初代登場から50周年を迎えたホンダのフラッグシップツアラー、ゴールドウイング。それを記念した特別仕様車が発売された。特別なカラーと装備に身を包んだプレミアムモデルに試乗し、改めてその真価を堪能する。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
▶▶▶写真はこちら|ホンダ「ゴールドウイング ツアー 50thアニバーサリー」全体・各部・走行シーン(17枚)

ホンダ「ゴールドウイング ツアー 50thアニバーサリー」インプレ(宮崎敬一郎)

ゴージャスで快適な一方、想像以上に従順で優しい

当時非常に革新的だった、水平対向エンジン搭載のゴールドウイングが世に出て50年になる。シート下にガソリンタンクを配して徹底的に重心を下げたり、クランクと逆回転する巨大なクラッチで縦置きクランクのトルクリアクションを打ち消したエンジンなど、現在のモデルが意外なほど扱いやすい理由や、そのための工夫が生まれたのもその時だ。

この50周年アニバーサリーは上質なカラーリングが施され、記念エンブレムを備えたスペシャルモデル。巨大な車格、400kg近い車重を意識させない身のこなしの軽さなど、ハンドリングには巨大なツアラーだということを忘れる扱いやすさがある。

剛性の高いツインビームフレームと、やはり高剛性のダブルウイッシュボーン式フロントサスの威力でかなりスポーティな機動まで、ムダなタワミなど一切感じさせずにやってのけ、やろうと思えば160km/hほどのペースでフルバンクでの切り返しなども安定してこなせるポテンシャルをもっている。旋回性は見た目通りだが、頼れる車体だ。

また、つむじ風のように回る、トルクみなぎるエンジンも従順。のんびり流す時はもちろん、ガバッとスロットルを開けた時のダッシュ力ではビッグネイキッドでも侮れない加速を披露する。そんな力を潜ませている。

画像: ホンダ「ゴールドウイング ツアー 50thアニバーサリー」インプレ(宮崎敬一郎)

ミッションはDCTの7速だが、7速は完全なオーバードライブ的なギアレシオ。100km/hだと2100回転しか回っておらず、120km/hでも2500回転ほど。これが6速になると、それぞれ3200回転と3800回転になり、いきなり1000回転ほども回転が上がる。

このDCTのATモードは学習能力に優れた最新世代。7速110km/hをライディングモードの「ツアー」で巡航中、「スポーツ」に切り替えると自動で6速にシフトダウンする。

たとえ「ツアー」モードであっても、高回転まで引っ張ることを2、3回繰り返すと、CPUが即座に学習し「スポーツ」のようにギアホールドレンジを広くとって引っ張れるようになり、ギアを上げるか、しばらくするとすぐに「ツアー」らしい穏やかさに戻る。逆に「エコ」モードでは、どんな使い方をしてもすぐに7速までシフトアップして紳士的。なかなか賢いミッションだ。

6気筒エンジンはとてつもなく滑らかだが、低音主体の唸るような排気音がかなり個性的。回すと音量が上がって、大排気量のアメ車のような咆哮になり、かつてのワイルドなバージョン、F6BやF6Cを思い出す。

ゴールドウイングというと、その豪華さやいかにも鈍重そうに見える巨体を真っ先にイメージしがちだ。実際に高速巡航ではストレスの元になる直撃風などをほとんど抑えてくれるし、振動などもなく、シートはまるでソファー。快適この上ないロングツアラーだ。しかし、実は快適なだけでなく、案外扱いやすく、想像以上のスポーティな走行性能まで持っている「怪物」なのだ。  

This article is a sponsored article by
''.