レポート:小川 勤 写真:南 孝幸
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ARAI
X-SNC
価格:6万9300円~7万9200円(税込)
発売:2026年9月上旬
ベストヘルメットに出会うのは、とても難しい
ヘルメット選びはとても難しい。フィット感は好みによって異なるし、重心バランスが生み出す被った際の挙動も、ヘルメットによって違う。また、乗るバイク、走るシチュエーション、つまり風の当たり方や速度によってもそのフィーリングは変わってくる。
筆者が普段使用するのは、アライヘルメットのRX-7XとツアークロスVの2つ。RX-7Xは言わずと知れた『最高峰のスポーツモデル』で、ツアークロスVは個人的には『高級モデル』という認識だ。
最高峰と高級。似ているようでこの2つは異なる。筆者のバイクライフ、さらに仕事においてどちらも必要なものなのだ。
使い分けは、RX-7Xはスポーツバイクに乗るときに使い、ツアークロスVはアドベンチャーはもちろん、バイザーを取り外してクラシックやクルーザー、そしてインカム使用時や長距離移動時も自然と手が伸びる。ただネイキッドは気分次第。RX-7Xを選ぶことも多い。
この2つのヘルメットで、趣味も仕事もカバーできる。だからこそ今回登場したX-SNCの立ち位置はとても気になっていた。いったいどんなライダーがターゲットなのだろう?その答えは、実際に使用するとすぐに明確になった。
X-SNCの立ち位置は、RX-7Xのストリートバージョン
X-SNCは、スポーティでアグレッシブな走りを好むストリートライダーに向けたモデルだという。

確かに近年のネイキッドはトレンドが大きく変わっている。日本の昔ながらのスタイルを受け継ぐモデルがある一方で、特に外車メーカーは個性的なモデル、いわゆるストリートファイターを続々とラインナップ。また、スーパースポーツからの乗り換え組を満足させるパフォーマンスを持っていることも多い。
『ネイキッド=穏やか』という時代ではなく、X-SNCがターゲットにするのは、そんな新しい時代のストリートスポーツの世界だ。
スポーティでアグレッシブ。ただし、スーパースポーツとは異なるスタイルでバイクを楽しむ。そんなライダーのために、X-SNCは生まれてきた。
アライヘルメットの進化をわかりやすく体感できる
ヘルメットの開発はとても難しい。様々なバイクやライダーはもちろん、その中には前述したような好みもあり、さらに季節や天候など、様々なことを考慮しなければならない。近年はインカム装着時の快適さを見据え、欧米に目を向ければ、航続距離は伸び、アベレージも上がっていく。
ただし、ヘルメットという制約の中で性能を劇的に向上させることは難しい。それでもアライヘルメットは小さな積み重ねを続け、『ライダーを護る』ための改良を重ねてきた。
X-SNCも様々な用途が考慮された上で開発された。RX-7Xと同じシェルを採用し、一目でアライヘルメットとわかる『卵型=エッグシェイプフォルム』を継承。RX-7Xのストリートバージョンと位置付けられているのも特徴で、性能と安全性をキープしつつ軽量化も実現。実際に2つのモデルを持ち比べてみると、わずか100gほどの差だというが、X-SNCの方が少し軽い。
今回の体験会は那須モータースポーツランドで開催され、メディアや販売店が参加。すでに試乗を終えた販売店の方々の声が会場に響く。「軽い」。「ベンチレーションの効果を感じやすい」。試乗を終えた皆の笑顔や明るい声が、X-SNCの性能を物語る。

衝撃をヘルメットの中に入れないための形状が、エッグシェイプフォルム。衝撃をかわす性能を追求し続け、安全に関することであればコストも時間も惜しまない。

衝撃をヘルメットの中に入れないための形状が、エッグシェイプフォルム。衝撃をかわす性能を追求し続け、安全に関することであればコストも時間も惜しまない。

衝撃をヘルメットの中に入れないための形状が、エッグシェイプフォルム。衝撃をかわす性能を追求し続け、安全に関することであればコストも時間も惜しまない。
実際に被ってみる。最初に感じたのは軽さよりもRX-7X譲りのタイトなフィット感。頭を入れた瞬間しっかりと包み込まれる。このフィーリングがあると、筆者は安心してスロットルを開けられる。
そして、被り心地はやはり軽い。走り出すとその感覚はより明確になり、まるで少し小さなヘルメットを被っているような気持ちになる。

今回試乗したバイクは、XJR1300とS1000R。昔ながらのネイキッドとストリートファイターだ。コースに合流するために少し大きめにスロットルを開けると、ヘルメットの中を風が抜けていく。エアキャッチダクトを開閉させるとその効果はすぐにわかる。

エアキャッチダクトは孔位置を見直し、開口部を広げ吸入効率を向上。アップライトポジションで時速80kmを想定した風洞テストで、RX-7Xに装着されるDF12比で約5倍もの空気流入量を実現している。
フロントのダクトはグローブをしていても簡単に開閉できるのがいい。シェル側の孔位置を見直して開口幅を広げ、吸気効率を高めた新型ダクトだ。マウスシャッター部分の節度はRX-7Xよりも高く、進化を感じるディテールの一つだ。

身体を動かしたり、伏せたり、色々と試してみる。その動きにストレスはない。もちろん、RX-7XやツアークロスVを使っていてもストレスは感じないが、X-SNCはその動きがより軽いのだ。RX-7XとASTRO-GXの間をカバーするモデルだが、その立ち位置はRX-7Xにかなり近い。

これからは、このX-SNCに手を伸ばす機会が増えそうだ。市街地やツーリング、長距離を試してアライヘルメットの進化を堪能しようと思う。
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