苦戦のバニャイアがスプリントで復活V
スプリント前に行われた予選では、日本GP以降苦戦が続くフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)がポールポジションを獲得。2番グリッドはランキング2位のアレックス・マルケス、3番グリッドにはフランコ・モルビデリ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)が入り、ドゥカティ勢がフロントロウを独占した。
気温32度、路面温度44度のドライコンディションのなか、10周のスプリントがスタート。ポールシッターのバニャイアがホールショットを奪うと、アレックス・マルケスが2番手で続き、3番手には好スタートでポジションを上げたペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)がつけた。

ホールショットを決め、レースをリードするバニャイア。
先頭の3台が抜けだすも、2番手のアレックス・マルケスと3番手のアコスタがバトルを展開したため、トップのバニャイアとの差が広がってしまった。
その後方ではモルビデリ、そしてファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)を退けたジョアン・ミル(Honda HRC Castrol)が浮上。さらに2番手集団との差を徐々に縮める走りを披露する。
トップのバニャイアはファステストラップも記録するなど快調にマージンを築き、2番手争いも順位変わらず落ち着きを見せた。
アレックス・マルケスを捕らえることができなかったアコスタに、好調のミルが接近。しかし、5周目のターン9で痛恨の転倒を喫してしまい、表彰台獲得のチャンスを失ってしまった。
アコスタにとっては一難去ってまた一難。今度はフェルミン・アルデゲル(BK8 Gresini Racing MotoGP)が残り4周で背後に迫ってきたからだ。そして残り3周、アルデゲルはアコスタを難なくパスし3番手に浮上した。
最終的に2位以下に2秒以上の差をつけたバニャイアがトップチェッカー。日本GP以来となるスプリント優勝となった。2位にアレックス・マルケスが入り、これで年間ランキング2位が確定。史上初めての兄弟でランキングワンツーという偉業となった。

アレックス・マルケスの年間ランキング2位とアルデゲルのルーキー・オブ・ザ・イヤーを祝うグレシーニ陣営。
3位にはアルデゲルが入ったが、レース後にタイヤ最低内圧に違反があるとし、タイムペナルティが科され7位に降着。表彰台は逃したものの、今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーを確定させている。
小椋藍(Trackhouse MotoGP Team)は17番手スタートから、5つポジションを上げて12位でフィニッシュを果たしている。

日本GP以来のスプリント優勝となったバニャイア。
アレックス・マルケスが今季3勝目! バニャイアにまさかのアクシデント
日曜日の決勝レースも天気は晴れ。気温34度、路面温度54度と熱帯の厳しい暑さのなか、20周で決勝レースが行われた。

トップのバニャイアにアレックス・マルケスとアコスタが迫る。
スプリント同様にバニャイアがスタートを決め、ホールショットを奪うなか、こちらも抜群のスタートを決めたアコスタがアレックス・マルケスに襲い掛かる。
しかし、アレックス・マルケスはアコスタとのバトルを制すると、トップのバニャイアに迫る。スプリントで逃げられているだけに、序盤から果敢に仕掛けていくアレックス・マルケス。2周目のターン4で鋭いブレーキングでバニャイアをパスしトップに浮上した。
トップの座を奪われたバニャイアは、アコスタの猛攻を受けることに。その隙にトップのアレックス・マルケスはギャップを築いていった。
中盤になるとバトルが落ち着き、トップ3はアレックス・マルケス、バニャイア、アコスタの順で膠着状態に。その後方ではスプリントで速さを見せていたミルが4番手に浮上していた。
13周目、2番手争いに動きが。バニャイアがラインを外してしまい、その隙をついたアコスタが2番手に浮上。両者の差は一気に広がっていった。
アレックス・マルケスとアコスタの先行を許したものの、表彰台圏内を走っていたバニャイア。しかし、残り3周というところでリアタイヤのパンクにより突如スローダウンし、レースペースを維持できない事態に。自力でピットまで戻ることができたものの、表彰台圏内か一転し、リタイアに終わってしまった。
トップ独走となったアレックス・マルケスが2秒以上のマージンを保ったままフィニッシュし、今季3勝目をマークした。2位にアコスタ、そしてバニャイアのリタイアにより、ミルが表彰台を獲得している。
小椋は10位でフィニッシュ。ポジションを7つ上げ、入賞を果たしている。
22戦という長いシーズンも残すはあと2戦。次戦は11月7日から9日にかけて行われるポルトガルGPだ。戦いの舞台はアウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェ。見どころは、5ポイント差でランキング3位を争うマルコ・ベッツェッキとバニャイアの戦い。
激しいアップダウンが特徴の難コースで、どちらがアドバンテージを得るのか、そして新たなウィナーが誕生するのかに注目だ。
2025 MotoGP第20戦マレーシアGP決勝結果

決勝レースでは3メーカーが表彰台を分け合った。

レポート:河村大志




