文:横田和彦 写真:松川 忍
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ファンティック「STEALTH125」インプレ(横田和彦)

FANTIC
STEALTH125
2025年モデル
総排気量:124.66cc
エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ単気筒
シート高:810mm
車両重量:129kg(ガソリン抜き)
税込価格:96万円
クラスを超えた造りと走りが光るイタリアンネイキッド
ファンティックは、トライアルやオフロード分野で知られたイタリアの老舗ブランドだが、近年はMoto2でコンストラクターズタイトルを獲得するなど、ロードスポーツにも意欲的。その新たな展開を象徴するのが、ストリートファイターイメージのスポーツネイキッド、ステルス125。その内容は「上級モデルの凝縮版」という表現がふさわしいものだった。






まず目を引くのは、イタリア車らしい美しいシルエット。シャープで引き締まったフォルムは125ccとは思えない存在感がある。細部の作り込みも緻密で、スチール製トレリスフレームに鍛造アルミのサイドプレート、アルミ製スイングアームなど、車体構成は本格的。見た目の演出ではなく、走りのクオリティにまで踏み込んだ設計思想がうかがえる。
またがった瞬間の印象は、軽くて、めちゃめちゃコンパクトだというもの。ライダーとの距離感が近く、自然な一体感が得られる。走り出して感じるのはエンジンの完成度の高さだ。モトーリ・ミナレッリ製の水冷4スト単気筒は、幅広い回転域で最適なトルクを発揮する可変バルブタイミング機構を搭載。そのため発進加速は力強く、市街地でのストップ&ゴーでも扱いやすい。それでいてアクセルを開けていけば高回転まで滑らかに吹け上がる。その伸びやかさは、エンジンを回して走る楽しさにつながるものだ。

一定速度で走っていると、軽快さと安定感のバランスの良さが際立つ。軽い車体だけに動きは俊敏だが、ひとクラス上のモデルのような適度な落ち着きもあるので、流れの速い幹線道路でも遅れることなく、気分よく走ることができる。

ワインディングではハンドリングのレベルの高さが光る。ブレーキングで荷重をかけたときのスタビリティは抜群に高く、そこから向きを変える動きに曖昧さがない。タイヤからの接地感がしっかりと伝わってきて旋回中も安心。サスペンションの動きに節度があり、125ccクラスにありがちなチープさとは無縁。アクセルを積極的に開けながら、公道の速度域で操る楽しさをしっかり味わえる。

※試乗車はオリジナルのグラフィックを施してあります。
ステルス125は、単なる小排気量ネイキッドという表現では終わらないモデル。ボディデザイン、質感、エンジン、足まわりのすべてが高い水準でまとめられ、クラスの枠を超えた満足感をもたらしてくれる。
車体価格は高価だが、実車に触れ、走らせればその理由は理解できるはず。「所有する喜び」と「操る楽しさ」を高い次元で両立した、プレミアムな一台である。
