文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事はウェブサイト「ロレンス」で2025年5月12日に公開されたものを一部編集し転載しています。
このプランはフランスGPの最中の、5月10日に発表されました・・・
ツーリングフェアリングとサイドバッグを備えたクルーザースタイルのアメリカンVツインを使ったロードレースであるキング オブ ザ バガーズは、ハーレーダビッドソンとインディアンに乗るライダーたちのアツい走りでカルト的人気を集めるイベントです。
なお過去4年(2021〜2024年)のシリーズは、古い順にカイル ワイマン、タイラー オハラ、ヘイデン グリム、そしてトロイ ハーフォスと、ハーレーダビッドソンとインディアンに乗るライダーが交互に王者になっています。
フランスGPの最中、5月10日のルマンでの発表されたハーレーダビッドソンとMotoGPの新しいグローバルシリーズは、キング オブ ザ バガーズからインディアンを排除したもの・・・と考えればどのようなレースになるのかイメージしやすいかもしれません。

元鈴鹿8耐ウィナーで、元MotoGPライダーであるブラッドリー スミス。2025年度はハーレーダビッドソンファクトリーチームのライダーとして、キング オブ ザ バガーズに参戦しています。
investor.harley-davidson.com開催されるのは欧州と北米の6つのGPということですから、アメリカズGP以外の5ラウンドは欧州開催・・・ということになりますね。ワンメイク車両はキング オブ ザ バガーズでも使われているロードグライドで、重量は約280kg、最高出力200馬力以上、最大トルク245Nm(25kgm)以上、最高速度300km/h以上というのが主なスペックとなります。
構想では各チーム2名のライダーで構成される6〜8のチームが、ハーレーダビッドソン ファクトリー レーシングのサポートを受けてグリッドに並ぶ予定です。1ラウンドにつき2レースが行われ、最多ポイントを積み上げた者が王者になるシステムです。

5月10日、発表の席に集った3名。左よりカルメロ エスペレータ(ドルナ スポーツCEO)、ヨッヘン ツァイス(ハーレーダビッドソンCEO)、カルロス エスペレータ(ドルナ チーフ スポーティング オフィサー)。
www.motogp.comどんなライダーが参戦するのか・・・が興味深いです
キング オブ ザ バガーズは速さを競うガチのレースですが、ロードレースを意識せずに開発されたツーリングモデルでガチレースをするというところにそのユニークさがあります。一方でMotoGPは、戦後に成立した世界ロードレースGPがルーツで、レギュレーションの変更は過去何度もありましたが創設期から今日に至るまで一貫して、最速を求めるマシンとライダーたちによってその歴史を紡いできました。
5月10日の発表後、世界のMotoGPファンはSNSでこの新シリーズの話題で盛り上がりました。歓迎する声もあったり、こんなの許し難いという声もあったり・・・まぁ賛否両論という状況です。気になるのは、GPのレースウィークがかなり忙しいものになるのでは? という点です。
現在のMotoGPは、MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラス、そして欧州7戦でMotoEクラスが開催されますが、ハーレーダビッドソンの本拠地のアメリカでのGP以外の、欧州5戦のどこに新シリーズを組み入れるかは難しい問題になりそうです(MotoEを開催しないGPが有力候補?)。

ファクトリーチームで5年目のシーズンを迎える実力者、2021年王者のカイル ワイマン(ハーレーダビッドソン)。現在キング オブ ザ バガースを主戦場としているハーレーダビッドソン系ライダーたちは、2026年のグローバルレースシリーズにも参加するのでしょうか?
www.motogp.com2026年のカレンダーとエントリーリストが発表されるのはもうちょっと先のことになるでしょうが、どんなライダーが参加することになるのかは興味深いです。新シリーズの成否はどれくらい面白いレースをライダーたちが魅せるかどうか次第でしょうが、多くの人々の関心を集めるにはビッグネームの参戦が大きな要素になると思います。ひとまず、MotoGPおよびハーレーダビッドソンからの続報を楽しみに待ちましょう。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)