まとめ:オートバイ編集部
グレン・コーベット氏へのインタビュー
ロイヤルエンフィールド プロダクトマネージャー
グレン・コーベット氏

2022年入社。二輪・四輪の製品戦略やマーケティングなどで20年以上の国際的な経験を持ち、2気筒エンジン搭載機種のグローバル商品企画チームを率いる。
それぞれのモデルに込めた想いが生み出す個性と魅力
ロイヤルエンフィールドのモデルの特徴のひとつがバリエーションの多彩さ。650のツインエンジン搭載モデル、350の「Jシリーズ」エンジン搭載モデル、どちらのシリーズにも共通しているのは、同じエンジンを共用するモデルを複数展開しているが、マシンのキャラクターがはっきり異なり、それぞれの独自性が光るラインアップを展開していること。こうした豊富なバリエーション展開は、どのような考えから生まれるのだろうか。プロダクトマネージャーであるグレン・コーベットさんに聞いてみた。
「私たちがバイクを開発する際、最も大切にしていることは、ひとつひとつのモデルがユニークであることです。私たちは技術的にズバ抜けたバイクを提供することよりも、乗っている人の気持ちやライフスタイルを表す“ストーリー”が重要だと考えています」

▲シリーズ初のツインエンジン搭載モデルがクラシック650。低回転、中回転、高回転、それぞれで表情を変えるエンジンフィールが特徴。
650モデルで現在6機種、350モデルで5機種。現時点でも実に豊富なモデルラインアップだが、今後も新たな展開は考えているのだろうか。
「650のツインシリーズで言えば、今後もラインアップの拡大は続いていきます。まだまだアイデアもありますし、現在のラインアップで終わりとは考えていません。ただ、ひとつのバイクをスライスするようにして細かく変えていき、小さな違いを生み出すことで別のグレードのバイクを作っていくようなことは、ロイヤルエンフィールドとしてはやりたくないのです。私たちは乗る人の“ストーリー”を大切にし、それに似合った、お客様のニーズに合ったモデルを今後もマーケットにリリースしていきたいと考えています」
今回のインタビュー会場にはクラシック650とゴアンクラシック350という、登場したての2モデルが用意されていたので、それぞれのモデルのポイントを聞いてみた。
「クラシック650は美しさと上質さにこだわった、オーセンティックなバイクです。タンクにあしらわれているピンストライプは職人の手描きによるもので、通常ならとてもコストのかかる高価なカスタムなのですが、それを量産車で実現できているのもセールスポイントです。また、インドでは大きいバイクは男らしさの象徴として見られるため、サイズ感も大切にしています」

▲ミニエイプバーを採用し、リラックスしたポジションでライディングを楽しめるゴアンクラシック350。細部の仕上げにこだわりを感じる。
「ゴアンクラシック350は、インドのリゾート地・ゴアで1970年代に広がりを見せたヒッピー文化や当時のバイクのカスタマイゼーションなどからインスピレーションを得たクルーザーです。大胆な色使いのカラー設定もあり、非常にユニークなモデルに仕上がっています。量産車でありながらカスタム色の非常に強い、こうしたモデルを350のレンジで展開できるのも私たちの強みです」
最新のロイヤルエンフィールドのモデルたちに触れた際に感じるのは上質なフィーリング。目に見える物、手に触れる物の質感が非常に高く、またトリッパーなどの先進的なデバイスも採り入れるなど、伝統と先進性が巧みにバランスしているのも特徴だ。現在のフラッグシップレンジは650のツインシリーズだが、今後プレミアムブランドとして進化、発展していく予定はあるのだろうか。

クラシック650に施されるピンストライプは職人のハンドペイントだと言う。「本来なら高価なカスタムを量産車で実現できるのが我々の強みです」(コーベット氏)
「プレミアムという言葉をどう解釈するかによるかとは思うのですが、いま私たちロイヤルエンフィールドが提供しているバイクの品質は非常に高く、そうした意味ではすでに“プレミアム”であると考えています。性能的にもお客様に十分満足していただけるものですし、その点でも私たちのプロダクトは“プレミアム”だと考えます。
ただ、私たちは自分たちのことをわざわざプレミアムブランドだと宣伝することはしたくないと考えています。また、価値の高いものを提供することが“プレミアム”であっても、それは高価格な“ラグジュアリー”とは異なるものだとも考えています。ですので、今のところやみくもに価格を上げるつもりもありません。
私たちが追求している“プレミアム”とは、ライダーが乗って感じる感覚的な価値の高さだと捉えています。これからも日々進化を続け、私たちが造るバイクの魅力が高まっていくことで、私たちなりの“プレミアム”さを追求していきたいと思います」
揺らぐことのない、あくなき理想の追求と、ひとつひとつのモデルに想いを込めた「ストーリー」にあふれたラインアップ。ロイヤルエンフィールドだからこそ可能な、他車とは一線を画す魅力は、これからもますます輝き続けることだろう。
「どこを探してもなかなか見ることのない、ユニークな個性がロイヤルエンフィールドの一番の魅力だと思います。止まったときに周囲の人が思わず目をとめてしまうような、そんなバイクに仕上げていますし、どのモデルにも他のバイクにはない“ストーリー”がそれぞれに込められていますから、そうしたところを楽しんでいただけたら嬉しいですね」

▲ヒッピーカルチャーもオマージュしたというゴアンクラシック350。「止まった時に思わず誰もが見てしまう。そんなバイクを造りました」(コーベット氏)
まとめ:オートバイ編集部




