スタンダードモデルCRF1100Lアフリカツインのバリエーションモデルがアドベンチャースポーツだ。コーナリングヘッドライトや大容量タンクなどで、より長く過酷なツーリングに対応させたモデルとなっている。また、電子制御サスのEERAを標準装備したモデルがアドベンチャースポーツESだ。2022年には、エンジンの排ガス規制対応、DCTの制御プログラムの見直し、ウインドスクリーン形状の変更といった改良を受け、さらにアドベンチャーツアラーとしての完成度が高められている。
文:濱矢文夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行

ホンダ「CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES」インプレ(濱矢文夫)

画像1: Honda CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES 総排気量:1082cc エンジン形式:水冷4ストOHC(ユニカム)4バルブ並列2気筒 シート高:810-830mm 車両重量:250kg 税込価格:194万7000円 ※撮影車両はオプションパーツ装着車

Honda CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES

総排気量:1082cc
エンジン形式:水冷4ストOHC(ユニカム)4バルブ並列2気筒
シート高:810-830mm
車両重量:250kg

税込価格:194万7000円
※撮影車両はオプションパーツ装着車

趣味趣向に合わせバリエーションも豊富!

アフリカツインにはスタンダードバージョンと、より大容量燃料タンク、高いスクリーン、リアキャリア、コーナーリングランプ、電子制御サスペンションなどが装備されたアドベンチャースポーツESの2種類あり、その両方に一般的なマニュアルとオートマチック走行も可能なDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)が用意され、全部で4タイプから選べる。

水冷パラツインエンジンはCRF1000Lの998ccからCRF1100Lはストロークを伸ばして84ccプラスした1082ccになった。スペック的には最高出力で7PS、最大トルクも若干増えていただけなのに走らせると印象はかなり違う。細部を見直して吸気効率を上げただけあって明らかに1100になってパワフルになった。特に低回転からパルス感をともなってグイグイと押し出していくのが気持ちいい。

スロットルを開けていくと、よりタイヤのくいツキが良くなってトルクの谷もなくスムーズに高回転域まで吹けあがる。横に並べて乗り比べなくても、間違いなく力強さが増して加速が良くなったと言い切れる変化。これだけでも単純に速くなったと感じさせるものだ。このマニュアルトランスミッション仕様でエンジン単体重量を2.5kgも軽量化したそうだ。

画像1: ホンダ「CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES」レビュー(2023年)先進技術でオフロード走行も日常に!
画像2: ホンダ「CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES」レビュー(2023年)先進技術でオフロード走行も日常に!

好印象はエンジンだけにとどまらず。1100になってフレームが新しくなっている。メインフレーム部分は以前からの踏襲レイアウトになるが、剛性バランスを変更して、前後方向の入力に対して強くした。モトクロッサーCRF450R譲りの新開発アルミスイングアームなど足回りも刷新。これによって、速度を上げて走っている時の安定感が増して、車体全体がシャキッとしっかりとした。

コーナーリング時の、強い減速からリーンして旋回、脱出にむけてスロットルを開けていく一連の動きが、確実に良くなって、スピードを上げて荷重をかけて曲がるときに若干あった落ち着かない動きがおさまり、ギャップなどがあってもサスペンションがしなやかに対応してくれ、ワインディングもさらに走りやすくなった。スポーツ度が増したという表現をしても差し支えないほど。

車体バンク角や、車体減速度、全後輪のスリップ、ウイリーや急ブレーキ時のリアタイヤの浮き上がりなどを検知して、車体がどういう状態なのかを把握できるIMU(慣性センサー)を使って、コーナーリング時のブレーキや、ホンダセレクタブルトルクコントロールのスリップ抑制をしているのだが、路面が濡れている場合などグリップ状況が悪くなるほど介入してくるのが分かる。オフロード走行に慣れた人が、車体の動きを積極的に支配して走りたい時はトルクコントロールの介入を小さくするといいだろう。

画像: ホンダ「CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES」インプレ(濱矢文夫)

ライディングモードが、ツアー/アーバン/グラベル/オフロードと自分の好みに各種設定ができるユーザーモード(2つ)あるので、これを切り替えるだけでエンジン特性は明らかに変化し、走りの状況に合わせたものになる。ABSの効きもそのライディングモードによって変わる。グラベルとオフロードって何が違うんだと思うモード分けだけど、実際にダートで乗ってみると、グラベルがハイスピードなフラットなダート向けで、低回転域が穏やかになって急にテールが出ない設定。オフロードは低回転でトルクのピックアップが良くなり、凸凹を乗り越えていくために前の荷重を抜いたりアクションがやりやすいから、より荒れ地向けということだろう。オフロードモードの時はリアのABSをオフにできるからオフロード好きにとってありがたい。

総括すると、街中、高速道路、ワインディングと、どのシチュエーションでも前作を超える走りになったということ。国内では2016年に初代1000が発売されて、細かなアップデートは受けてきたけれど、同排気量クラスのライバルも進化をしてきて、やや見劣りする部分もあった。この1100は装備も含めてそれを一気に底上げして魅力的になったと感じた。フロントに21インチという大径タイヤを履いていることから、オフロード走行の性能についてクローズアップされることが多いけれど、それ以外でも完成度は高いのである。   

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