1970年代前半、ヨーロッパ耐久レースの主役は、カワサキZ1をベースとしたマシンだった。その牙城を崩すべく、ホンダは1976年にワークスマシンRCBを投入し、圧倒的な強さでシリーズを席巻した。その無敵艦隊に挑み、打ち破ったのがカワサキKR1000だった。
文:沼尾宏明、オートバイ編集部 協力:バイカーズステーション(遊風社)
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カワサキ「KR1000」開発進化の軌跡

右より1981年型、1982年型、1983年型

画像1: カワサキ「KR1000」開発進化の軌跡

1981年はF1用ユニットを流用したATZ製エア/油圧式シングルショックを採用し、120mmストロークを維持。フロントはKR500タイプのアンチダイブ付きフォークに変更。

1982年はキャブ整備性向上のため左右に余裕を持たせ、リアアルミフレームを着脱式に。1983年は162kgの超軽量アルミフレーム車を発表したが、剛性不足が判明しボルトオン補強で対応した。


画像2: カワサキ「KR1000」開発進化の軌跡

1981〜1982年モデル(右と中央)はハーフカウルと別体アンダーカバーの構成だったが、1983年モデル(左)ではフルカウル仕様となり、全体的に大幅なスリム化が図られている。

カワサキ「KR1000」各部解説

耐久レースに特化した個性的なシャーシ構成が光る

KR1000(1981)

アルミ削り出しフォークとエアバネ式ATZサスを搭載

画像2: KR1000(1981)

アルミ削り出しのボトムケースを持つフロントフォークは、1981〜1982年型KR500と同型のカワサキ製。前側パイプがオイル通路を兼ね、ロッド連結式の機械式アンチダイブ機構を備える。ブレーキはS1型のΦ300mmディスクを採用。リアショックはATZ製のエアバネ式で、別体リザーバーを備えたユニットを寝かせて装着。

画像3: KR1000(1981)
画像4: KR1000(1981)

KR1000(1982)

可変ジオメトリーとアメリカ流設計が融合したフレーム

画像2: KR1000(1982)

可変ステアリングヘッドによりキャスター角を自在に変えられるクロモリフレームは、高い面圧で接合面積を確保している。リアまわりには高剛性のH断面マグネシウム製スイングアームを採用し、ユニトラックのロッキングアーム位置を4段階に設定することで、車高調整も可能。リアホイールにはカンパニョーロ製3インチ幅リムを装着。

画像3: KR1000(1982)
画像4: KR1000(1982)

KR1000(1983)

KR500譲りの造形美、アルミモノコックを極める

画像2: KR1000(1983)

同じモナカ合わせでも、KR500と同形状のオフセット型にしたアッパーブラケットは、まさに芸術品。ステアリングヘッドパイプには、この位置からは見えないが、上下にベアリングポストが、手前にはランプとクーラーステーが丁寧に溶接される。手間のかかる造りだが、その分、振動によるクラックの発生を未然に防いでいるのだ。

画像3: KR1000(1983)

カワサキ「KR1000」写真

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