この記事ではベテランテスター太田安治氏が選んだ2024年のイチオシモデル紹介します。いま個人的に興味があるのは『気負わず意のままに楽しめ、気軽に付き合える相棒』だそうです。
※スタッフの推薦は「ジャパン・バイク・オブ・ザ・イヤー」のランキングに影響はしません。また国産車だけでなく輸入車も含んでいます。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
太田安治が選んだ2024年の推しバイク 第1位 ホンダ「CL500」
パワー、サイズ、乗り味が“ちょうどいい”スクランブラー
自然体で付き合える、まとまりのいいモデル
僕が初めてオートバイに乗って感動したのは、自分の身体能力を補完・拡張してくれる運動性能。それだけに高性能スポーツモデルに惹かれ続けてきたが、年齢なのか環境なのか、求めるものの優先順位が変わってきた。
走ることそのものよりも、季節や場所によって千変万化する温度、湿度、匂いといった「空気」を感じるだけで楽しいのだ。だから最近気になるのは、気軽にフワッと乗り出せて無心で走り続けられるオートバイ。CL500はまさにそうした一台だ。
フワッと乗り出せる、という点ではCL250も同じ。しかし発進加速や急勾配の峠道ではパワーによる余裕に歴然とした差があるし、単気筒エンジンの振動は長時間ライディングでジワジワと疲労を蓄積させる。以前のCL500インプレでも書いたが「まだ目にしたことのない景色を眺めながら、行ったことがない遠くまで」という使い方なら、2気筒500ccのエンジンが間違いなく有利。本音を言うと排気量を上げて70PSくらいになれば文句なしだが…。
動力性能はさておき、CLの魅力は扱いやすい車体にある。大きめのギャップ超えでも車体が弾かれにくい19インチのフロントタイヤとストローク量に余裕のある前後サスペンションで、ベースとなっているレブルとは段違いに乗り心地がいい。
着座位置の自由度が高いシート、自然な位置にあるステップとハンドルが生むライディングポジションも身長176cmの僕にちょうどいい。フラットなシート形状で乗り降りしやすいこと、バッグが積みやすいこと、充分なハンドル切れ角によるUターンのしやすさも大きな利点だ。
ホンダ車らしくバランスの取れたまとまりだが、車検があって大型二輪免許も必要だけに万人受けは難しく、ヒットモデルにはなりにくい。だが見栄を張らず、無理をせず、自然体でバイクと付き合いたいライダーほど、CL500の良さを実感するに違いない。
ホンダ「CL500」ライディングポジション・足つき性
シート高:790mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
幅広ハンドル、ロードスポーツ的なステップ位置、着座位置自由度の高いシートで街乗りから長距離ツーリングまで走行シーンを問わずに快適。足つきに余裕があれば純正アクセサリーのフラットシートに換装するといい。
ホンダ「CL500」注目ポイント
ホンダCL500 主なスペック・価格
全長×全幅×全高 | 2175×830×1135mm |
ホイールベース | 1485mm |
最低地上高 | 155mm |
シート高 | 790mm |
車両重量 | 192kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 |
総排気量 | 471cc |
ボア×ストローク | 67.0×66.8mm |
圧縮比 | 10.7 |
最高出力 | 34kW(46PS)/8500rpm |
最大トルク | 43N・m(4.4kgf・m)/6250rpm |
燃料タンク容量 | 12L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 27゜00′ |
トレール量 | 108mm |
タイヤサイズ(前・後) | 110/80R19M/C 59H・150/70R17M/C 69H |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
乗車定員 | 2人 |
燃料消費率 WMTCモード値 | 27.9km/L(クラス3-2)1人乗車時 |
製造国 | 日本 |
メーカー希望小売価格 | 86万3500円(消費税10%込) |