文:太田安治/写真:南 孝幸
ヤマハ「WR125R ABS」インプレ(太田安治)

YAMAHA
WR125R ABS
総排気量:124cc
エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ単気筒
シート高:875mm
車両重量:138kg
発売日:2026年1月30日
税込価格:53万9000円
普段使いもダートも楽しみたいライダーに最適!
2025年12月に発売され、各メディアで「本格的なオフロード走行を楽しめる」と絶賛されているWR125R。とはいえ、このモデルは原付二種区分。ストリートコミューターとしての適性を気にするライダーも多いはずだ。
WR125Rのベースとなっているのは輸出仕様のWR155R。ストローク量215mmの正立フォーク、ホイールトラベル187mmのリンク式リアサスにそれぞれ21インチ、18インチの大径ホイールを装着したフルサイズモデルで、車体はピンク色のナンバープレートが似つかわしくないほど大きい。
シート高が875mmあるだけにアイポイントも高く、跨がった感触は230~250ccクラスのオフロード車と同等。大柄なライダーでも窮屈さはない。
引き換えになっているのが足つき性。シート前側を絞り込み、サイド部分の幅も狭くして脚を降ろしやすくしてあるが、身長176cmのテスターで両足の踵がなんとか接地する程度。シートからリアフェンダーまでが後ろ上がりになっているから乗り降り時に脚を高く上げる必要もある。このあたりは小柄なライダー、高齢ライダーには辛いところだ。
市街地での乗りやすさはピークパワーよりも発進・加速性能が大きく影響する。WRのエンジン排気量は125ccなので動力性能はさほど期待していなかったが、想像よりはるかに力強いことに驚いた。

ゼロ発進時にエンジン回転数やクラッチ操作に気を遣わなくてもスッと動き出して滑らかに加速し、1万2000回転近くまで軽やかに伸びていく。これは吸気のタイミングと量を変えるヤマハ独自のVVA機構が、同系統のエンジンを積むYZF-R155よりも400回転ほど低い約7000回転で切り替わることに加え、減速比もショート(加速型)に設定されているからだろう。
VVAの切り替わり時に音やショックは感じない。パワーの急変もなく、スロットル操作に忠実に反応して加減速する扱いやすい特性となっていた。さすがに4000回転以下でのパワー感は薄いが、不思議なほどよく粘るから各ギアの守備範囲が広く、忙しくシフト操作をする必要がない。

海外モデル「WR155R」をベースに現代的デザインへ刷新。形状の凹凸を減らし、オフロード走行時にライダーの動きを妨げない工夫が凝らされている。
足まわりと車体の設定はオフロードでの走破性を重視したものながら、街乗りでも何ら不満はない。荒れた路面や段差超えは得意とするところだし、前後サスのダンピングがしっかり効いているから急な加減速でサスペンションが動き過ぎることもない。
タイヤはブロックパターン(ダンロップD605)だが、舗装路走行中の振動や音、コーナーリング中のヨジレは気にならず、グリップも充分。
小径タイヤを履いているスクーターよりもはるかに安定性が高く、前傾ポジションのスポーツモデルよりも軽快で乗り心地もいいとあって、ストリートコミューターとしての適性は意外なほど高い。「普段は街乗りに使うが、たまにはダートに入って遊んでみたい」というライダーには最適の仕上がり。原付二種のイメージを変える一台だ。
