出遅れも関係なし! ベッツェッキが圧巻の走りでスプリント優勝
予選ではマルコ・ベッツェッキ(Aprilia Racing)がレコードタイムを更新する走りでポールポジションを獲得。2番手と3番手には自身初のフロントローとなったフェルミン・アルデゲル(BK8 Gresini Racing MotoGP)とラウル・フェルナンデス(Trackhouse MotoGP Team)が並んだ。
一方、ドゥカティ勢は不調で、ファクトリーチームは今季ワーストの結果に終わった。前戦タイトルを決めたマルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)は9番グリッド。チームメイトのフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)も日本GPの優勝が嘘のように苦しみ、16番グリッドからのスタートとなった。
気温30度、路面温度52度のドライコンディションのなか、13周のスプリントレースがスタート。ポールシッターのベッツェッキがスタートで出遅れ、6番手まで後退。アルデゲルがホールショットを奪った。
トップのアルデゲルが逃げるなか、2番手ペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)と3番手のフェルナンデスとの差は1秒と離される。一方、マルク・マルケスはオープニングラップでアレックス・リンス(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)を押し出してしまい、ロングラップペナルティを科されポジションを大きく落としてしまう。
5周目、アコスタがターン2で転倒したこともあり、トップのアルデゲルは2秒のギャップを築き、スプリントでの最年少優勝が近づいてくる。

スタートで出遅れるも次々にライバルを攻略していくベッツェッキ。
しかし、その後ろで猛烈にポジションを上げてきたのがポールシッターのベッツェッキ。ルカ・マリーニ(Honda HRC Castrol)、アレックス・マルケス(BK8 Gresini Racing MotoGP)と捕え、アコスタの転倒もあり表彰台圏内までポジションを回復すると、レース折り返し時点でフェルナンデスも攻略し2番手に上がる。
ベッツェッキはファステストラップを更新する走りでトップを猛追。そして残り2周となったところでアルデゲルの背後にまで接近した。
ファイナルラップに入ると、ベッツェッキがターン10のブレーキングでアルデゲルをオーバーテイク。アルデゲルも反撃を試みたが、 ベッツェッキが抑え込みサンマリノGP以来のスプリントレース勝利となった。
惜しくも優勝とはならなかったが、アルデゲルが2位、3位には自身初表彰台獲得となったフェルナンデスが入った。
マルク・マルケスはロングラップペナルティでポジションを落とすも7位でポイントフィニッシュしポイントを獲得。一方、バニャイアは完走したライダーの中では最下位となる14位に終わった。

ファイナルラップで華麗なオーバーテイクを見せたベッツェッキが優勝。
大本命とチャンピオンがまさかの接触! アルデゲルが最高峰クラス初優勝
迎えた決勝も熱帯らしく蒸し暑い天候に。気温31度、路面温度58度のドライコンディションのなか、27周の決勝レースがスタートした。
スタートではスプリント同様にポールシッターのベッツェッキがホールショットを奪えず、アコスタがトップに浮上した。

スタートではベッツェッキが出遅れ、マルク・マルケスがポジションを上げた。そして……。
ベッツェッキはポジションを落とし、その前には逆にスタートでポジションを上げたマルク・マルケスが走行。今週末の流れを考えると、決勝レースでもベッツェッキが追い上げを見せるかに思われた。
しかし、オープニングラップのターン10へのアプローチ、マルク・マルケスのベッツェッキが接触し転倒。いきなり今季のチャンピオンと優勝候補が姿を消すこととなった。
また、9周目にはバニャイアも単独で転倒しており、ドゥカティファクトリーにとって厳しい週末となってしまった。
アコスタを抜きトップにでたアルデゲルが快調に飛ばすなか、アコスタを先頭とした2位争いが激しさを見せる。マリーニやフェルナンデス、リンスなど複数台によるバトルが展開された。3番手につけていたマリーニが果敢に仕掛けていくも、アコスタがブロック。このバトルが原因で後続のライダーも追いつき、2位集団は10台以上の隊列となってしまった。

2位争いは多くのライダー達により繰り広げられた。
ペースが上がらないものの、2番手を死守するアコスタの後ろではマリーニとフェルナンデスがバトル。しかし、両者バトルによりラインを外れてしまった隙をついたリンスが2台まとめて抜き3番手に浮上した。
ヤマハに移籍後初の表彰台が見えてきたリンスは20周目、アコスタも捕え2番手に浮上。しかし、その後ペースが上がらず同じくポジションを上げてきたアレックス・マルケスに抜かれると、アコスタ、フェルナンデスと次々に抜かれてしまった。
レース序盤から中盤にかけてポジションを守ることに注力していたアコスタだったが、終盤にはペースをあげ、アレックス・マルケスを抜き再び2番手に舞い戻る。
2位集団がバトルを展開し続けたこともあり、アルデゲルは10秒以上のリードを築き独走。ファイナルラップではペースを落とし確実にチェッカーを受け、MotoGPクラス初優勝を果たした。
最高峰クラスでルーキーイヤーに優勝を達成したのは2021年のホルヘ・マルティン以来の快挙であり、2013年のマルク・マルケスに次ぐ史上2番目に若い優勝者となった。
2位はアコスタ、3位はアレックス・マルケスで、グレシーニがワン・スリーフィニッシュを達成。
転倒したマルク・マルケスは検査の結果、肩肩甲骨の烏口突起基部骨折と右肩の靭帯損傷と診断された。過去に右上腕骨の骨折という大怪我をしており、今回の怪我による再発が心配されたが、関連性はないとのこと。しかしながら、次戦の第19戦オーストラリアGPと第20戦マレーシアGPを欠場することが発表されている。
次戦は10月17日から19日にかけて行われるオーストラリアGP。現チャンピオンが不在というなか、どのライダーが優勝を手にするのかに注目が集まる。
2025 MotoGP 第18戦インドネシアGP 決勝結果

グレシーニの2台が揃って表彰台を獲得。アコスタは粘りを見せ2位。

レポート:河村大志