2型のオーナーだからこそ身に染みる新型『隼』の価値
普通の感覚で言えば『200万円越えのバイク』っていうのはけっこうな高級車ですよね?
新車価格100万円ならなんとかできる。150万円となればかなり吟味して決断する。ですが200万円オーバーは『よっぽど惚れたバイク』じゃない限り、私を含む普通の人の金銭感覚だとハードルが高いです。
ですが、そんなハードルすらあっさり超えてしまいたくなるバイク……そのひとつが新型『隼』だと思っています。
そんな新型『隼』に対して新車価格223万円を『高い』と思わなくなってしまう理由をここまで10個にまとめてお伝えしてきましたが、なんだか通り一遍すぎて自分で納得がいってない。自分で言っておいてアレですが、そうじゃないんだよ……なので、ここからは個人的な感想、あるいは主観で突っ走らせて頂きます。
これが私(北岡)が感じている新型『隼』の本当の魅力だ!
2型と3型のエンジンはまるで別モノ

隼が搭載するエンジンは基本的に1999年登場の初代から同じです。2型に進化する際に排気量が拡大されていますがベースは同じもの。
そして2型から現行の『3型』に進化しましたが排気量は変わっていません。
だけど私は2代目『隼』を所有しているので身に染みてわかります。2型と3型のエンジンはまるで別モノです。

改めてそんなことを言う理由ですが、実は私(北岡)はこの記事の撮影で新型『隼』に乗った翌日、車検のために自分の愛車(2代目)に乗ったんです。
頭ではわかっていたけど、衝撃でした……

新型『隼』のエンジンは、陳腐な言い回しですが『洗練されている』としか言いようがない。
フィーリングは2型と同じ『隼らしい』感覚なのですが、アクセルを開けた時の滑らかな回転の上昇フィーリングには感動すら覚えます。2型の場合、トルク感は強いのですが……実際には実用回転域だと3型のほうがトルクも上回っていますし……
新型の開発に際して「あらゆるところを見直した」というスズキのエンジニアさんの言葉を思い出しました。例えば新形状ピストンでの26gの軽量化、新しいコネクティングロッドで3gの軽量化。果てしなく地道すぎる努力の積み重ね……しかもそれを2型の発売以降、ずっと考え続けてきた、と言うんですよ?

ちょっと逆に呆れるレベルというか……でもそれほどの熱意と長い時間をもって新型『隼』のエンジンはすこしづつ磨かれてきた。そのことを再確認しました。
車体側も同じこと。フレームやスイングアームなどの基本骨格は同じなのに、新型『隼』のほうが明らかに軽く動く。その巨体を感じさせないんです。

ハンドル位置のわずかな変更や前後サスペンションの最適化など、車体側の変更も地道すぎて我々普通のライダーには『?』となることばかり。
だけど乗り比べればその差は歴然。
スズキというバイクメーカーが総力を持って磨き上げた1台。だからこそ私は新型『隼』の200万円以上という価格に対しても『高い』と感じないんだと思います。
ゆっくり走っても、信号待ちでも満足できる
また、隼の素晴らしいところは『大パワーのスポーツバイク』であるにも関わらず、ゆっくり走っても楽しめることにあると思っています。
ものすごいパワーを持つバイクなのに、ブッ飛ばさなくても気持ちいい。
だってね?

なんならこういう渋滞とか、信号待ちとか。
アイドリングで感じるエンジンの存在感とサウンド。走っていないのになぜか満足感がある。走らなくても楽しいスポーツバイクってなんだよそれ……(笑)
でもそれも事実なのです。

同様に、時速50~60kmでゆったり走る時も心地いい。
圧倒的な動力性能がもたらす余裕を楽しむというか、ゆっくり走る時に『味わい』があります。
この部分は初代も2代目も同じなんですけどね……ただし、長距離になると3型のほうが絶対的に疲れません。バイクとしてのバランスが良い。そうとしか言えません。
歴代『隼』にはそれぞれの個性があって、みんな愛されてる
そして隼に対して『すごくイイよなぁ』って思うのが、初代も2代目も新型も、それぞれに個性と良さがあって、どのモデルもオーナーに愛されていること!

例えば初期型は歴代モデルの中で「最もスポーツバイク」なキャラクターをしています。
上まで鋭く回り、どこからでも遠慮なく大パワーが出てくる。『エキサイティング』という側面で観れば歴代の中でナンバーワンは初期型かもしれません。
続いて2型!

ロングストローク化によって排気量1339cc/最高出力197馬力となった2型は(メーター読みではない)実測値で最高速312km/hを記録。
とんでもないことです……サーキットとかコーナリングとかを除いての話になるかもしれませんが『永遠のスピードキング』は2型の隼だと個人的には信じています。
そして『隼』の人気を盤石のものにしたのも2型の功績でしょう。

そして、それらの集大成と言いたくなるのが現行モデルの3型です。
初代のスポーツ性と2型の動力性能など「良いところ」を抽出し、まずは機械的な部分を地道に磨き上げて「スズキの最高峰のバイク」としてのバランスさせた。そのうえで現代的な電子制御を組み込み、最終の仕上げとした。
ただ電子制御でごまかしたりはしない、エンジニアの魂の結晶とも言えるバイクが現行モデルの『隼』だと私は思っています。
(下に続きます)
このお話には『新型が欲しくてたまらない』という私の偏った目線がたくさん入っているという自覚があります。
でも!
このバイクには『価値』があると思う。
なかなか手が届かないけど……いつか必ずっ!
私にとって新型『隼』はそういう風に思えるバイク。憧れの存在です!