2気筒エンジンは低回転から豊かなトルクを発揮し、街乗りからツーリングまで軽快に対応。スポークホイールや美しいメッキパーツが所有感を高め、ゆったりと英国流モーターサイクルの魅力を
味わえる1台に仕上がっている。
文:小川 勤 写真:南 孝幸
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トライアンフ「Bonneville T100」インプレ(小川 勤)

TRIUMPH
Bonneville T100
総排気量:900cc
エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ並列2気筒
シート高:790mm
車両重量:228kg
価格:135万9000円
発売:2026年2月
英国気質を現代に繋ぐ正統派モダンクラシック
ボンネビルは、トライアンフにとって大切なアイコンだ。ボンネビルはトライアンフの歴史そのものであり、単なるロングセラーや懐古趣味に留まらない、現代に受け継ぐ英国モーターサイクルの象徴とも言える。
2026年モデルのボンネビルT100は、主に電子制御を刷新。しかし、その進化は性能追求のためのものでなく、ボンネビルがボンネビルであり続けるための進化である。
ライディングモードはロードとレインを搭載し、IMU連動のABSやトラクションコントロールを装備。この装備を見れば中身は近代的だ。しかし、走り出しても不思議なほど先鋭さを主張してこない。むしろ走り込んで感じるのは、ボンネビルが持つバイクらしさだ。スタイリングはミニマル、しかし中身は最新。進化の度にそのギャップは広がるが、ボンネビルらしさはむしろ増している。
ポジションは跨った瞬間に懐かしさを感じさせ、足つきも良好。T100は大型のモダンクラシックシリーズの中で、最も間口が広いモデル。実際に初の大型バイクに選ぶ方やリターンライダーも多いという。だからこそ、今回のアップデートも刺激や速さよりも、安心感や扱いやすさに重きが置かれている。

走り出すと神経質さがまるでない。適度なアップハンドルとリヤの低さが生む、どこかクルーザー的な雰囲気も安心感を強めている。ライダーが大きなアクションをしなくてもT100は素直に反応し、軽快に走る。
900㏄の並列2気筒エンジンは、270度位相のクランクが生み出す不等間隔爆発が持ち味。低中速で扱いやすく、回転を上げると小気味良いビート感と共に速さを見せる。まさに熟成の極みといえる完成度だ。

そして、そのオーソドックスな乗り味を下支えしているのが電子制御である。ロード&レインのモードは、切り替えればバイクの印象が変わるし、コーナリングABSやトラクションコントロールは積極的に使う制御ではないものの、ライダーが意識しない領域での安心感を高めてくれている。雨天時や冷感時、またはタイヤが減っているときなど、不安要素が強まるシーンで確実にライダーをサポートしてくれるに違いない。

細部にもボンネビルの思想は色濃く現れている。2限のスピード&タコメーター、キャブトンマ
フラー、美しい金属パーツ、水冷でありながら空冷っぽいフィンを設けたエンジン、そのすべて
がボンネビルに必須の装備として成り立っている。
進化したボンネビルT100は、速さを競うわけでも、スペックを誇示するわけでもない。それでも乗ると、なぜ長く愛されてきたのかが自然と理解できる。気負うことなく走り出せて、遠回りしたくなる。そして世代やキャリアを問わずに愛され続け、様々なファッションやライフスタイルにフィットする存在は、それほど多くない。
