1980年代後半、レーサーレプリカのルックスに50ccエンジンを搭載したゼロハンレプリカブームが到来した。その先駆者がスズキ GAG。この成功を受けヤマハがYSR50を投入し、さらに人気を加速させた。
文:太田安治

スズキ「GAG」&ヤマハ「YSR50」|太田安治の絶版車回想録

画像: SUZUKI GAG 1986年 総排気量:49cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 シート高:610mm 乾燥重量:64kg 当時価格:18万3000円

SUZUKI GAG
1986年

総排気量:49cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:610mm
乾燥重量:64kg

当時価格:18万3000円

画像: YAMAHA YSR50 1986年 総排気量:49cc エンジン形式:空冷2スト ピストンリードバルブ単気筒 シート高:650mm 乾燥重量:75kg 当時価格:18万9000円

YAMAHA YSR50
1986年

総排気量:49cc
エンジン形式:空冷2スト ピストンリードバルブ単気筒
シート高:650mm
乾燥重量:75kg

当時価格:18万9000円

軽いギャグだったのに、のちにパワー戦争勃発

1980年代に入るとレーサーレプリカと呼ばれるオートバイが続々と登場して「ブーム」が起きた。きっかけはRZやRG-Γといった250ccクラスで、3年程度遅れてFZやGSX-Rといった400ccクラスへ波及。1980年代中盤になるとブームがさらに拡大して、気付けば125ccから750cc以上の大型モデルまでレプリカだらけになっていた。

さらに好景気も後押しして、日本のオートバイ業界はメーカーから販売店、部品、用品関連まで、業種を問わずに異様な盛り上がり。月刊『オートバイ』にも広告が入りまくって、「電話帳」と揶揄されるほどブ厚くなって1冊1kgの重さになったのもこの頃だ。

本来「レーサーレプリカ」は、競技専用のレーシングマシンのメカニズムを元に作られた「公道走行可能な市販車」という意味合い。TZRは市販レーサーのTZレプリカ、NSRはワークスNSRや市販レーサーRSのレプリカといった具合だね。

ならば先にレーサーが存在しなかった400ccや125ccにレプリカは存在しない、という見解もある。ただ当時は市販車改造クラスのレースが盛り上がっていたから、そこを走るF1やF3レーサーのイメージを受け継いで作られた市販車が人気になり、その市販車を元に新たなレーサーが作られる「卵が先か鶏が先か」状態に。明確な線引きなんかできないから、最終的に「見た目がレーサーっぽければOK」という、なんとも緩い定義に落ち着いちゃった。

だから1986年に登場したスズキのGAG(ギャグ)とヤマハのYSR50もレーサーレプリカと呼んだ。GAGはツインスパー風の鉄フレームに前後10インチの小径ホイールを組み合わせ、フルカウルの外装デザインをGSX-Rに寄せて、いっぱしのレプリカ感を漂わせていた。ただしエンジンは今はなきバーディー(スーパーカブ的な実用車)の空冷4スト50ccエンジンで最高出力は5.2PS。

はっきり言って遅かったが、車名からして「ギャグ」だから走りに不満を持つのは無粋だけれど、マニア向けにホンダの横型エンジンチューニングで有名な武川やヨシムラからもボアアップキットなどのチューニングパーツが出ていた。しっかりファンを掴んでいただけに、一代限りで生産終了になったのは残念だったな。

画像: YAMAHA YSR50

YAMAHA YSR50

対してYSR50は名車ミニトレ(GT50)系の空冷2ストエンジンで、7PSもあったから元気に走った。車体が小さいからポケバイからステップアップするキッズライダー、女性ライダーにも大人気。いい大人もミニバイクレース、耐久レースに出場して楽しんでたね。

翌年に50ccレプリカの真打ちともいうべきNSR50が登場して動力性能では大差を付けられたけど、ミニトレ時代から豊富に揃っていたエンジンチューニングパーツを使い、ボアアップ、大径キャブ、チャンバー、さらには圧縮比アップとポートの拡大で125ccなみに速いマシンに仕上げて楽しむ人が多かったこともYSRユーザーの特徴だ。

かつての月刊『オートバイ』の誌面で振り返る「GAG」「YSR50」

画像: 月刊『オートバイ』が発売前にとらえたスクープ写真。大人気だったTZR250と写っているのが、YSR50の開発車両。ヤマハのワークスカラーのストロボラインを採用している。

月刊『オートバイ』が発売前にとらえたスクープ写真。大人気だったTZR250と写っているのが、YSR50の開発車両。ヤマハのワークスカラーのストロボラインを採用している。

画像: レーサーレプリカのルックスに50ccの2ストエンジンを搭載したゼロハンレプリカブームが到来した。その先駆者がスズキ GAG。この成功を受けヤマハがYSR50を投入し、さらに人気を加速させた。

レーサーレプリカのルックスに50ccの2ストエンジンを搭載したゼロハンレプリカブームが到来した。その先駆者がスズキ GAG。この成功を受けヤマハがYSR50を投入し、さらに人気を加速させた。

画像: YZR500のフルコピーとも言えるスタイルでデビューしたYSR50。ストロボカラーの他に、ゴロワーズカラーもラインアップした。

YZR500のフルコピーとも言えるスタイルでデビューしたYSR50。ストロボカラーの他に、ゴロワーズカラーもラインアップした。

画像: 程よいパワーとスタイリングがウケてGAGでサーキットを走るライダーが急増した。ボアアップキットなどのカスタムパーツも豊富にあった。

程よいパワーとスタイリングがウケてGAGでサーキットを走るライダーが急増した。ボアアップキットなどのカスタムパーツも豊富にあった。

画像: 当時『オートバイ』で活躍していたJunko氏もGAGの魅力に取り憑かれていたようだ。ミニバイクレースも大いに盛り上がっていた。

当時『オートバイ』で活躍していたJunko氏もGAGの魅力に取り憑かれていたようだ。ミニバイクレースも大いに盛り上がっていた。

文:太田安治

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