フルカーボンの印象通りの軽さや自在感も持ち合わせる

「壊れないニンジャエンジン」をテーマに、内部各パーツにかかる応力や熱効率という点までにも配慮しながら、出力の向上を考える。同時にそうしたスープアップエンジンでは犠牲にされがちな耐久性も損なわずに、逆に高めていくというチューニングをもう30年続けてきたトレーディングガレージ ナカガワ(創業は1994年だ)。

エンジン内に異物が落ちればそれは内部を回ってブローなどのトラブルを引き起こす。だからクランクケースを始めとしたエンジン各パーツの隅にあるバリやエッジ(異物の元となってしまう)を落とす。パーツに必要な強度を残しながら駄肉を削っていく軽量加工、4つのピストンやコンロッドなど、複数あるパーツの重量を揃えてバランス。同様に燃焼室の容積合わせ、スムーズな混合気/排気の流れを作るポート加工。さらに対象パーツの表面強度や熱効率を高める鏡面加工、ヘッドへのオイルバイパスによってカムまわりの潤滑強化を図るといった具合だ。

ベースのGPZ900R:908ccからは972ccに1050cc、1078に1108、1137cc…とZZR1100/ZX-11やZRX1200など後継機エンジン用パーツも使いながら排気量設定も複数を用意し、望む用途に合わせて選べるようにする。合わせて、エンジン外観のリフレッシュも行える。

ここに挙げたメニューは個々にも受けられるが、TGナカガワではこうしたメニューをパッケージ化した「ステージメニュー」を用意している。ならばそれを元にしてコンプリートエンジンを作るのが、これからのニンジャには向いていると言える。

今では、そうした各作業/メニューのメリットをより高める表面処理の「R-Shot#M」も加わっている。対象物表面に二硫化モリブデンを混入したメディア(担体粒子)を打ち付けること(ショット)で対象物の表面強度を高め、かつ摺動抵抗を減らすという、TGナカガワ独自の手法だ。寸法維持性も持つため、測定して数字が許容範囲内にある中古パーツもR-Shot#M処理した上で再使用できるなど、多くのメリットがある。

画像1: フルカーボンの印象通りの軽さや自在感も持ち合わせる

パーツ別でも、まとめてフルに(再オーバーホール時にメニュー追加する)行うという依頼も、このところ増えてきたという。とくに後者、フルR-Shot#Mの効果は、体感でも味わえるようだ。このフルカーボンルックニンジャは、そんな例となる1台だ。

「オーナーさんは長い付き合いがあって、いろいろな仕様で車両を楽しんでこられた方。今は当店で鍛造ピストンを入れてカム変更ほか行い、ムービングパーツにはフルにR-Shot#M処理を施しています」と、エンジンの主な内容を中川さんは言う。「とにかく扱いやすくなっています。この仕様でキャブレターをFCRφ39mmにした時にはレスポンスも過敏なくらいに付いてきて、コーナー立ち上がりからフロントアップということもできます。対して今付けているのはFCRφ41mmなんですけど、こっちだと扱いやすさの方がぐっと前面に出てきて、普段使いにはまさに最適というふうに変わります。

ニンジャはノーマルからずっと乗ってきて、それも楽しかったんです。排気量アップなどもしてきて、その都度の仕様を楽しみましたけど、今の仕様はとてもいい。費用こそ多少はかかりますけど、エンジンに手を入れることを考えるなら作業は腰下までやるべきですし、合わせてR-Shot#Mもやればなおいいと思います」

画像2: フルカーボンの印象通りの軽さや自在感も持ち合わせる

こうオーナーも言うように、扱いやすさは大幅にアップ、そして補機類の変更で性格も変えられる(現行モデルで言うモード切替的なこと)ようにできることが分かった。R-Shot#Mについては他のオーナーからも同様の話が聞かれるという。当然だが、受け止める側の車体もきっちりした17インチ仕様にカーボンホイールなど確実な現代化が行われている。そんな車体を生かしきれるエンジンという意味でもこの車両、これからのニンジャカスタムの参考にしたくなる。

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Detailed Description 詳細説明

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外装類はコンセプトのひとつ純正形状のカーボンに置き換えられ、ウインカーステーやボディもカーボンパターンで合わせる。カーボンボディのレーサーレプリカミラー・タイプ4ヘッドはマジカルレーシング。スクリーンはゼログラビティのスモークで全体感を揃える。

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燃料タンクもアルミ製に置き換えた上でカーボンカバーを被せ、そのカーボン地を生かしたままA6ラインを施している。アッパーカウル下端にはウイングタイプスポイラーも追加。

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スカルプチャー倒立E×Mパッケージ同梱のステアリングステムにデイトナRCMコンセプトバーをマウントし、左右マスターにブレンボRCSを選択するコクピット。メーターはエンジン回転計をDefiとしPROTECギヤインジケーターやヨシムラ・プログレスメーター、ほかにもシフトライトを装備している。

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ライダー側にももまわりの自由度が高まるカッティングが施されたシートはシングルシートスタイルの製品。必要によりタンデムも可能だ。

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エンジンは1052ccのZRX1100(ニンジャより3mm長い58mmストロークのクランクを持ち、ニンジャの2バルブ1ロッカーに対して1バルブ1ロッカー)用をベースにφ78mmピストンを組み合わせたTGN#1108メニューが施されたものを搭載。エンジン内の摺動各部にTGナカガワのR-Shot#Mが施されている。ZRXエンジンを積むのに合わせてダウンチューブ/ステップはナイトロレーシングを使う。

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キャブレターにはFCRφ41mmを装着。この仕様は乗りやすさが前面に出てくるようになり、これをFCRφ39mmに交換すると、操作感をきっちり楽しめるようなレスポンスが得られるという。この特性変化を楽しめるのはTGナカガワで腰下までチューニングと、内部パーツへのフルR-Shot#M化を行った効果だともオーナーは絶賛する。

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前後ホイールはドライカーボン製のBSTダイヤモンドテックで3.50-17/6.00-17サイズを履く。前後サスはオーリンズでフロントはFG424倒立フォーク。フロントブレーキはモノブロックCNCのブレンボGP4-RXキャリパー+サンスター・ワークスエキスパンドディスク。

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リヤブレーキはブレンボGP2-SS CNCキャリパー+サンスター・ワークスエキスパンドディスク。排気系はチタンエキパイに他モデル用のトリックスター・IKAZUCHIブラックエディション・チタンサイレンサーを組み合わせている。

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リヤサスはケイファクトリー・ビッグサイズ新型目の字断面スイングアームにオーリンズKA203ショックの組み合わせ。ドライブチェーンはEK・ThreeD 520ZのBK;GP(ブラック×ゴールド)だ。

取材協力:トレーディングガレージ ナカガワ

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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