カスタムらしい手応えも魅力となった製作過程

ハーフカウルやユニトラック・リヤサスなどを備え、空冷Z系の最終モデルとなったGPz1100(’83〜’85年)。それを元にコンプリートカスタム化を図った車両。RCM-582というナンバーが与えられたことから分かるように、ACサンクチュアリーによるコンプリートカスタムだ。内容を同店・中村さんに聞こう。

画像1: カスタムらしい手応えも魅力となった製作過程

「過去にもGPzベースのRCMはありましたが、それらは17インチ仕様だったんです。オーナーさんはその作例もリスペクトしているんですけれど、自分の車両は18インチで行きたいと。それで新たに加わった当社の18インチ仕様E×Mパッケージ(エクスモードパッケージ。オーリンズフォークをボルトオンできるようにキット化している)を使って仕立てました。少し前は太いフロントフォークと18インチに戸惑いもありましたが、形にするときちんと映える。

フォークもスイングアームも18インチにはクリアランス等の問題はなく、17インチで直面するバンク角の問題もなし。むしろマフラーがリンクを避けるようにするためのエキパイレイアウトやテールパイプを少し右オフセットしたりなど、ワンオフ的になった点が難しかったかな」

画像2: カスタムらしい手応えも魅力となった製作過程

GPzも自身の車歴にある中村さんだから、勘所も分かっている。

「Z1000J/RやGPzではフレームにダメージが出やすいんです。メイン部でなく、エンジンマウントまわり。長いリヤマウントボルトが曲がります。ここはゼファー1100のやり方に倣い、マウントボルトを短くして、コの字状マウントプレートをクランクケースに直接固定されるようにします。前側も固定でなく、元々のマウントラバー部にジュラルミン削り出しカラーを入れます。

GPzやJ/R系はこうして対策と補強をすると、本当によく走る。元々ツアラー方向で曲がらなかったGPzですけど、このあたり含めて、やりがいがあります」

多くのカスタムから培われたZへのノウハウは、シリーズ最終のZたるGPzにも生きる。惜しむらくは、GPzにも他のZ同様、パーツ枯渇の波が来ていることだ。手を入れたいなら、早めにだ。

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画像1: Detailed Description 詳細説明

ステアリングステムはスカルプチャーのゼファー1100用TYPE-1でオフセットはGPz純正の45mmから35mmとし、セパレートアップからバーハンドル化した。メーターもスタックST700+ST3315をワンオフパネルに収めている。

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左右マスターシリンダーはブレンボRCSでレバーをブレンボZETA・ブレンボRCS用“RCM”コンセプトフライトレバーに換装。ミラーはマジカルレーシングNK-1ミラーのタイプ5ヘッドを使う。

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YFデザインでフルペイントした外装や、社外品の上端をカットしたスクリーンは18インチスタイルにもマッチ。燃料タンク上の液晶メーターはヨシムラ・プログレスメーターに入れ替えた。

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エンジンはヴォスナー鍛造φ75mmピストンで1089から1170ccに拡大。ミッションのドッグクリアランス加工やクランク芯出し、バルブガイド入れ替え/シートカットなど多くの加工をDiNx社で行っている。

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キャブレターはTMR-MJNφ38mmのヨシムラ・デュアルスタックファンネル仕様で、オールチタンの排気系はナイトロレーシング製受注生産仕様を装着。

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この写真中央左のように、後ろ側エンジンマウントは短いコの字状パーツでケース左右を挟むようにした上で、マウントボルトも短くしている。

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フロントフォークはノーブレストの「18インチ オーリンズ“E×M”エクスモードパッケージ」でオーリンズRWUを装着。フロントブレーキはブレンボ・アキシャル4Pキャリパー+サンスター・トラッドφ320ディスク。

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リヤブレーキはブレンボ2Pキャリパー+サンスター・トラッドφ250mmディスク。ハードパーツもボディ側に合わせてレッドとブラックの組み合わせを多用した。

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リヤサスはナイトロン・オーダーメイドショックにスカルプチャー・17インチ専用スイングアームを組み合わせる。前後ホイールは17/18インチからアルミ鍛造のソード・ヘリテイジのMk.Ⅱ用2.75-18/4.00-18に換装。18インチのためタイヤも17インチより細身の150/70-18となり、チェーンラインオフセットは17インチの23mmに対し17mmとなっている。

取材協力:ACサンクチュアリー(SANCTUARY本店)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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