文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ホンダ「ダックス125」インプレ(太田安治)

Honda
Dax125
2024年モデル
総排気量:123cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:775mm
車両重量:107kg
発売日:2024年8月22日
税込価格:45万1000円
当時を知る人は懐かしく、知らない人には新しく
「ダックス」というネーミングは秀逸だと僕は思う。プレスフレームが形作る長い胴体に前後小径ホイールの短い脚。そう思いながら眺めるとハンドル周りが耳、リアフェンダーが尻尾のようにも見えてくる。このオートバイらしくないルックスは若い世代には新鮮なはず。プレス成型の鋼板製フレームに拘った車体設計はこんなところでも功を奏している。
車体は50cc/70cc時代のダックスに比べるとひとまわり以上大きいので小動物的な愛らしさはないが、前後に長くフラットなシートは着座位置の自由度が高く、大柄なライダーにも窮屈さを感じさせない余裕がある。
ハンドリングの安定感は同じ12インチホイール採用のモンキーよりも格段に高く、グロムに似た感覚。モンキー125よりホイールベースが55mmも長いだけにギャップ通過時の挙動が穏やかで、突然荒れた路面に出くわしても緊張せずに乗り越えられる。
車体が発表された時の説明会では「タンデム」というフレーズが何度も登場した。モンキー125は一人乗り専用車でスーパーカブ系はシングルシートだから、開発要件に「気軽にタンデムできる」という項目が入ったことは必然だろう。
タンデムでの安定性を確保するために単純にサスペンションのスプリングを硬めに設定すると乗り心地が悪化しがちだが、ダックス125に関してはリアのスプリングの張り感がなく、一人乗りでも良好な乗り心地となっていた。それでいてタンデムした時にギャップを超えた時でもリアサスが底付きして突き上げられることもほとんどなく、車体剛性ともども、実に巧みな設定となっていた。

タンデム中の密着度はかなり高めだが、荷重配分が後ろ寄りになるのでフロントの接地感が薄れる。パッセンジャーに負担を掛けないためにも、寝かし込みとブレーキングでは優しい操作を心がけたい。
エンジンはスーパーカブC125と基本的に共通で、吸排気系の違いによって少しだけ低中回転型になっている。自動遠心クラッチの4速ミッションもC125譲りだが、ギア比がショート(加速型)設定なのでゼロ発進が力強く、60km/hまでの速度の乗りがいい。回転数を意識せずシフトアップしていくと、50km/hあたりで4速に入る。
排気音もスーパーカブ系やグロムより静かな印象で、長時間走行しても苦にならない。クローズドコースで試した際、最高速は90km/h強だったが、ダックスには関係ない領域だろう。むしろタンデムでも頼りなさを感じないように加速性能優先とした設定に合理性を感じた。
自動遠心クラッチを採用しているため、AT小型限定免許で運転可能。親しみやすさと同時に、購入時の家族の説得材料にもなるだろう。ただ、自動遠心クラッチは変速ショックが大きくなりがちで、特にシフトダウンには慣れが必要。
個人的にはグロムと同じマニュアルクラッチ+5速ミッション仕様も出して欲しい。この車体剛性とサス設定、エンジンパワーなら、マニュアルでキビキビ走らせても楽しいと思えるからだ。
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