前モデルの1988年型が扱いやすさを重視したコンセプトから、あえて“RR”と名付けなかったのに対して1990年3月登場のCBR250RRは、同時発売の400RRと同じくLCGツインチューブフレームをはじめ当時の最先端技術を結集。“RR”のネーミングにふさわしいモデルへと大幅な進化を遂げた。
まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※本記事は2025年7月2日に発売された『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』の内容を一部編集して掲載しています。

ホンダ「CBR250RR(MC22)」(1990年)概要

画像: Honda CBR250RR 1990年 総排気量:249cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:725mm 車両重量:157kg 発売当時価格:59万9000円

Honda
CBR250RR
1990年

総排気量:249cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:725mm
車両重量:157kg

発売当時価格:59万9000円

CBR250Rの後を継いで登場したCBR250RRは、先に発表されたCBR400RRとほぼ同様の手法を受けることで生まれ変わった。大部分が鋳造部品であるLCGツインチューブフレームをベースにマスの集中化を徹底。このLCGフレームは横、ねじれ剛性のバランスを調整して適度な力の逃げを作り、それによる扱いやすさ、また車体に対するスタビリティの向上を狙う、といった剛性バランスコントロールも積極的に取り入れられている。

ディメンションは、キャスターが1度立って24度になりトレールも1mm減少。重心位置はよりフロント寄りにされると同時に18mm高くなり、ホイールベースも20mm短くなっている。これらはフットワークを機敏にし、バンク角の割によく曲がらせるための設定だ。そこで過敏になり過ぎた部分を適度に抑えるため、ステアリングヘッド高を700mmから5mm下げている。400と同じ手法を250にも当てはめたのである。ライディングポジションでは、ハンドル、ステップとの位置関係が'88モデルに近い自然なものになった。しかし相変わらず小柄で、175cmくらいのライダーには窮屈気味か。

エンジンはほとんどの部品に手が入った新設計となった。高回転域の性能向上のため、回転部や往復運動部のマスバランスの最適化、軽量化が、剛性の向上と同時に見直されている。キャブは従来型よリも小径のメインボアだが、これまで以上の高回転域の性能を確保するため大気開放型のフラットバルブタイプを採用している。

ほかにフロン卜ブレーキはダブルディスクになって制動力をアップ。フロントフォークは位置依存型の可変減衰特性のものに換わり、リヤショックユニットはスパイラル状にオイル通路を設けた初期作動のよいものを採用している。

もともと250ccというクラスなので、基本的には軽快なハンドリングだが、'89CBR250Rより少々落ち着きを増したものになっている。ステアリングまわりの操作抵抗が軽いのに、リーンさせるときの動きはガシッとした硬さでなく、しっとりとしているのだ。しかもフロン卜は接地感に乏しいわけでなく、'89モデルとは比較にならないほど外乱に強い。またコーナリング中にスロットルを戻した時のラインの乱れも少ない。フロン卜からの回頭性もよりダイレクトで鋭くなったが、ステアリングの自然蛇角はさほど大きくは感じない。これが非常に素直な操縱フィールを生んでいるいい部分である。ブレーキは非常に強力だ。

画像: ホンダ「CBR250RR(MC22)」(1990年)概要

前後サスが従来モデルよりもよく動き、乗り心地はソフトて快適だが、ハードな走りでも腰があって破綻しにくい。荒れた路面での接地感は従来型でのウイークポイントだったが、この新型=CBR250RRは特にそこて技群のスタビリティを発揮し、いくらでもパワーをかけられる。だから、高速コーナーでもどんなにクイックなところでも自在に曲がる。可変ダンパーのフロントと、リンクレシオを高めに設定し、入り込んだ時には減衰力もスプリングもより強力になるセッティングにされたリヤまわり、徹底したマスの集中化などの効果だ。

こうして構成されるシャシーの威力は絶大で、'89年型と乗り比ベてみれば、ずっと上等なバイク、そんな感触すら与えてくれる。扱いやすく、破綻しにくく意のままにコーナーコントロールができる。だからついつい無茶もしてみたくなる。してみたところで少々のことでは音を上げない。

10000、12000、14000rpmと階段を上るように力を増していたパワー力ーブはすごくスムーズになっているし、吹けも軽い。レスボンスは素早く、パワーの立ち上がリ方もずっとダイレク卜だ。体感上16000rpmあたりがピークといった感じだが、そのまま引っ張れは19000rpm以上まで伸びる。また従来7000rpmくらいにあったもたつく回転域も滑らかになり、4000~5000rpmまでの粘りも強力になっている。

まるで回転域別の使い方に合わせてレスポンスの強弱やパワーの質を的確にコントロールして作り上げたエンジンというような感じさえ受ける。日常域からスポーツライディングで使う高回転域まで、このクラスで最も洗練されたパワーがあると言える。

ホンダはこの“RR”をして、“通動・ワインディングエキスプレス”という。その通りの使い方ができるが、それには多少もったいない走りも内包されている。この新CBR-Rがひとつ増えた“RR”の隠れコンセプトに“ライバルは2ストローククォーター”が考えられていたかのように、爪の鋭さはさらに研ぎ澄まされていた。その上でRRは、乗り手と走る場所に合わせて、爪の形を自在に変えうるマシンになったと言える。

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