文:オートバイ編集部/写真:赤松 孝

Kawasaki
Z900 SE
2026年モデル
総排気量:948cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:810mm
車両重量:215kg
発売日:2025年7月15日(火)
税込価格:166万1000円
カワサキ「Z900SE」開発者インタビュー

水川照章氏(開発リーダー)・写真上左
カワサキモータース株式会社 先進国MCディビジョン 第一設計部 第二課 基幹職
澁田 祐氏(デザイナー)・同右
カワサキモータース株式会社 企画本部 デザイン部 スタイリング一課 基幹職
※撮影車両は2025年モデル
興奮のパフォーマンスと上質さを併せ持った1台
「Z900はスーパーネイキッドカテゴリーでトップの評価を得ているモデルです。新型はもともとの長所はそのままに、いまの時代に求められるものを全て取り込みました」
Z900開発リーダー、水川さんは語る。最新テクノロジーを惜しみなく投入した新型が目指したのは、扱いやすさだけでなく、持ち前のパフォーマンスを磨くことだった。
「もともとのキャラクターこそ変えていませんが、エンジンは電子制御スロットルを導入したことで、よりリニアな加速感を意識した造り込みができました。一方で、燃費を向上させるためにカムプロフィールも変更しています。以前よりちょっと優秀になった分、荒々しさは少し減りましたが、アクセルを開けた時の興奮と楽しさは変わっておりません」
今回は車体まわりも一新され、大きく進化した。水川さんは続ける。
「フレームは剛性バランスを見直した一方で、シートレールを下げ、幅も狭めて足つき性にも配慮しました。造り込みに苦労しましたが、ハンドリングはヒラヒラ感を重視した仕上がりで、バンクさせた時にしっかりセルフステアがかかるよう、前後の重量バランスも見直して、ライディングポジションも少しだけ前傾にしています」
インパクトある、精悍なスタイリングも進化した。デザイナーの澁田さんも「今回は自信作です」と胸を張る。
「ストリートファイターとしてZは年々とがっていきましたが、今日の新型は『原点回帰』をテーマに、ネイキッドらしさや、質感の高さを大切にして、所有感を高めています」

「小顔で、肩が張っていて、小尻で足が長い。カッコいいスタイルというのは、人間もバイクも同じなんです」と澁田さんは語る。フロントマスクはあごを引いた精悍なイメージを採用。
※撮影車両は2025年モデル
見る者を圧倒する「Sugomiデザイン」のZシリーズだが、新型Z900は素材の良さを伝える入念な仕上げや美しいプロポーションも重視されている。
「顔(フロントマスク)が小さく、肩(シュラウド、タンク)が張っていて、お尻(テール)が小さい。カッコいいプロポーションというのは人もバイクも同じなんです。Z900でも、理想的なプロポーションを追求しながら、上品な雰囲気にもこだわりました」
そのスタイリングの中でも、特にこだわったのがテールランプとシュラウドにあしらったアルミのプレート。澁田さんは語る。
「できるだけテールをコンパクトにしたかったので、テールランプにはとことんこだわりました。ユニットの基板をわざわざ2枚に分けてフレームの左右にマウントし、導光にも入念な工夫を施して、コンパクトで個性的なランプとしました。シュラウドのアルミ部分は、表面のヘアライン仕上げにこだわり、ひとつひとつ手作業で仕上げています」
迫力のスタイルと鋭い走りに最新技術もブレンドし、新型Z900はストリートファイターとしての存在感を一層高めている。
「色々苦労しましたが、よくできた1台だと思っています。Z900の魅力をもっと広めていけたら嬉しいですね」(水川さん)
文:オートバイ編集部/写真:赤松 孝