文:オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ロイヤルエンフィールド・アジア事業責任者にインタビュー

ロイヤルエンフィールド社 アジア太平洋市場担当事業責任者(APAC)
アヌージ・ドゥア 氏
本誌5月号に掲載したクラシック350 の記事を興味深そうに読んでいた。
Q.「クラシック」シリーズに650が追加されましたが、日本での反響はいかがでしたか?
ドゥア氏 ロイヤルエンフィールドの「クラシック」シリーズは当社のフラッグシップモデルであり、ロイヤルエンフィールドの顔と言っても過言ではありません。とくに日本のマーケットではクラシックやレトロなイメージのモデルは大変人気がありますし、その証拠に日本で販売している「クラシック350」は非常に好調な販売を続けています。
その反響の大きさに後押しされて「クラシック650」を日本に投入しました。今回日本で初お披露目でしたが、多くの方から“クラシック650の登場を待っていた”という嬉しい反響をいただいています。
Q.「ベア650」が開発された経緯を教えてください。
ドゥア氏 ロイヤルエンフィールドでは「ヒマラヤ」や「スクラム411」など、オフロードをイメージさせるモデルをラインナップしていますが、650シリーズにはありませんでした。
先に紹介した2台は450ccと411ccと日本で人気の高いクラスですが、さらに大きな排気量でパワフルな650シリーズにも必要不可欠と考えていました。
それなら世界的に人気のスクランブラーモデルを650シリーズに投入するのがベストと考え「ベア650」を開発しましたが、日本での反応を見る限りとても安心しました。ベアは必ず人気モデルに成長すると自負しています。

▲2025年のモーターサイクルショーで展示された「ベア650」。会場では、若者からベテランまで幅広いライダーがベアのもとに押し寄せていた。カラーバリエーションは5つ用意され、写真のカラーは「ツーフォーナイン」。税込価格は99万円〜101万5300円となる。
Q.「ゴアン クラシック350」は、どのような年齢層をターゲットにしていますか?
ドゥア氏 まず「ゴアン」という意味ですが、これはインド西海岸に位置するアラビア海を一望できる美しいビーチ「ゴア」に由来します。
このビーチは常に若者や観光客で溢れかえる有名なビーチで、アメリカで言えばマイアミビーチのようなイメージです。つまり「ゴアン クラシック350」は開放的で自由で賑やかなビーチをイメージしながら、クールな一面もデザインに取り入れることで若い層をターゲットにしています。

▲奇抜なデザインとド派手なカラーリングによって、多くの注目が集まった「ゴアン クラシック350」。シート高も低いのでビギナーには最適なバイクだ。
Q.「ゴアン クラシック」は350ですが、650にしなかったのはなぜですか?
ドゥア氏 「クラシック350」を見ていただくとわかっていただけると思いますが、ロイヤルエンフィールドではまず小排気量の350クラスから発売をはじめ、市場の動向を確認しながら650へとアップグレードしていく流れになっています。
幸運なことに日本市場は350ccくらいの排気量は非常に人気がありますし、まるでカスタムビルダーが制作したようなクールなデザインのゴアンは若者ウケしやすく、価格の面でも有利に動くでしょう。それに直接的なライバルになるモデルは日本の二輪メーカーにありませんので、これも強みだと思います。
さらにゴアンはロイヤルエンフィールドのラインナップの中でも圧倒的にシート高が低いです。これも日本市場で受け入れられるための重要な要素になりますので、女性ライダーやビギナーの方には注目してほしいです。
Q.ロイヤルエンフィールドのモデルはカラーバリエーションが多いのはなぜですか?
ドゥア氏 ボディカラーのデザインはイギリスとインドにあるデザインチームが担当しています。このデザインセンターでは、単に社内でイメージスケッチをしているのではなく、豊富なカラーバリエーションを制作するためにデザイナーはたくさんの時間をカスタマーと一緒に過ごしています。
たとえば顧客と一緒にツーリングに行ったり、ミーティングに参加したりすることで、カスタマーがどのようなデザインを欲しがっているのかを常にリサーチし、実際にそれを体現しています。バイクはエクステリアのデザインも重要ですが、それ以上にカラーバリエーションは重要だと考えています。
カラーリング次第で販売台数に大きく影響しますので、はじめから多くのカラーバリエーションを設定すれば自分好みのカラーリングが見つけやすくなり、販売促進にもつながると考えています

▲ロイヤルエンフィールドのブースには多くの女性ライダーが詰めかけた。その多くが「可愛いカラーリングが多いから好き」と語っていた。
Q.「コンチネンタル650GT」のレース仕様が展示されていますが、スポーツ走行を重視したモデルも投入されますか?
ドゥア氏 今回展示した「コンチネンタル650GT」をベースにしたレース仕様は、熊本県のHSR九州で開催されたバイクレース「鉄馬 with ベータチタニウム」に参戦したモデルです。このレースは鉄フレームであることが条件なので、まさにロイヤルエンフィールドにはうってつけのレースでした。
実際のレースでも2位に入賞するなどポテンシャルの高さを証明することができましたが、今後ロイヤルエンフィールドとしては、スポーツ走行を重視したモデルを新たに開発する予定はありません。
今ある既存のモデルにアップグレードを加えながら進化させていきますのでご期待ください。

▲現在日本では、排気量350cc~650ccまでの全10機種を展開。ニューモデル「クラシック650」「ゴアン クラシック650」の発売も待ちきれない。
文:オートバイ編集部/写真:南 孝幸