まとめ:Heritage&Legends編集部
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試乗は元カワサキのテストライダー・齋藤昇司さんにお付き合いいただいた!

左は元カワサキのテストライダーで、現在はケイファクトリーのパーツ開発やデモバイクの確認を行う齋藤昇司さん(右は筆者・小川 勤)。齋藤さんは1953年生まれ、1972年にカワサキに入社。柔らかな笑顔だがバイクの評価は厳格。超ジェントルな大ベテランなのだ。
育む感覚のCBと調律するイメージのZ
CB1000Fに残されていた余白は完全に埋まっていた。そしてZ900RS CAFEはバランスを向上させていた──。
CB&Zの黄金コンビは、ニッポンのネオクラシックという同じカテゴリーに属しながら、カスタムへの期待感は驚くほど異なる。初のフルチェンジとなったZ900RS CAFE(以下、Z)は、メーカーが磨き上げた完成系。カスタムはその高いバランスを調律するイメージ。一方のCB1000F(以下、CB)は、あえて手を入れる余白が残されている。だからライダーはカスタムしたくなるし、カスタムによって初めて見えてくる世界が広がっている。
「やっぱり俺はZだな」。齋藤さんは噛み締めるようにそう呟く。
その2026年モデルは、電子制御スロットルを採用し、双方向シフターを装備。ミッションをクロス化し、カムシャフトを変更するなどして5PSアップを実現し、CBが発売されたことへの警戒感を持ちつつ、このカテゴリーでは絶対に負けないという強い意志を感じる進化を果たしているのだ。見た目は大きく変わっていない。しかし、中身は全くの別物だ。
ケイファクトリーはこの’26年型Zに早速、チタンフルエキゾーストを開発した。「前モデルのままの仕様でいけるかとも思ったのですが、ダメでしたね。データを見てエンジンが進化し、燃調や制御が賢くなっていることを実感しました」と言うのは、ケイファクトリー代表の桑原さん。

▲バイクをコントロール下に置いた、しっかりと荷重のかかった齋藤さんの走り。「やはりCBよりZが好き」と齋藤さん。ケイファクトリーのデモバイクを乗りやすい方向へと導いていく。
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完成度の高いZをマフラーで更なる高みへ
「Zは新型になることで熟成し、さらにライダーの意思通りに動くバイクになりました。そしてカスタムすることで、さらに落ち着きが増し、ライダーとの対話が自然にできるようになります。CBは軽く足着きがよく、確かにそれは強みなのですがもう少しビシッとさせたい。それをカスタムで叶えるイメージです」と齋藤さん。
大柄な齋藤さんがそう感じるのは当然だろう。身長165cmの筆者でもCBはシートが低すぎるからだ。Zの中でもカフェは特殊なポジションだが、その乗り味はとても優雅。フルエキゾーストで大幅に軽くなった車体は、ブレーキやスロットル操作はもちろん、ライダーの荷重移動にレスポンスよく反応。Zはライダーが操る醍醐味に溢れ、カスタムでそのフィーリングが大きく向上する。CBはバイクが先行して軽く曲がっていくが、どこか手応えがないのだ。
ところで、今回のZのフルチェンジで期待できるのが、中古車市場の活性化だ。2017年末の登場以来、大人気のZ900RSシリーズは中古車も豊富。ベース車を吟味すれば、自分だけの1台を目指しやすい。ケイファクトリーのHPを眺めながら、膨大なパーツを組み合わせて妄想を始めるのも楽しい!
K-FACTORY Z900RS CAFE
2026年モデルのバランスを向上させる! ゴールドのフルエキゾースト



▲スターティングゴールドの焼き色が施されたCLR-RG+(プラス)チタンフルエキ ヘキサゴンサイレンサーJMCA認証(’26年~)、価格は37万4000円。その他、ブルーの焼き色付きフルエキやエキパイのみも用意する。


▲ラジエターサイドカバー タイプII(2万8600円)。アルミポリッシュのほかにブラックアルマイト仕上げも用意。エッチング加工で仕上げたステンレス製のラジエターコアガード(1万9800~2万2000円)は4種から選べる。写真はケイファクトリーのロゴをあしらったタイプC。ほかに同社ロゴが入ったタイプA、無地のステンレスとブラック仕様も選べる。

▲エンジンハンガーセット・リヤ用(5万2800円)とチェンジシャフトホルダー付きフロントスプロケットカバー(2万8600円)には、メタリックシルバーとブラックメタリックの2種類がある。

▲ジュラルミン削り出しのハンドルクランプ(1万450円)は、メタリックシルバーとブラックメタリックの2種類から選べる。常に視界に入るコクピットに高級感を与えることができるアイテムだ。

▲フレームのピボット部をカバーするフレームプラグ(7150円)は、フレームホールへの埃や水の侵入を防ぐアイテムだ。リザーバータンクキャップ M-N(5720円)は、ドレスアップに最適だ。

▲万が一の立ちゴケや転倒時に、愛車のキズを最小限に抑えてくれるジュラコン製のフロントアクスルスライダー(9900円)。ほかにエンジンスライダー(1万2980円)もラインナップしている。
キビキビと走るCBへ! カスタムで激変
ケイファクトリーがその発売からわずか3日で仕上げたフルカスタムのCBは、キビキビと峠を駆け抜ける。もう一台のスリップオンマフラーが装着されたライトカスタムもポジションが整えられ、バイクをひとまわり小さく感じさせる。
確かにCBの乗りやすさと足つきの良さは大きな魅力だ。ただ全体の方向性はキャリアの浅いライダーに向けて振られすぎており、筆者は走る度に「もう少し刺激がほしい」と思っていたのだ。そして、試乗の度にカスタムを妄想し、今その答えがここにある。
「突貫で仕上げたのはファンのワクワク感を刺激するため。盆栽でもいい、見て磨いて楽しいCBを作りたかったんです。リヤタイヤは200サイズの『あいつとララバイ』仕様です。走り出してもよかった。奇跡のバランスです(笑)。ホンダはこのCBに、あえて余白を残しています。それをカスタムで埋めていく。実は今回のボルトオンパーツのほとんどは、ホンダドリーム店でも購入できるんです」と桑原さん。

▲フルカスタムCBを駆る齋藤さん。200サイズの極太タイヤを感じさせない軽快な走り。ポジションがコンパクトになりホールド感も向上。「CBはカスタムで性能を発揮する」とも齋藤さんは言う。
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K-FACTORY CB1000F
メーカーが残したカスタムの余地を埋めるCBの楽しみ



▲マフラーはゴールドのCLR RG+(プラス)フルエキ:ヘキサゴンサイレンサーJMCA認定(41万8000円)のほかに、ブルーの焼き色が付いたCLR R+(プラス)フルエキ:オーバルサイレンサーもJMCA認定(37万4000円)も用意する。

▲スターティングゴールドの焼き色とヘキサゴン形状のサイレンサーから、ひと目でケイファクトリー製であることがわかるフルエキゾースト。スリップオンよりも甲高く、図太いエキゾーストノートを約束する。

▲前後ホイールにはBST製のカーボンを履き、フロントフォークやブレーキまわりはZRX用を流用する。キャリパーはブレンボ、ブレーキローターはサンスター製。タイヤはピレリ製スーパーコルサを装着。

▲フロントフォークを倒立から正立にできるトリプルツリーは現在開発中。アルミ削り出しで、オフセット量可変。低くなったハンドル、リヤ上がりの姿勢に対応し、トレール量を稼げる仕様だ。

▲ビッグサイズ目の字角パイプを使用したスイングアーム=ビッグサイズ新型目の字は26万4000円。リヤホイールは6.25×17で、200タイヤのサイドウォールの立ちが強く見えるのもカッコいい。

▲リヤサスペンションは純正よりも3㎜ほど長い他車種からの流用品。タイヤ径の拡大とリヤサスが伸びたことにより、かなりリヤ上がりの姿勢となっているが、その乗り味はかなり良いものとなった。


▲凝ったデザインと作りのライディングステップAタイプ(価格未定/近日発売予定)。カラーはメタリックシルバーとスーパーブラック。ハンドルと同時交換で楽しみたい。

▲ステンレス製のラジエターコアガード(1万9800〜2万3100円)は、エッチング加工を施した3種から選べる。写真はケイファクトリーロゴのタイプC。無地のステンレスとブラック仕様も用意する。

▲カーボン製のハンドルでコンパクトなポジションを実現する。低く構えることで加速時のホールド感が強まるし、高速道路の巡航時も楽になっていた。

▲フルエキゾーストに付属するアルミ削り出しのタンデムステップキット。アップタイプのマフラーのCLRRG+フルエキだが、きちんとタンデムを楽しむこともできるように設計されている。
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ビジョンを明確に持ち理想のCB&Zを築く
冒頭で齋藤さんが「やっぱり俺はZだな」と語ったのは、何もCBを否定しているわけではない。長年、カワサキのテストライダーとして様々なバイクを見てきたからこそ、ライダーの意思に忠実に応えるZに魅力を感じるのだ。
筆者もその感覚に近く、どうしてもバイクにスポーティな運動性を求めてしまう。クラシックスタイルのバイクにもブレーキやサスペンションの動きに高性能なレスポンスがほしくなってしまう。
一方でCBに感じるのはカスタムによる可能性の高さだ。ノーマルの穏やかさの中にカスタムによって引き出すことのできる余白が残され、ケイファクトリーの2台が様々な気づきをくれた。
まずはポジション。ノーマルは巨大なハンドルにかなり前目のステップを装着。そのポジションはどこかクルーザー的なのだが、ケイファクトリーの2台はともにノーマルよりコンパクトなポジションが与えられ、これがバイクをひとまわり小さく感じさせてくれ、スポーツネイキッド感を高める。
次に足まわり。サスペンションとブレーキを好みに仕上げれば、バイクを操作している感覚、さらに乗り心地や上質感も向上。長距離走行時の疲労感の軽減にも直結するはずだ。そしてマフラーはスリップオンとフルエキで、音質もハンドリングも異なるから慎重に選びたい。1度にカスタムを施すのは難しいから、ひとつずつ効果を確かめながら『こうしたい』を重ね合わせていくのが楽しそうだ。

▲ライトカスタムも効果あり。特にノーマルのどこかクルーザーのようなポジションをスポーティに整えると、フィーリングは驚くほど変化する。CBに運動性を求めるならポジションとリヤサスからだ。


▲ライトカスタム仕様のCBに装着されCSS(クラシックスタイルスリップオン) マフラー:JMCA認証(8万8000円)。写真は別売の耐熱スプレー「K-BLACK」で、ノーマルエキパイと膨張ボックスを塗装済みだ。
CB&Zの黄金コンビはカスタムの選択肢が豊富
そしてこのことを誰よりも理解しているのが桑原さんだ。Zにおいてはそのデビュー時から様々なパーツを手掛けてきた。倒立フロントフォークを正立にしたり、リヤのモノショックを2本ショックにしたりと、多くのフルカスタムしたデモバイクを製作。
すでにカスタムの選択肢は数えきれないほどあったはずだが、大きくバランスを向上させたニューZは、完成された世界観を崩さずに個性を与えることに止めた。その先はオーナーに委ねられている。
対してCBでは、多くのライダーが想像するだろうフルカスタムを、まずは具現化した。乗り味においても『奇跡』のバランスというが、それはケイファクトリーが積み上げてきた物作りの結晶とも言えるだろう。
興味深いのはCBもZも、どちらも最終的には『自分だけのオリジナル』という同じ方向に向かっているということだ。それは性能を追求した結果かもしれないし、美しさを追求した結果かもしれない。あるいはガレージに佇む姿を眺め、癒される時間を満たすためでもいい。

▲ZもCBも昔からのファンだけが乗るバイクではない。「このスタイルが好き」、そんな気軽な気持ちで乗り始めて、カスタムで自分だけの一台を築いてほしい。
CB&Zの黄金コンビが、発売直後から様々な世代やキャリアのライダーから支持されるのは、もはや懐かしいからではない。多くのライダーの価値観を受け入れ、カスタムでそれを反映することができるからだ。
ライダーをカスタムに誘い、育んでいく楽しさを味わえるCBと、完成度の高さをカスタムでさらに飛躍させるZ。今回試乗したケイファクトリーの2台のカスタムは、その本質の違いを鮮やかに表現していたのだった。
取材協力
レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部








