文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、森 浩輔
ホンダ「スーパーカブ110」インプレ(太田安治)

Honda
Super Cub 110
2024年モデル
総排気量:109cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:738mm
車両重量:101kg
発売日:2023年12月14日
税込価格:30万2500円
よく走り、よく止まる──これがスーパーカブの新基準
世界中で60年以上もの間愛され続けているオートバイがこのホンダ スーパーカブ。2012年に初代スーパーカブ110が登場し、2017年に一度目のモデルチェンジがおこなわれ、2022年の二度目のモデルチェンジで現行型のベースとなる車体が登場した。平成32年(令和2年)排出ガス規制に対応したエンジンを搭載し、前後キャストホイール、フロントにディスクブレーキを採用した足まわりに一新された。
カタログ上の数値ではエンジンの最高出力は同じで、トルクが僅かに増した程度となっている。ロングストローク設定への変更は排ガス対策で燃料をきれいに燃やし、フリクションも低減することが主目的だと思うが、実際に試乗してみると低中回転での力強さと粘り強さが増している印象を受けた。
逆にロングストローク設定は高回転で吹き詰まり感が出がちだが、新エンジンはリミッターが効くまであっけないほど軽く吹け上る。振動が減ったことと併せ、加減速フィーリングは前モデルより大幅に洗練された。

目立つ変更、現行モデルの注目ポイントと言えばこの前後の足まわりだろう。キャストホイール化で乗り心地が若干硬くなってはいるが、ブレーキを含めたバネ下重量を抑えたことでハンドリングの軽快さは変わらない。チューブレスタイヤが装着でき、パンクによる急な空気圧低下が招くリスクが減ったことは世界的にも評価されるはずだ。
ドラムブレーキの前モデルはタッチの良さと引き換えにレバーを握り込んだときの食い込み感が薄く、制動力自体も控えめだったが、ディスクブレーキが採用されたことで、入力に対する反応がリニアとなり、握った分だけしっかり減速し、タッチも安定していて扱いやすいなっている。
多様なスキルのライダーが乗ることの多い車種はABSの介入タイミングを早めに設定したものが多く、急制動では思いのほか制動距離が伸びる場合があるが、このモデルはその部分も念入りに設定したのだろう。介入に不自然さがなくギュッ! と止まってくれる。
独特のロータリー変速は、停車時にトップギアの4速から踏み込むとニュートラルに入るため、シフトペダルの踏み込みだけで変速操作が済むというメリットがあるが、慣れないと停車時に何速に入っているのか判りにくい。それだけにメーター内に用意されたシフトポジションインジケーターは大歓迎の機能。燃費計の追加と併せ、メーター機能は大きく高まった。
スポークホイールにドラムブレーキというスーパーカブ伝統の構成が失われたことを寂しく感じる向きも多いかもしれないが、力強さと上質さ、実用性を総合的に高めた現行モデルが、これからのスーパーカブの基準となることだろう。
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