP TADAO」 という忠さんのレプリカヘルメット!店舗でも予約ができるそうです!

▲「ご相談、いつでもお待ちしております!」と仰る店長・小山内さん。ちなみに持っているヘルメットはアライから発売されている「RX-7X SP TADAO」という忠さんのレプリカヘルメット!店舗でも予約ができるそうです!

バイクの性格とライダーの用途がピタリと一致したタイヤに出会うと、愛車に乗るのがもっと楽しくなります。タイヤ選びに迷ったら、ぜひ一度、お店で「どんな風に走りたいか」を相談してみてください!

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