いよいよ2月27日から3月1日にタイのチャン・インターナショナル・サーキットで幕をあけるMotoGP2026年シーズン。今年は現行のレギュレーション最終年となるため、近年で最も混戦が予想される。そこで、今回は各メーカーの体制と紺シーズンの見どころを見ていこう。
レポート:河村大志

いよいよ今年が1000ccの最終年!

2026年シーズンは、2027年に導入される排気量縮小(850cc化)やデバイスの全面禁止を伴う新時代を目前に控え、現行の1000ccプロトタイプマシンによる開発競争が最終局面を迎える。

テクニカル面での最大の変更点は、安全性の向上を目的とした運用ルールの厳格化である。

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)は、クラッシュ後の再始動制限を強化。ライダーがコース上やランオフエリアで自らエンジンを再始動させることを禁止し、速やかな撤退とマーシャルの安全確保を優先する方針を打ち出した。

しかし、これによりレースへの再復帰は以前にも増して厳しくなることから、ライダーにとってはよりミスが許されないようになった。

また、サステナビリティへの取り組みとして、2024年から段階的に導入されている非化石由来燃料(持続可能燃料)の混合比率100%化が完全に定着する。

ハードウェア面では、2027年からの禁止が決定しているフロント・ライドハイトデバイス等の開発が事実上制限される。

各メーカーのリソースは現行システムの信頼性向上と、次世代マシンの先行開発へと二極化するため、シーズン前半の成績が重要になるだろう。

タイヤ運用においても、2025年に改定された最低内圧ルールが引き続き適用される。

センサーによるリアルタイム監視と、違反時のタイム加算・失格処分が厳格に運用され、現行規定下での究極の速さと、次世代を見据えた効率化が共存する重要な1年となる。

現王者ドゥカティは2025年の強力な体制を継続

ライダー、チーム、そしてマニファクチャラーの3冠を達成した昨年の王者ドゥカティ。今季も3チーム6台体制でタイトル防衛を狙う。

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ファクトリーチームであるDucati Lenovo Teamはマルク・マルケスとフランチェスコ・バニャイアのチャンピオンコンビを継続。

昨シーズンはスプリントレースで14勝、決勝レースで11勝を挙げて7度目のタイトルを獲得したマルク・マルケスは今年もタイトル大本命だ。

一方、好不調の波が激しく、タイトル争いに絡めなかった2022年、2023年シーズンのチャンピオンであるバニャイア。今季は調子を取り戻し、チーム内バトルが繰り広げられるのかに注目だ。

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BK8 Gresini Racing MotoGPは昨年ランキング2位を獲得したアレックス・マルケスとルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたフェルミン・アルデゲルのコンビを継続。

兄マルク・マルケスに喰らいつき、自身初優勝も挙げ、ランキング2位を獲得したアレックス・マルケス。昨年は型落ちマシンでの参戦だったが、前年の活躍が認められて今季は2026年型マシンでの参戦が決まっている。

ルーキーながらインドネシアGPでは初優勝を挙げたアルデゲルだったが、開幕前のトレーニング中に左大腿骨を骨折。この怪我により開幕戦の欠場が発表されている。

Pertamina Enduro VR46 Racing Teamも昨年と同じ体制で参戦。

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ファビオ・ディ・ジャナントニオはファクトリーの2台とアレックス・マルケスと同じく最新機の2026年型デスモセディチGPを走らせることが発表されている。

チームメイトのフランコ・モルビデリは、MotoGPクラス9シーズン目のベテラン。ドゥカティ陣営に加わってから復調の兆しを見せており、咋シーズンはアルゼンチンGPとカタールGPで3位表彰台を獲得している。

ストップ・ザ・ドゥカティの大本命はアプリリア

ドゥカティ勢の強さが際立った2025年シーズンで、中盤から終盤にかけて輝きを見せたのがアプリリアと新エースとして頭角を表したマルコ・ベッツェッキだ。

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チャンピオンの証明であるゼッケン1を引っ提げて移籍してきたホルヘ・マルティンの相次ぐ怪我により窮地に立たされたアプリリア。そんななか同じくアプリリアに移籍したベッツェッキが年間3勝を挙げランキング3位を獲得した。

一躍アプリリアを牽引する立場となったベッツェッキの活躍に注目が集まっている。今年もマルケス兄弟・ドゥカティに対抗できる存在になるだろう。

上述のとおり、怪我により1年間戦い抜くことができなかった2024年シーズンにチャンピオンのマルティン。2026年シーズンは怪我の回復に専念し出遅れはしたものの、開幕前のテストにも参加し周回を重ねている。今季は完全復活し、タイトル争いに食い込めるかに注目が集まっている。

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アプリリアのサテライトチームであるTrackhouse MotoGP Teamは小椋藍とラウル・フェルナンデスのコンビで2年目のシーズンを迎える。

2024年にMoto2を制し、2025年に同チームから最高峰クラスに昇格した小椋は、開幕戦タイGPでスプリント4位、決勝5位という驚愕のパフォーマンスを見せた。相性の良いタイGPで今季も上位でのフィニッシュが期待される。

小椋のチームメイトであるフェルナンデスは、2023年シーズンからアプリリア機を走らせており、アプリリア陣営内では最も経験が豊富なライダーだ。2025年にはオーストラリアGPで初優勝を飾るなど、小椋とともに今季の活躍が期待されている。

KTMはライダーのラインナップを継続

画像: KTMはライダーのラインナップを継続

近年苦戦を強いられているものの、強力なラインナップを誇るKTM。Red Bull KTM Factory Racingは、ペドロ・アコスタとブラッド・ビンダーのコンビが継続された。

Moto3とMoto2で圧倒的な強さを誇り、MotoGPに昇格した際にはマルク・マルケスの最年少優勝記録(20歳63日)を更新するのではないかと期待されたアコスタ。しかし、3年目を迎える現時点では未勝利と苦しんでいる。

昨シーズンは電子制御を極力無くし、上位でフィニッシュする活躍も見せたアコスタだが、今季は悲願の最高峰クラス初優勝を狙う。

チームメイトのビンダーは決勝での強さが光るライダーで、ウエットのように難しいコンディションでも力を発揮する傾向にある。KTMは予選で苦しむことが多いため、1発の速さの改善が課題である。

KTMのサテライトチームであるRed Bull KTM Tech3は、昨年同様にエネア・バスティアニーニとマーベリック・ビニャーレスで参戦。ともにハマった時の速さは一級品である2人なだけにシーズン中は好不調の波を穏やかにできるかが重要となる。

ビニャーレスはオフシーズン中にMotoGPクラスで3度のチャンピオンに輝き、殿堂入りも果たしたホルヘ・ロレンソをパフォーマンスコーチに迎え入れた。ロレンソとのトレーニングがどのような成績をもたらすのかにも注目したい。

V4投入も苦戦が予想されるヤマハ

画像1: V4投入も苦戦が予想されるヤマハ

これまで伝統のインライン4で戦ってきたヤマハはついにV4エンジン搭載のYZR-M1を投入した。しかし、圧倒的な成熟度を誇るライバルたちとの差は大きくテストでも苦戦。2021年のチャンピオンであるファビオ・クアルタラロとスズキ・ホンダで優勝経験のあるアレックス・リンスという強力なタッグだが、今季は厳しい戦いが予想される。

サテライトチームであるPrima Pramac Yamaha MotoGPにはジャック・ミラーが継続参戦、そしてチームメイトにはSBK(スーパーバイク世界選手権)王者のトプラク・ラズガットリオグルが新加入した。

画像2: V4投入も苦戦が予想されるヤマハ

市販車ベースの1000ccマシンで争われるSBKで3度栄冠に輝き、同シリーズでは圧倒的な強さを誇ったラズガットリオグルがついにMotoGPへ転向。しかし、マシン、そしてタイヤの違いにより適応に苦戦しており、テストでも下位に沈んでいる。

チャンピオンであるクアルタラロはすでにホンダと接触しているという噂も流れている。ヤマハにとって前途多難なシーズンになるかもしれない。

復調してきたホンダにはMoto2王者が加入

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ワークスであるHonda HRC Castrolは、昨年と同じくジョアン・ミルとルカ・マリーニのコンビを継続。

2020年の王者であるミルは昨年の日本GPとマレーシアGPで3位表彰台を獲得。マリーニは表彰台こそなかったものの、コンスタントなリザルトを残しており、その開発能力の高さでホンダを着実に復活へと導いてる。

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サテライトチームであるLCR Hondaにはお馴染みのヨハン・ザルコと昨年のMoto2王者であるディエゴ・モレイラというラインナップで今シーズンに挑む。

2025年シーズンのフランスGPでは、ホンダに2023年以来となる優勝をもたらしたザルコ。母国のファンの前で飾った劇的な優勝は記憶に残っている人も多いのではないだろうか。

モレイラは2025年にMoto2クラスにてブラジル人初となるロードレース世界選手権チャンピオンに輝いた新進気鋭の若手。ベテランと若手のバランスの良い組み合わせで上位進出を狙いたいところだ。

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2027年の「850cc規定」導入を翌年に控えた1000cc最終年となる今シーズン。各メーカーにとって現行規定の集大成となる。ブラジルやハンガリーを含む全22戦の史上最多カレンダーを舞台に、現行世代最速の座をかけた熾烈な戦いが展開される。

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