ホンダが誇る次世代トランスミッションの最新作となるのがこのEクラッチシステム。今年はついにレブル250にも導入され、今後多くのモデルに普及しそうな機構だ。早速その仕組みとメリットを見ていこう。
写真:南 孝幸、赤松 孝/まとめ:オートバイ編集部

ホンダ「Eクラッチシステム」とは?

ホンダ「Eクラッチシステム」の特長

1.大半のMT車に搭載可能
2.いざとなればいつでもMTに戻せる
3.MT車との価格差が少なくコスパ◎

これからのバイクの標準となりうる新機構

ホンダのEクラッチシステムは、その名の通り、クラッチ操作を電子制御化した新機構。通常のマニュアルトランスミッション(MT)に、発進・変速・停止におけるクラッチの断続を自動で行なう機構を追加することで、クラッチレバー操作を不要としている。

構造は、通常のクラッチシステムに電子制御ユニット(ECU)と2個の小型モーターとギアで構成されるアクチュエーターを組み合わせたもの。ECUがライダーのスロットル操作、シフトタイミング、車速などの情報をもとに走行状況を検知、最適なクラッチ操作を行なうことで、スムーズで素早い変速を可能としている。ライダーは走行中の変速を通常のシフトペダルを使って行なう。

画像: ホンダ「Eクラッチシステム」とは?

特筆すべきは、単にクラッチのオン・オフだけの制御ではなく、滑らかにトルクをつなぐための細かい制御を実現している点。

たとえば、急激なシフトダウン時の際には長めの半クラッチ制御を行なってリアホイールのホッピングを防いでくれるし、仮に停止時に1速以外のギアに入っていても、そのまま長めの半クラッチを使って発進(クラッチの寿命の関係でこれは推奨されていないので要注意)することもできる。

「MTの進化」をテーマに開発されたEクラッチシステムは、ライダーの技量に関係なく、MT車ならではの楽しさや操作感を誰でも楽しめるのが最大の利点。街乗りや渋滞時など、頻繁なクラッチ操作が求められる場面で大きな効果を発揮でき、疲労感を大きく減らしてくれるのも魅力だ。

MTのスポーティな走行感とAT並みの快適性を両立する、今後のスポーツバイクにおける新たなスタンダードとなりうる機構である。

Eクラッチシステムを解説

▶クラッチを握れば即座にOFF

画像: ライダーがクラッチレバーを握るとシステムに強制介入し、即座にクラッチ操作をMT車と同様に手動で行えるようになる。

ライダーがクラッチレバーを握るとシステムに強制介入し、即座にクラッチ操作をMT車と同様に手動で行えるようになる。

▶発進から停止までクラッチを制御

画像: EクラッチがONになると、ECUからの車両情報をもとにMCUがモーターを制御してクラッチレリーズを動かしてクラッチ操作を行なう。

EクラッチがONになると、ECUからの車両情報をもとにMCUがモーターを制御してクラッチレリーズを動かしてクラッチ操作を行なう。

▶手動時は普通のMT!

画像: これはEクラッチをOFFにした完全手動モードの時のシステム概略図。ECU、MCUの制御が入らない、普通のマニュアルミッションだ。

これはEクラッチをOFFにした完全手動モードの時のシステム概略図。ECU、MCUの制御が入らない、普通のマニュアルミッションだ。


▶各トランスミッションとの違い一覧

画像: EクラッチとDCT、自動遠心クラッチとの違いが分からない、という人は下の表を参照してほしい。操作する方法に関しては、Eクラッチは自動遠心クラッチとまったく同じだが、Eクラッチの場合はクラッチをマニュアルコントロールできるのが一番の違いだ。

EクラッチとDCT、自動遠心クラッチとの違いが分からない、という人は下の表を参照してほしい。操作する方法に関しては、Eクラッチは自動遠心クラッチとまったく同じだが、Eクラッチの場合はクラッチをマニュアルコントロールできるのが一番の違いだ。

画像: 写真はCB650R/CBR650R用のEクラッチユニットの全パーツ。機構としてはクラッチレリーズをモーター2個で動かすだけなので、パーツ点数が少ないのが特徴。クラッチカバーの張り出しも最小限に抑えられている。

写真はCB650R/CBR650R用のEクラッチユニットの全パーツ。機構としてはクラッチレリーズをモーター2個で動かすだけなので、パーツ点数が少ないのが特徴。クラッチカバーの張り出しも最小限に抑えられている。

画像: CB650R/CBR650Rは、メーター上のメニュー画面でシフトのタッチやシステム自体の電源ON/OFFも設定可能。レブル250にはこの機能はない。

CB650R/CBR650Rは、メーター上のメニュー画面でシフトのタッチやシステム自体の電源ON/OFFも設定可能。レブル250にはこの機能はない。

画像: 基本構造はMT車と同じで、操作もライダーまかせなので、搭載する車種を選ばないのも特徴のひとつ。クルーザーでもスポーツバイクでも適応できるのだ。

基本構造はMT車と同じで、操作もライダーまかせなので、搭載する車種を選ばないのも特徴のひとつ。クルーザーでもスポーツバイクでも適応できるのだ。

写真:南 孝幸、赤松 孝/まとめ:オートバイ編集部

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