文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、松川 忍、南 孝幸/協力:Bikers Station、H&L PLANNING
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ホンダ「NSR250R」(MC16・1986年)各部装備・ディテール解説
▶エンジン


一次振動を理論上ゼロにした挟み角90度のV2エンジン
初代NSR250Rが搭載した水冷2ストローク90度V型2気筒エンジン、型式名「MC16E」は、90度V型2気筒エンジンはNS250R/F用と異なる完全新設計で、基本は同時進行した1987年型のRS250Rに通じる。
その中で、中回転域での優れた応答性や強大なパワー、感覚に訴える振動などの味わいを残しながら、扱いやすい出力特性にするとともに燃料やオイルの消費量を改善、整備性の向上などに留意した。


ボア×ストロークΦ54×54.5mmの249.6ccから最高出力:45PS/9500rpm、最大トルク:3.6kgf・m/8500rpmを公称。
キャブレターはエンジン後方に平行に配置され、前後バンクともに前方排気に。スリーブレスのメッキシリンダーやコンピュータ制御のオイルポンプ、回転数に応じて排気タイミングを変更する可変バルブ(RCバルブ)などを備えた。

▶フレーム

優れた剛性を発揮したアルミツインチューブフレーム
フレームはこの頃レーサーで実績を得てきたツインチューブタイプ。ダイヤモンドタイプの一種で、アンダーチューブを持たないことでエンジンやチャンバーを低く置ける。また二本の梁を渡すようにステアリングヘッドパイプからスイングアームピボットを一直線に近い形でつないで運動軸を分かりやすくする。
アルミ目の字断面材は縦剛性も横剛性も高く、重量を増やさずに済む利点も持っていた。スイングアームもアルミ押し出し材+鋳造連結部という構成だった。リアサスペンションはモノサスのプロリンクとなっていた。
▶そのほか注目のポイント

メーターは中心にタコ、左にスピードメーターを配置。タコメーター内には水温計が埋め込まれ、レーサー転用時にスピードメーターを取り外しても必要な情報が入るようにエ夫されている。

アルミ押し出し材のスイングアームにプロリンクサスペンションを組み合わせたリアまわり。リアショックは5段階のイニシャル詞整が可能だった。リアインナーフェンダーも当時としては珍しい装備。

フロントバンク側のチャンパーをエンジン下で一回転させてトグロを巻かせることで、左右同じ位置にサイレンサーを配置。S字断面3本スポークホイールはこの1986年型にのみ採用されていた。

ブロンズカラーのフロントフォークはインナーチューブ径Φ39mm。S字断面の3本スポークのホイールはフロントが17、リアが18インチとなっていた。ブレーキは小径のダブルディスクを採用。

ワークスのNSRにそっくりなデザインのテールカウル。レーシングライクな薄手のシートは意外にクッション性が良かった。タンデムシートは着脱式で、下には小物入れスペースが確保されていた。
ホンダ「NSR250R」(MC16・1986年)主なスペック・販売当時価格
全長×全幅×全高 | 2035×705×1105mm |
ホイールベース | 1360mm |
シート高 | 750mm |
車両重量 | 141kg |
エンジン形式 | 水冷2ストローク・クランクケースリードバルブV型2気筒 |
総排気量 | 249cc |
ボア×ストローク | 54.0×54.5mm |
圧縮比 | 6.2 |
最高出力 | 45PS/9500rpm |
最大トルク | 3.6kgf・m/8500rpm |
燃料タンク容量 | 16L |
燃料供給方式 | キャブレター |
変速機形式 | 6速リターン |
タイヤサイズ(前・後) | 100/80-17・130/70-18 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |
発売当時価格 | 55万9000円 |