激戦が続いたFIM世界耐久選手権(EWC)2025年シーズンのタイトルは、2025年9月18〜21日の4日間にわたりフランスのポール・リカール・サーキットで開催されたボルドール24時間耐久レースで決着を迎えた。TSR(TECHNICAL SPORTS RACING)が運営する「F.C.C. TSR Honda France」は4番グリッドからスタートし激しいトップ争いを繰り広げるも、レース中盤となる深夜4時頃、エンジントラブルにより無念のリタイアを喫した。

予選:細部にわたるレースシミュレーションを重ね、4番グリッドを獲得

フランス南部マルセイユ近郊ル・カステレにある全長距離5.673kmのポール・リカール・サーキットは多彩なコーナーに加え、約20秒間もフルスロットルで駆け抜けるロングストレートを備えた伝説的なコース。「ミストラル」と呼ばれる強い北風が吹くことも特徴で、約1.8kmある「ミストラル・ストレート」で追い風が吹くと、EWCマシンでも350Km/h前後の最高速を記録する。24時間耐久においては純粋なスピードだけではなく、マシンの信頼性も問われる非常に過酷なレースだ。

今回の「F.C.C. TSR Honda France」は、これまでと同じ3名のレギュラーライダーに加え、予選ではリザーブライダーとしてスペイン人ライダーのイサック・ビニャーレス・マレスを迎え、週初めから予選前半にかけては細部にわたるレースシミュレーションを重ねることに集中した。

2回目の予選セッションでは、アラン・テシェ選手は1分51秒445を記録し、自身のセッションで2番手をマーク。続くコロンタン・ペロラーリ選手も1分51秒630をマークし、グループ内で3番手と好調を維持し、羽田太河選手も1分53秒871と大きく前進。さらに、イサック・ビニャーレス・マレス選手も1分54秒213を記録し、チーム全体のパフォーマンス向上に貢献した。

最速2名のベストタイムの平均に基づく公式記録では、「F.C.C. TSR Honda France」は平均タイム1分51秒538をマークし、決勝は4番グリッドからスタートが決まった。

画像: F.C.C. TSR Honda France CBR1000RR-R Fireblade(#5)

F.C.C. TSR Honda France
CBR1000RR-R Fireblade(#5) 

画像: 予選:細部にわたるレースシミュレーションを重ね、4番グリッドを獲得

決勝:アラン・テシェ選手が新レースラップレコードを樹立し、トップ争いを展開するも無念のリタイア

決勝は4番グリッドからスタート。スタートライダーのアラン・テシェ選手は、オープニングラップで完璧な走りを見せ、2周目には早くもトップへ浮上。その後は激しい先頭争いが続き、ピットストップごとに順位を入れ替える展開となった。続いて走行したコロンタン・ペロラーリ選手も、初スティントから非常に速いラップタイムを記録し、好調な流れをチームにもたらした。

レース序盤はアラン・テシェ選手とコロンタン・ペロラーリ選手が交互に走行し、Honda CBR1000RR-R Fireblade (#5)を力強くトップ集団に押し上げ、羽田太河選手はレース開始から約2時間30分後に走行を開始し、チームをサポートした。

夕暮れ時には、アラン・テシェ選手が1分52秒506という新レースラップレコードを樹立。「F.C.C. TSR Honda France」は速いペースを維持し続け、ブレーキ交換を終えた8時間経過時点で2位のポジションで走行。この時点で、9ポイント追加獲得した。その後の夜間走行では、羽田太河選手が第3ライダーとして安定した走りを見せ、自身のベストタイムを更新しながら順位を維持した。

しかし、レース中盤となる深夜4時頃(12時間経過頃)、コロンタン・ペロラーリ選手がマシンに異常を感じてピットイン。一度はコース復帰を試みたが、その後の再点検で結果的にエンジントラブルが判明。376周を終えた時点で、3位走行中だった「F.C.C. TSR Honda France」はリタイアを余儀なくされた。

こうして「F.C.C. TSR Honda France」の2025年の挑戦は、シーズン暫定ランキング6位(69ポイント)で幕を閉じた。第2戦のスパ8時間耐久ロードレースでは栄光に輝いたが、鈴鹿8耐に続き今回のボルドールもリタイヤとなり、悲願の2勝目をつかむことはできなかった。この悔しさをバネに、チームは2026年シーズンに向けた準備を本格化させていく。

画像: 決勝:アラン・テシェ選手が新レースラップレコードを樹立し、トップ争いを展開するも無念のリタイア

ボルドール24時間を終えたライダーのコメント

画像: Alan TECHER(アラン・テシェ) 1994年生まれ、フランス。2022年のボルドール100周年記念レースに、負傷したジーノ・リアの代役としてF.C.C. TSR Honda Franceから参戦し、チームの優勝と2度目のタイトル獲得に貢献。以来、継続参戦している。

Alan TECHER(アラン・テシェ)
1994年生まれ、フランス。2022年のボルドール100周年記念レースに、負傷したジーノ・リアの代役としてF.C.C. TSR Honda Franceから参戦し、チームの優勝と2度目のタイトル獲得に貢献。以来、継続参戦している。

アラン・テシェ「レースは素晴らしいスタートを切りましたが、残念ながら結果は悔しいものとなってしまいました。スタート直後からトップに立ち、勝利を目指す強いペースで走り続けました。マシンも非常に良いパフォーマンスを発揮できたと思います。終盤はどうすることもできないメカニカルトラブルでしたが、勝利を争う力があることを証明できたと思います。

このレースウィークを通じてチームは素晴らしい仕事をしてくれて、バイクは力強く、昼夜を問わず乗りやすかったです。1分53秒台のラップを安定して出すという目標も達成できました。これからはこの成果を活かし、来年さらに強くなって戻ってくることに集中します」

画像: Corentin PEROLARI(コロンタン・ペロラーリ) 1998年生まれ、フランス。GMT94ヤマハなどのチームで活躍し、Moto2を含む複数のカテゴリーでの経験を持つ。国際的なレースで優れた成績を収め、2025年シーズンよりF.C.C. TSR Honda Franceに加入。

Corentin PEROLARI(コロンタン・ペロラーリ)
1998年生まれ、フランス。GMT94ヤマハなどのチームで活躍し、Moto2を含む複数のカテゴリーでの経験を持つ。国際的なレースで優れた成績を収め、2025年シーズンよりF.C.C. TSR Honda Franceに加入。

コロンタン・ペロラーリ「アランが素晴らしいスタートを切り、私たちは12時間にわたり常にトップ争いを繰り広げました。ピットインごとに首位を入れ替わる展開で、本当に熱い戦いでした。しかしその後、メカニカルトラブルに見舞われ、非常に残念です。今シーズンを振り返ると、僕たちはすべてのレースで速さを見せることができました。来年はその速さをシーズンを通して維持し、最終戦までしっかり走り切って、必ずチャンピオンシップ上位を狙いたいです」

画像: Taiga HADA(羽田太河) 1998年生まれ、日本。2014年からアジアロードレース選手権に参戦し、ロードレースに本格的にデビュー。全日本ロードレース選手権などを経験し、2025年シーズンよりF.C.C. TSR Honda Franceに加入。

Taiga HADA(羽田太河)
1998年生まれ、日本。2014年からアジアロードレース選手権に参戦し、ロードレースに本格的にデビュー。全日本ロードレース選手権などを経験し、2025年シーズンよりF.C.C. TSR Honda Franceに加入。

羽田太河「このような形でレースを終えるのはとても悔しいです。最終スティントでは予選タイムを上回るラップを記録でき、個人的には前進できたと感じています。徐々にペースを上げていく中で、メカニカルトラブルが起きてしまい残念ですが、これもレースです。この経験を次につなげ、チームと仲間に感謝し、今後のレース活動の糧にしていきたいと思います」

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