2025年の世界スーパーバイク選手権(WSBK)のホモローゲーションモデルであるビモータのKB998リミニは、2025年に250台を生産。FIMのレギュレーションを満たすため、2026年にも250台が生産される。量産の常識を覆すディテールの数々は、まさにビモータ。ハンドメイドが生み出す、唯一無二のスーパースポーツだ。
写真:南 孝幸/文:小川 勤
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ビモータ「KB998 Rimini」インプレ(小川 勤)

画像: BIMOTA KB998 Rimini 2025年モデル 総排気量:998cc エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:830mm 車両重量:207kg 発売日:2025年10月29日 税込価格:693万円

BIMOTA
KB998 Rimini
2025年モデル

総排気量:998cc
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:830mm
車両重量:207kg

発売日:2025年10月29日
税込価格:693万円

美しいディテールが放つ凄まじい吸引力!

圧倒的パフォーマンスを極上シャシーで走らせる醍醐味。KB998リミニは、まさにそんなビモータらしさに溢れていた。ビモータはカワサキとタッグを組んで以降、これまでにテージH2、KB4、KB4RCを発売。これらのモデルはビモータらしかったものの、エポックメイキングすぎる印象が強かった。しかしKB998 リミニは、『世界スーパーバイク選手権(WSBK)で勝つ』というまるで異なるアプローチで登場。それは、ただ速いだけでなく、一般道でも素晴らしい興奮を誘うマシンだったのだ。

画像1: ビモータ「KB998 Rimini」インプレ(小川 勤)

この誘惑はKB998リミニと対面した瞬間から予感があった。良いバイクには、良い佇まいがあり、素晴らしいオーラを放っているものだ。カワサキが最もコストをかけたであろうNinja ZX-10RRのエンジンに真っ赤なパイプフレームが寄り添い、ピボット部分とスイングアームは信じられないほど大きなアルミブロックから削り出され、ボディはオールカーボン製だ。触るとピコピコと動く可変式ウイングはどこか愛らしい。

あらゆるものが量産できる時代に、ここまでの手間暇、そしてコストをかけるバイクメーカーは今やビモータだけだろう。693万円は確かにハードルが高い価格だ。しかし、ここに辿り着くまでの苦労やこだわりが生み出したその価値は、他メーカーが真似できないビモータらしさとして、とても分かりやすく伝わってくる。

ZX-10RRの安心感に軽快感をプラスしたハンドリング

画像2: ビモータ「KB998 Rimini」インプレ(小川 勤)

跨るとクッション性のないシートは硬く、高く、ポジションは前傾がきついが、走り出すとそれさえもが全く気にならないほどパフォーマンスへの期待が膨らんでいく。驚くのは200PS/13600rpmを発揮するエンジンにも関わらず、2000rpmを常用できるところ。他の海外製スーパースポーツではギクシャクしてこうはいかない。

モードを試しながら高速道路を移動すると、どのモードでもワープするような速さを披露。クルーズコントロールを常用すれば腕や手首の疲労度は若干ではあるが軽減できる。

峠でのKB998リミニは、ソリッドでありつつセンシティブなところがない印象。ZX-10Rシリーズはスーパースポーツの中でもかなりの安定型だが、KB998 リミニは、安心感はそのままに軽快さをプラスしたイメージ。さらにライダーの操作を正確かつ瞬時に受け取ってくれる。

ビモータ特有のシャシーを走らせる感覚が際立ち、ディメンションや車体構成を理解して挑むのが楽しい。特筆すべきはタイヤのグリップを掴みやすいところで、寒く、所々融雪剤の残る決してコンディションの良くない峠を自由自在に走ることができた。

ビモータの原点は完璧なハンドリングを求めること。KB998 リミニからもそれをしっかりと感じることができる。パイプとアルミ削り出しのハイブリッドフレームは、隙間が少なく整然と並び、ため息ができるほど美しい。しかし、それは理想のアライメントを追求するための機能美で、ビモータらしいフィードバックとして伝わってくる。きちんとした操作を心がけると、理想的なラインに乗り、コーナーの大きさに関わらずどこまでもニュートラルに旋回していくからたまらない。

今回は一般道での試乗だったため、制御やパフォーマンスは試すことができなかったが、KB998リミニは、斬新かつ華麗で、とてつもない速さを秘めている。直感的に素晴らしいバイクに乗っている実感は、まさにビモータ。この超プレミアムな世界は、多くのカワサキ&ビモータファンを説得し、感動させてくれるに違いない。

ビモータ「KB998 Rimini」ライディングポジション・足つき性

シート高:830mm
ライダーの身長・体重:166cm・68kg

シート高は830mmで、身長165cm、体重68kgだと両足をつくのは厳しい。ポジションはかなりの前傾。タンクも長めで小柄なライダーにはかなりキツイが、これはハンドリングを優先するスーパースポーツの宿命だ。

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