まとめ:オートバイ編集部/協力:RIDE編集部
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ヨシムラ「M450R」概要

YOSHIMURA
M450R
ただ純粋に走りを楽しむことをコンセプトに製作
2000年以降のヨシムラは、独自にチューンアップを施した公道走行可能なスーパースポーツモデルを販売してきた。しかし2003年に彼らが用意したのは、これまでとは大きく異なるモデルだった。
舗装された道が走りの場であるのは共通だが、べース車には398.2cc DOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載するオフロードモデル スズキDR-Z400Sが選ばれていた。その変貌した姿はスーパーモタードに他ならない仕上がりとなっていた。
初お披露目となったのは2002年4月に開催された第36回東京モーターサイクルショーで、当初はあくまでコンセプトモデルとしての出展となっていたが、数多くの問い合わせが寄せられたことを受け、ヨシムラは受注生産という形で販売することにした。


M450Rにはその改造の度合いによって3つの仕様が用意され、前後ホイールを17インチ化し外装を変更したものがスペック1、さらにエンジンに手を加えた仕様がスペック2、そして、前後のサスペンションやブレーキまでモディファイされた最上級車がスペックRを名乗っていた。
試乗して、まず驚かされたのがエンジン。ベースとなっているDR-Z400Sとはまったくの別物で、自身が所有する某H社の450cc、4ストモトクロッサーをべースとしたモタードマシンに近い感覚を覚えた。

エンジンを始動してすぐにわかるのはレスポンスの良さ。450ccへと拡大された排気量に対してST-Rカムシャフトが見事にマッチしており、ミクニTMR-MJN Φ40mmキャブの組み合わせも絶妙だった。走り出すとフロントが軽くリフトし、11000rpm付近まで一気に吹け上がる。シフトアップ時の回転の落ち込みは少なく、高回転でのストレスやアクセルオン・オフでのギクシャク感もまったくなかった。
峠道では前後のオーリンズ製サスペンションと17インチホイールのマッチングが絶妙で、前後のストロークを最大限に利用して旋回することができた。この手のマシンはよくリアが下がりすぎてしまいアンダーが出やすいものが多いが、このM450Rは乗車時の姿勢が決まっており、コーナー進入時に思い描くラインよりさらに内側を走ることができた。
オーバースピードで侵入してしまったとしても難無く対処ができ、この高い安定感を誇るハンドリングは、装着されているトリプルクランプが大きく影響しているように感じた。バンク中のギャップやうねりなどは気にならず、早い段階でのパーシャルから加速に集中できる、決して「カッチリ」ではなく「しなやか」なセットと仕上がっていた。
また、加速時にリアがスライドする場面でも、危なげな挙動はなく、ライダーの制御範囲内でスムーズに前へ進み、良く回るエンジンがさらに気持ち良く感じられた。

