Zが好きでカスタムが好きという原点を彷彿させる

空冷Zには、’73年型として登場した初代のZ1、’74年のZ1A、’75年型Z1Bの、いわゆるZ1がまずある。そして車名をZ900(北米仕様はKZ900)とし、キャブレターをBS28からBS26にするなどした’76年型が続く。ここまでが903ccエンジンを積む。’77年からはボアが拡大されて1015ccとなり、マフラーも4本から2本出しに変わり、ブレーキがトリプルディスク化したZ1000/KZ1000に移行する。Z1/Z900/Z1000とも空冷Zであることに変わりはないのだが、Z1、しかも初期型を重視する傾向はマーケットにも大きくあるようだ。

この車両はその空冷Zの中でも、903cc系後期と言えるKZ900をベースにしたもので、そこに、’79/’80年型空冷ZとなるZ1000Mk.IIの外装がコンバートされている。だから丸型ヘッドカバーに角型ボディという仕様となっているのだ。

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「その外装変更仕様で車両を持ち込んでいただいたんです。18インチ化などはされていましたが、入庫後に改めて17インチ化するというオーダーでした。それに合わせて外装の架装用ステーなどもきちんとした作りにしたりと、徹底的にやりましょうとなって、当店コンプリートカスタムのRCM(Radical Construction Manufacture)としてできあがりました」

ACサンクチュアリーの中村さんは言う。同店ST-IIフレーム補強やチェーン軌道確保などの加工、ライフとパワーをバランスしたエンジン、新品の電気系に、現代の高質な足まわり。普通なら人気のZ1でやろうと考えるかもしれないが、オーナーはKZ900というモデルそのもの、そしてMk.IIのスタイルが好きで、だからそのまま入庫し、コンプリートへと昇華したのだ。

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自分の気に入る仕様をベストコンディションで楽しむべく、自ら求める価値観をきっちり作り込んでいくRCM。そこに加わる楽しさや満足感は、ベースがZ1でもKZでも、LTDでも変わらないんですよと中村さん。なぜなら、資産価値でなく、車両そのものを楽しむこと。これがカスタムでは最重要だから。その原点的な気持ちが、この車両からはストレートに伝わってくる。

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Detailed Description 詳細説明

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ステアリングステムはスカルプチャーφ43SPステムキットのMk.II用TYPE-1でオフセットは純正60から35mmに。クラッチは油圧駆動化した上で左右マスターシリンダーはブレンボRCSに。ハンドルバーは適度な高さ設定もお勧めというデイトナRCMコンセプトをセットする。

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KZ900の丸タンク外装をMk.II仕様の角型へ外装コンバートした状態の車両を持ち込んで作業はスタートした。フレーム加工時に外装マウント用ステー類も見直された。

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テールまわりもMk.IIの形状へコンバートしている。シートにはデイトナ・コージーシートRCMコンセプトを使っている。

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エンジンはフルオーバーホールを施すとともにライフ重視のパッケージで製作。スペックとしてはピスタルφ71mm鍛造ピストンで1015ccから1045cc化し、クランクは芯出し修正。バルブはオーバーサイズガイド入れ替えした上でPAMS HFバルブを組み、オイルポンプもトロコイドポンプ式に。ミッションクリアランスも取り直したというものだ。フレームはサンクチュアリーST-II補強によって12カ所を補強、17インチ化にともなうチェーンライン軌道確保(23mm外側へ)なども行われている。

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キャブレターはTMRφ36mmを使う。丸型のヘッドまわりはベース車がKZ900であることの証だ。排気系はナイトロレーシング・4in1手曲げチタンEXマフラー+ナイトロレーシング・コニカルチタンV-IIサイレンサーだ。

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フロントフォークはオーリンズRWUをノーブレスト・E×Mパッケージによって装着。でフロントブレーキはブレンボCNC 4Pキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク“RCM”コンセプト。

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リヤブレーキはブレンボ CNC 2P 34キャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク。ホイールはアルミ鍛造のO・Z GASS RS-Aで3.50-17/5.50-17サイズを履く。

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リヤショックはオーリンズ・グランドツイン。スイングアームはスカルプチャー17インチワイドスイングアームのブラックを装着。ドライブチェーンはEK530RCMのBK;GPを使う。

取材協力:ACサンクチュアリー(SANCTUARY本店)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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