’80年代名車と、そんなバイク群を軸に’90年代に沸騰したカスタムブーム。当時からカワサキZ1など輸入販売、’90年代後半からは米国著名パーツブランドの輸入発売元として名を馳せ、さらにブームを後押ししたひとりがPMCの正本晃二代表だ。そんな正本さんに往時の逸話、そして今のマーケットがどう映るかを聞いた。
※本企画はHeritage&Legends 2023年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

この先もやっぱりZ! そんなライダーを応援する

’80年代車向けリプレイス&カスタムパーツの供給元として、特にZオーナーならその名を知らぬ者などいない、淡路島のPMC。その起源は国産ビッグバイクの輸入にあった。ブーム初頭からカスタムシーンを眺める正本代表に、同社変遷に映る当時の様子を聞こう。

画像: ▲お話を伺ったPMCの正本晃二代表。2023年はプロダクトMカンパニーの創業から35周年、PMCの設立からは25周年と、節目の年になった。ショールームに飾られたZ1に跨っての写真撮影をお願いすると、この笑顔。若い頃から大好きな、Zやマッハについては話し出すと止まらなくなる。

▲お話を伺ったPMCの正本晃二代表。2023年はプロダクトMカンパニーの創業から35周年、PMCの設立からは25周年と、節目の年になった。ショールームに飾られたZ1に跨っての写真撮影をお願いすると、この笑顔。若い頃から大好きな、Zやマッハについては話し出すと止まらなくなる。

「PMCの前身、プロダクトMカンパニーの創業が1988年。子供の頃からバイクが好きで、会社を興す前から入手したバイクを修理して販売する、ブローカーみたいな仕事をしていたんです。

会社を立ち上げてからは本格的にアメリカからZを中心とする国産中古バイクを輸入販売するようになりました。当時は1台、20〜30万円で仕入れたバイクを綺麗に仕立てれば倍以上の値段で売れた時代。そんなショップは当時、10社もあったでしょうか。

画像: ▲プロダクトMカンパニー時代、1軒目が手狭になって建てた2軒目の本社。1995年の写真だ。前列にはZ1やZ1-Rはもちろんローソンレプリカ、Z1100GPに750ターボが複数台並んで選び放題と、今見ると夢のような時代だった。

▲プロダクトMカンパニー時代、1軒目が手狭になって建てた2軒目の本社。1995年の写真だ。前列にはZ1やZ1-Rはもちろんローソンレプリカ、Z1100GPに750ターボが複数台並んで選び放題と、今見ると夢のような時代だった。

やがて’90年代に入るとカスタムブームがスタート。まだ明石海峡大橋もない時代でした。広い敷地で商売できたものでバイクもズラリと並べられて、関西はもちろん、中部や関東からもタコフェリー(2010年まで兵庫県の明石港と淡路島・岩屋港を結んだフェリー。船体にはタコのイラストが描かれ、タコフェリーとして親しまれた)に乗ってバイクを見に来る。世はバブルが崩壊して不景気と言われましたが、バイクの輸入販売は絶好調。この頃は年間400〜500台のビッグバイクを神戸港に水揚げしました。

でも、そんな商売も’95年の阪神淡路大震災で一変しました。神戸港が使えなくなって阪神高速も壊滅。フェリーも長期間、減便になり、バイクの授受が困難になったんです。

そんな危機を打開するために取り組んだのがパーツ販売でした。もともと、修理やカスタム用にパーツは製作販売していたし、バイクを輸入する際に仕立てた40tコンテナの空きスペースにはパーツも詰め込んで輸入していたのですが、ここを本格化。通販も開始しました。付加価値の高い海外ブランドパーツを販売したくて、ワイセコやアールズ、ピンゲルやダイナテックといった各メーカーに乗り込んで、代理店契約を結んだのもこの時期でした。

画像: ▲こちらが淡路島の淡路市にある現在のPMC本社だ。

▲こちらが淡路島の淡路市にある現在のPMC本社だ。

’98年にはピーエムシーを設立し、今はオリジナルパーツの開発・販売に力を入れているんです。やはりバイク好きの自分たちが「これ!」と思う理想のパーツをお届けしたい。Z900RS用を軸として’20年に立ち上げた『ARCHI(アーキ)』ブランドも同様です。

あの頃、50〜60万円の価格で販売されたZ1はコロナ前の’19年頃までは100万円前後、コロナ禍の巣ごもり需要が高まった’21年には200〜300万円、現在は良い状態のものなら最低で400〜500万円と相場は急騰しました。これからZを買おうというのは大変なことですが、それでもというのは本気で愛している証だろうと思います。

今、Zはリプレイスパーツで1台が仕上げられるほど製品は潤沢です。でも、それは永遠に続くものでもない。良いコンディションが作れるうちに手を入れて、長く楽しんでほしい。私たちもできる限りのバックアップと製品開発に取り組んでいきますから」

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すでにPMCで代理権を取得することになるアメリカ製人気パーツを装着していた

1996・ Z1

画像1: カスタムパーツの老舗、PMC・正本代表に聞いた’80年代名車のアイコン、カワサキZシリーズのカスタム今昔物語【Heritage&Legends】
プロダクトMカンパニー後期、1996年に製作したZ1カスタム。すでにピストンはワイセコφ76mmによる1197cc仕様。シリンダーブロックもワイセコ、オイルクーラーまわりはアールズを装着。マフラーやドリブンスプロケのアウトボード、バックステップ、S1タイプスイングアームはオリジナル。ドライブチェーンの530コンバートキットは同社の定番人気品だった。各部の詳細はこちらのザ・グッドルッキンバイクページをチェック!

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時代や流行の変化に合わせてさまざまなスタイルのZ1カスタムを提案し続ける

2000・Z1

画像2: カスタムパーツの老舗、PMC・正本代表に聞いた’80年代名車のアイコン、カワサキZシリーズのカスタム今昔物語【Heritage&Legends】
ストリート・ドラッグスタイルのZ1は2000年に製作。エンジンは1260cc。リヤには8.50-18サイズのソード2ホイールと240/40R18タイヤを履き、実走もしてみせた。

2010・Z1

画像3: カスタムパーツの老舗、PMC・正本代表に聞いた’80年代名車のアイコン、カワサキZシリーズのカスタム今昔物語【Heritage&Legends】
2010年のZ1は当時扱いを始めたYSSショックを装着していた。

2019・Z1

画像4: カスタムパーツの老舗、PMC・正本代表に聞いた’80年代名車のアイコン、カワサキZシリーズのカスタム今昔物語【Heritage&Legends】
自社製リプレイスパーツを存分に使用してレストアしたZ1A。2019年の東京モーターサイクルショーで初お披露目したのデモ車だった。

SWORD(FIRST MODEL)

画像5: カスタムパーツの老舗、PMC・正本代表に聞いた’80年代名車のアイコン、カワサキZシリーズのカスタム今昔物語【Heritage&Legends】
1999年に発売した国産初のアルミ鍛造ホイール『SWOAD』。現在もほぼ同デザインでSWOAD EVOLUTIONとして継続販売中だ。

取材協力:PMC

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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