文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝
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ハーレーダビッドソン「スポーツスターS」インプレ(宮崎敬一郎)

Harley-Davidson
SPORTSTER S
2025年モデル
総排気量:1252cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒
シート高:765mm
車両重量:228kg
発売日:2025年2月28日
税込価格:199万8800円〜
走りの質をアップさせた最新スポーツスター
ワイルドな出で立ちが特徴のスポーツスターSの2025年モデルが登場した。一見、そのスタイリングやメカの構成などに変更はない。強烈なダッシュ力を生む水冷のレボリューション・マックス1250Tエンジンは121HPを発揮、アイコニックな極太の前後タイヤ、サイド出しの太めのアップマフラーなども前モデルからそのまま。
これらが醸し出す迫力はハーレーのラインアップの中でもかなり強烈な印象だ。そうしたルックスやみなぎるパワーが発する魅力を維持しつつ、今回の新型は走りが大きく変わっている。
新型の走りを大きく変えているのはサスペンション。セッティングだけでなく、リアショックそのものが変更されている。ストリートユースでの快適さとスポーツティな機動でのスタビリティの良さを目指したという。
徹底的にロースタイルを貫くこのタイプのクルーザーは、もともとリアショックがかなり短めで、これまでのスポーツスターSは、正直言って荒れた路面に対する衝撃吸収性の悪さがネックだった。それを、今回はシルエットに影響しない程度にロングストローク化して、乗り心地の向上を図ったわけだ。
具体的にはリアショックのトラベル量を53mmから84mmにアップ。快適さを求めるツーリング系モデルに比べれば、増量されたとはいえ、僅かなトラベル量だが、リアアクスルでのトラベル量はもっと大きくなるわけで、この変更が十分な威力を発揮してくれる。

荒れ気味の路面を色々なペースで試乗してみたが、衝撃で尻が頻繁に突き上げられることはかなり少なくなった。しかも、随分と快適になっただけでなく、接地性も良くなっており、大幅に進化しているのが分かる。
フロントにも極太のタイヤを履くので、ハンドルの手応えは独特。街中レベルの50〜60km/hあたりまでハンドルが重く、コジって機敏な動きをしようとするとゴロリとした感触を示す。ただ、高速巡航の速度レンジになると重心の低さが全面に出て身軽な動きになる。これらの傾向は前モデルと同じ。ちなみに、このバイクの許容リーンアングルはクルーザー系としてはかなり深めだ。
今回は主に最も強力なパワーレスポンスのスポーツモードで走ってみたが、振動も少なく従順で、街中でも十分に操れる。5000回転付近と7000〜9000回転付近でパワーを増す、2段ロケットのような特性のエンジンで、低いギアだと中域からでも強烈な瞬発力を発揮する。
ハーレーとしてはワンパクなキャラで、粋なビッグネイキッドのように使うこともできる個性的なモデル。鈍重なクルーザーに飽きたら、一度試乗してみるといい。