日本のオートバイ用インカムを牽引する、国内シェアNo.1ブランドの「B+COM(ビーコム)」をはじめ、バイクライフに役立つ便利で快適なアイテムで人気を博す株式会社サイン・ハウス。同社の二輪事業を統括する取締役の新井敬史さんにブランドの展望を聞いた。

文:齋藤春子 写真:松川 忍
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株式会社サイン・ハウス

画像: 神奈川県川崎市中原区中丸子13-2 N棟11階 TEL.044-982-3788 サイン・ハウスHP

神奈川県川崎市中原区中丸子13-2 N棟11階
TEL.044-982-3788 
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株式会社サイン・ハウス 取締役事業推進本部 第1営業部 部長

新井敬史さん

画像1: 〈インタビュー〉株式会社サイン・ハウス 取締役部長 新井敬史さん|自分達が作ったことを自慢できる商品を作り続けたい【ブランドの歴史】

1969年生まれ。四輪メーカーとゴルフ業界の営業、観光バス運転手を経て2004年に株式会社サイン・ハウスに入社。同社の二輪用品を最も熟知する取締役として全国を飛び回る。現在の走行可能な愛車はCBR1000RR-RとAPE100。

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波乱万丈の輸入車販売からサイン・ハウスの歴史は始まった

──サイン・ハウスさんの設立は1987年。国内外の二輪用品・パーツを扱う専門商社として始まったのですよね?

「それが違うんですよ。弊社の企業沿革にはそう記載されていますが、実際は、元世界GPライダーのロベルト・ガッリーナ氏が立ち上げた『ガリーナ』というイタリアの車輌メーカーがありまして、そのガリーナの輸入販売が最初の事業だったんです。ガリーナはスズキさんからエンジンの供給を受け、フレームやシャシーをハンドメイドで製作するような、本当に小さなメーカーでしたが、当時、世界グランプリと一緒に開催されていた、シングルエンジンによるレースに参戦していたんですね。しかもそのせいで、うちが日本での販売契約を結んだにも関わらず、肝心の車輌が一向に届かなかったんです(笑)。なぜなら週末になると、スタッフみんながレース参戦のために、サーキットに行ってしまうからです。しかも当時は〝コンチネンタルサーカス〟なんて呼び名があったくらい、ヨーロッパ中を大移動する世界GPと併催レースですから、一度出たら何週間も帰ってこないんですよ。サインハウスの創設者は白松和豊というのですが、車輌を待ちかねた白松がイタリアまで飛ぶと、『どうせ会社にいてもやることないんだから、カズも一緒に来い』と言われ、急遽メカニックとして、世界GPを一緒に転戦することになったそうです」

──お話がどんどん予想外のところに展開していくので、驚いています(笑)。

「ですよね(笑)。でもそこで白松は、サイン・ハウスの名を皆さんに知っていただく最初のきっかけとなった、イタリア製高性能ボルト『ポジポリーニ』のステファノ社長と顔見知りになりました。当時のポジポリーニは、フェラーリやポルシェといったスーパーカーや、二輪レースのワークスマシンなどに使われていましたが、日本ではまだ無名のブランドでした。白松は、ポジポリーニのチタンボルトを軽量化とドレスアップを兼ねるカスタムパーツとして紹介すれば、日本のライダーも絶対に喜ぶはずだと思いついたんですね。ただ当時は、とにかくガリーナ車の完成が優先事項だったので、しばらくガリーナ社で車輌製作に励んだそうです。うちの創業年から、ガリーナの国内販売が始まる1990年まで時間があいたのは、そういう事情なんですよ」

国内外の二輪用パーツを取扱いオリジナル商品の開発へ

──サインハウスさんの最初のヒット商品はポジポリーニだったのですか?

「そうですね。ただインターネットなんてない、通販はFAXや現金書留を使う時代ですから、最初はかなり苦労したと聞きます。でも、ちょうど二輪用品の量販店さんが増え始めたタイミングでもあったんですよ。ライコランドさんや、今の2りんかんさんであるドライバースタンドさんが、まとまった量のポジポリーニを陳列してくれるようになり、そこから一気に知名度と販売量が増えて、今では当たり前になったカラーボルトをドレスアップパーツに使う文化が生まれました。そうして量販店さんとのお付き合いが増えるにつれて、輸入商社業と並行して国内外のすぐれた二輪用品の卸売業を始め、どんどん会社の規模も大きくなっていきました。例えば、二輪業界でうちが初めて輸入販売元となった、スパークプラグの『スプリットファイア』の取扱い開始もこの頃。取扱い販売量の大幅な増加に応じて、1997年には物流センターも開設しました。それも佐川急便さんの物流センターの中に作り、出荷作業を佐川さんにお任せすることで、コストダウンを計ったんです。今でこそECビジネスで当たり前の出荷作業のアウトソースですが、二輪業界で取り入れたのは、うちがかなり先駆けだったと思います」

──ビジネススタイルも、販売商品も、「先駆け」という言葉は、サイン・ハウスさんのキーワードのように感じます。

「それも創業者の白松が大好きだったんですよ。『人と同じことをしていたら勝てない。だから次に何をするかを決めるときは、そんなのは無理だと10人中10人に言われることをやるんだ』とよく言っていました。だからほぼ失敗の連続ですけど、それが当たったときは、僕達の会社規模では普通はできないビジネスが成り立つんです。また、白松はかなり早くからPRの重要性を強く認識していて『知ってもらえなければ買ってもらえない』と、当時は本当にPRにお金をかけていました。いろんなメーカーさんにはよく『どんだけ広告宣伝費を使ってるの⁉』と聞かれましたね(笑)」

──2006年には、初のオリジナル商品としてオートバイ専用設計デバイスホルダー『マウントシステム』を発売されます。アルミ削り出しの美しさと存在感、ホルダー・アーム・ベースの3つのパーツを自由に組み合わせ、車種やデバイスを選ばずに取り付けられる合理性など、かなり先進的な商品でしたよね?

「コストだけ考えたら、金型を作って樹脂成形するのがいちばん価格を抑えられますが、それではいかんせん格好悪い。オートバイはアウトドアで乗るものだから耐久性も重要だし、防振対策も必要でしたから、当時の開発スタッフがゴム製のボールジョイントを使い、パーツを3つに分けることを思いつきました。アルミ削り出しにしたのはデザイン的な理由であり、耐候性の維持やフレキシブルに動かせるメリットもありました。オートバイ用となると雨対策も必須なので、防滴機能を持ったファスナー式のウォータープルーフバッグも作ったんです。現在も似たような商品はいっぱいありますが、『これを最初に考えたのは我々だぜ』というのは世界中に言いたい(笑)。結局、ポジポリーニの時と一緒で、あれば便利だねとお客さんに共感してもらえる商品を世に出して、今までにないマーケットを広げ、文化を作る。そういうことを、僕達はずっとやってきたと思います」

従来品をさらにブラッシュアップした“アルミ削り出し”のスマートフォンホルダー

「MOUNT SYSTEM Second」

サイン・ハウス初のオリジナルブランドとして2006年に誕生したバイク用デバイスホルダー「MOUNT SYSTEM」が、2025年10月に「MOUNT SYSTEM Second」として新たに登場。従来の3パーツ構成を見直し、ベースパーツ+スマートフォンホルダーのシンプルな組み合わせで、より幅広い車種に対応。従来はオプションだった振動抑制機能を標準装備し、「タフで、強く、美しい」コンセプトはそのままに、シルバー&ブラックの2色展開となった。

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日本メーカーで初めてのオートバイ用インカム誕生

──その姿勢が、2008年に発売された日本メーカーが手掛ける初の高性能ブルートゥースワイヤレスインカム「B+COM」の開発に繋がったわけですね。

「まさにその通りです。B+COMの開発は、当時は毎年全員参加で行われていた社員ツーリングで、走行中に会話できるコミュニケーションツールが欲しいよね、ってとこから始まったんですよ。特小無線やトランシーバーなどの通信機器を試したものの、ほぼ100%使えなかったんです。一方通行のやり取りしかできなかったり、人数が増えたり、通話距離が離れたら全然ダメ。それに何より音が悪くて、まず会話が成立しませんでした。そんな中、1つのチップで3つのチャンネルを制御できるブルートゥースチップが登場したんですね。うちの白松はデジタルが大好きで、チャンネルの1つを音声処理、つまりはノイズキャセルに使えば、ちゃんと良い音で聞こえるステレオサウンドのインカムが作れるんじゃないか、と思いついたわけです」

──B+COMの音質の良さは、初代モデルの発想から始まっていたのですね。そして今やインカムはバイクライフに欠かせない存在でなり、B+COMは国内シェアナンバーワンのトップブランドです。

「B+COMは、日本のライダーの皆さんに育ててもらった商品なんですよ。連続通話時間にしろ、ペアリングにしろ、たくさんのお客さんに怒られながら改善を重ねました。時にはクソミソに怒られもしましたが、クレームから逃げず誠実に向き合えば、そうしたお客さんはむしろうちのロイヤルカスタマーになってくれました。要望が多いものは『できないではなく、どうしたらできるかで考えてみよう』というのが僕達の開発姿勢ですし、それが実現できると、お客さんも本当に喜んでくれます。B+COMはシンメトリーデザインであることや、デバイスボタンの構造など、踏襲すべきアイデンティティがあるので、開発陣はかなり苦労が多いんですよ。1つの面に1つのボタンしか置かないルールも、工業製品として考えれば効率は悪い。でもそれを守り続けるのは、走行中の使い勝手が最優先だからです。オートバイ用インカムを名乗るからには、手間とか、効率とか、コストで考えるのではなく、オートバイに乗って走る時に一番最高のパフォーマンスを発揮する商品を作らなくちゃダメ、というのが僕達の考え方です」

国内シェア率No.1を誇る「B+COM」

2008年の「B+COM」誕生時のことを、新井さんはこう振り返る。「当時の多くのライダーにとって、バイクはエンジンの音を聞き、オイルの焼ける匂いを嗅ぎながら孤独に楽しむもの。どんなにB+COMの説明しても『そんなものいらない』と断られました。でも僕自身がインカムがどんなに便利で、バイクを楽しくしてくれるものかを実感していたので、携帯電話と同じように、1度使ってもらえば絶対に魅力が伝わると確信していましたね」


B+COMのラインアップに、8年ぶりのフルモデルチェンジを果たした「7X」シリーズが登場

プレミアムハイエンドモデル B+COM 7X EVOとハイエンドモデル B+COM 7X

メッシュ通信とオンライン通信を融合した新開発の通信方式「B+FLEX」を搭載し、パイオニア株式会社と共同開発した高音質サウンドも話題の「7Xシリーズ」。色とデザインで外観の変化を楽しめる多彩なフェイスプレートをオプションで用意する。

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エントリーモデル B+COM TALK

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ソロモデル B+COM PLAY ZERO

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