ホンダ「CB400 SUPER FOUR」|太田安治の絶版車回想録

Honda CB400 SUPER FOUR
1992年
総排気量:399cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
最高出力:53PS/11000rpm
最大トルク:3.7kgm/10000rpm
シート高:770mm
車両重量:192kg
当時価格:税別58万9000円(ツートーンカラーは税別59万9000円)
あらゆる状況でも完璧に応える技術力
1969年発売のCB750FOURが世界的なヒットとなって以降、ホンダは直4エンジン車を積極的に展開した。中型クラスでは1972年にCB350FOUR、1974年にCB400FOUR、1981年にCBX400Fを発売。1980年代レプリカブームでは空冷→水冷へと進化を続けたCBRシリーズが人気となった。
レプリカブームが沈静化に向かい始めた1989年に登場したのが、ネイキッドスタイルの車体にCBR系の水冷エンジンを搭載したCB-1。落ち着いた見た目に反して意外なほどキビキビ走るので僕好みだったけれど、そのスポーツ寄りのキャラクターが災いしたのか、ヒット作にはならなかったな。

Honda CB-1
1989年
総排気量:399cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
当時価格:64万6000円
そこで「プロジェクトBIG-1」の第1弾として完全新設計で登場したのがCB400スーパーフォア。発表試乗会では全回転域でスムースかつ低回転域でも力強くレスポンスするエンジン特性と素直なハンドリングを評価するジャーナリストが多かったけれど、一般ユーザーを惹き付けたのは水冷なのに冷却フィンを演出したエンジンやリア2本サスといった大型車的なルックスだ。これによってミドルネイキッドの王者に君臨していたゼファーの立場が一変した。
ライバル対決企画でゼファー、インパルス、XJRと比較試乗する機会が何度もあったけれど、誰がどこでどう乗っても扱いやすいというホンダらしい優等生キャラクターが光った。しかも本気で攻めればちゃんと速いしね。

Honda CB400 SUPER FOUR
1992年
耐久性の高さも特徴で、バイク便ライダーの話だと消耗部品の交換だけで50万km超えは珍しくなくて、中には70万km走った個体もあるという。エンジニアから聞いた話では、1億台以上が生産されて世界中の過酷な使用状況で鍛えられたスーパーカブから得たノウハウが活きているとのこと。特に熱膨張と潤滑に関しては凄い量の技術蓄積があるそうだ。
素性がいいだけに、バリエーションモデルの完成度も高かった。ビキニカウルを装着した「バージョンR」は53馬力という数値が疑わしい速さで、富士スピードウェイで1周だけ最高速トライしたら、あっさり200km/hオーバー。1997年に出たCB400FOURは連結パイプなしの4本マフラーを採用して、低中回転域での排気音はCB750FOURに似た重厚な音質を響かせた。両車ともセールス的には失敗したけど、ホンダの幅広い技術力を感じたよ。
海外生産で復活するという噂もあるけど、開発陣の執念を感じさせるスーパーフォアの完成度を超えるのは容易じゃないと思うな。
かつての月刊『オートバイ』の誌面で振り返る「CB400SF」

400ccクラス王者奪回のために誕生!
完全新設計で登場したCB400SF。1992年にデビューし、その後モデルチェンジを重ねながら2022年まで続くロングセラーとなった。

異彩を放つ! ひとクラス上の存在感
デビューと同時に人気爆発! 当然バイク・オブ・ザ・イヤーではブッチギリの1位を獲得。ゼファーV3の野望を打ち砕いた!

ミドルクラスを制した王者の揺るぎない貫禄
多くのマフラーメーカーからCB400SF用のマフラーが続々と登場した。それらのマフラーを装着した車両でサーキットを大激走した!

2台巨頭!ヨシムラとモリワキがマフラー開発で大激突!
当然ヨシムラもモリワキもCB400SF用のマフラーを開発。この企画での評価が売れ行きに大きく影響するのでテスターは大マジメだった!?

ワインディングもストリートも前例のない秀逸なドライバビリティ
今も現役バリバリ! 衰えを知らない不死身の太田安治氏もCB400SFで峠を激走! 素晴らしいバイクだったと評価している。

初期型のボディカラーは5色!
ボディカラーはいきなり5色も用意されていた。その中でもパールシャイニングイエローとイタリアンレッドが人気色だった。
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