Photos : Teruyuki Hirano Text : Tomoya Ishibashi Arrangement : Tetsuya Sasaki, Tomoyuki Tomiyoshi
Special Thanks : SUZUKI, YOSHIMURA JAPAN, ASAKAWA SPEED
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YOSHIMURA MORIWAKI GSX1000(1983)各部装備・ディテール解説
10段のオイルクーラーをカウル部とフレーム部に装備する。

フォークトップにはプリロード調整機構とエアバルブが付く。上下ブラケットは削り出し。内側は軽量化のために肉抜きされている。

エンジンは1000ccまでというTTF-1規則によってGSX1000Sカタナがベースだ。この4バルブGSXを使って2年目。「上のパワーはあったけれどエンジンが重かった」と浅川さん(ヨシムラの当時メカニック)。

鈴鹿はこの年から高速すぎる最終コーナーにシケインを設けた。「シケインができてから1983年型は低中速での立ち上がり性能を重視した。それでも耐久用で150PS。スプリント用なら160PSは出る!」と当時オヤジさんは言っていた。
カムは鈴鹿専用。なお、このマシンはスターターやヘッドライトが外されたスプリント仕様となっているが、本体は8耐に仕様された車両である。
4into1の手曲げエグゾーストはチタンで、オヤジさんではなく弟子の浅川さんが曲げたもの。キャブはミクニVM33。「このキャブは張り付きやすいので、ピストン前側下に防止用の切り欠きを作ったんだけど、それが原因でスローが濃くなった」と浅川さん。雨用に小径のケーヒンCR29も用意していた。クロスミッションとクラッチはスズキ本社製の専用品。エンジンはドリルホールの嵐で、冷却フィンも薄くシェイプされ、各部は徹底的に削り込まれている。

マフラーはヨシムラサイクロン。モリワキ車はフォーサイトだ。

リヤサスペンションは“タイヤの滑り出しを感じやすい”という森脇さんの考えから2本ショックを採用している。ショックユニットはモリワキ流にソフトとハードの2種類のバネを組み合わせたカヤバ製。プリロードを上部のクリップで変え、ダンパー調整は伸び側のみでスプリングを外してロッドを回して調整する(4段と5段の2タイプがあった)。ヨシムラは1981、1982年とスズキフレームでモノショックのフルフローターだった。

キャスターを寝かせ、リヤを2本ショック、そしてフレーム剛性をあえて高く設定しないモリワキ流は、フロントに多く荷重しない、リヤ乗りをするマシンなのだ。事前テストではフロントまわりが振られ、フォークオフセット(トレール量の調整)やサスのセッティングを変更している。スイングアームはアルミで、補強がカワサキエンジンのモリワキ車とは異なる。
基本骨格を共通とするフレームは、フォークオフセットやスイングアームなどでそれぞれのエンジンに合わせてセッティングしていく方法を取った。タイヤは前後ダンロップで、リヤは3.75/6.50-18(まだバイアス時代だった)。ホイールは4.50-18。
リアディスクはベンチレーテッド。キャリパーともRGBからの流用だ。タイヤ交換時にはディスクがスイングアーム側に残るシステムを採用する。スプロケットはホイール側に付いたまま。

フロントフォークはカヤバのアンチダイブ付きΦ40mm。ブレーキキャリパーはロッキード(AP)とRGB用を耐久用に改良した専用のトキコの両方がテストされ、写真のマシンはトキコ(本番車はロッキード)が装着される。

ディスクはΦ310mm。フロントホイールはタイヤ交換時の作業性やモリワキフレームの関係から16inではなく18インチ(2.75幅)となった。このマシンはダイマグを装着するが、本番車は前後ともに5本スポークのカンパニョーロだった。フロントタイヤは3.25/4.50-18。また5分割式のフォークブレースは、後にヒット商品となるヨシムラ製スタビライザーの原形となる。

