海外からのオーダーを前後17インチホイール化で反映したカタナカスタム

往年のスズキ・ワークスレーサーを感じさせるライトブルーのカラーリングが施されたカタナ。ACサンクチュアリーのコンプリートカスタム、RCM(Radical Construction Manufacture)の近作(シリアルナンバーは588が付けられる)で、’22年の東京モーターサイクルショー・江沼チェンブースに展示されたRCM-500(これもカタナだった)に続く海外からのオーダー車だ。

「台湾で大型スポーツバイクを扱うショップ・CH MOTO経由でのオーダーで、オーナーさんはCB900FのRCMも持っている方。つまり2台目のRCM依頼です。ベースは長年所有していたというレース・ホモロゲーションモデルのGSX1000Sですが、CH MOTOさんも車両の内容をよく理解しておられて、エンジンやフレーム、外装といったコンプリート製作用に必要なパーツを送ってきて、こちらではそれを元に作業を進めていきました」と、サンクチュアリーの中村さん。

画像1: 海外からのオーダーを前後17インチホイール化で反映したカタナカスタム

ちなみにホモロゲーションモデルとは認可用モデルのこと。市販車ベースを対象としたレースに参加するために量産車として規定の台数(例えば500台、1000台。25台という少数の場合もあった)を生産する必要があり、その台数をクリアするためのもの。レース規定に合わせた、あるいは有利なスペックを盛り込むことも多かった。GSX1000Sの場合はGSX1100Sが1074ccという排気量を持っていたため、当時の1000cc上限規定に合わせてあえて998cc仕様のエンジンを作った上で市販されたものだ。’82、’83年の2年で累計3000台が生産されたという。

話を戻そう。車両としてでなく、必要な部分が送られてきたこの車両、入庫からの分解作業を省き、各パートを加工にすぐ回せる利点もあった。依頼主が旧車が好きで、RCMというコンプリートカスタムの内容も知る中で、どんな内容になったのだろう。

画像2: 海外からのオーダーを前後17インチホイール化で反映したカタナカスタム

「オーダーは前後17インチで倒立フォーク、ウェルドクラフトマフラーというのが前提になっていて、これはまさにRCMの作り。その上で使用パーツや外装も含めた色味はすべて先方の依頼通りに仕立てています。エンジンはDiNx社に内燃機加工を依頼しての1135cc仕様となっています」

17インチ化に当たってのシャシー作業=補強やチェーンラインオフセット、トレール確保は、カタナでも同じ世代のホンダCB-F系、カワサキZ系で行うのと同じように行われる。エンジンのオーバーホールなどで必要な純正パーツに関してもUSスズキなどにも当たって確保するなどもし、車両完成後は走行テストまで行って納車へと至った。

「カタナとしてはRCM-002や500、かつて作り置きの完成車を販売するという目的で製作した〝RCMクラフトマンシップ〟のRCM-126というシリアルナンバーを持つ車両でRCM、つまり17インチの仕様が確立していましたから、今回のRCM-588では昭和のバイクであるカタナに何と言うか、平成テイスト(RCMが送り出されたのは2000年=平成12年だから、その前から積み上げた要素があり、それはRCM完成後も練り込まれている)と言えるフルメニューをこなして今=令和に納車した感じですね」とも中村さん。なるほど、これはそうしたRCM進化の歴史も盛り込みながら、17インチカタナ・カスタムの魅力を大きく引き出した1台ということだ。

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YFデザインによる外装は「スズキワークスイメージで」というオーナーのこだわりを反映したもの。スクリーンはオオノスピードのスモークでミラーはマジカルレーシング・NK-1ミラーのタイプ2ヘッド。フロントマスターはブレンボRCSでクラッチホルダーはコーケンをマウントと、操作性にも気を遣ったチョイスがなされる。

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カタナのワンボディを再解釈した構成を採るメーターは、カーボン/アルミの2分割パネルをワンオフしてスタックST700SRメーターを中央に置き、スタックST3000を油温計として右に置く。インジケーター類やシリアルプレートはアルミパネル側にまとめている。ステアリングステムはスカルプチャー倒立ステムキットtype2でハンドルはデイトナ・セパレート。このパートだけ見ると現代の高級車的にも映る。

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シートはオリジナルデザインを生かしながら表皮と内部を変更。フレームは5カ所のオリジナル補強やドライブチェーンラインのオフセット軌道対応インライン処理、リヤショックマウントのワイドレイダウン加工を行った上でブラスト処理後にパウダーコーティングを施した。

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ステップはナイトロレーシングのGSX1100S用。ドライブスプロケットカバーもナイトロレーシングのクラッチプレートでメンテナンス性も高めてある。

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エンジンはφ74mmのノーブレスト×ヴォスナー鍛造ピストンによる1135cc仕様。クランクの曲がり修正やオーバーサイズバルブガイド入れ替え、バルブシートカット精密加工などの内燃機加工をDiNx社で行っている。点火系はウオタニSP2で、冷却性を高めるためナイトロレーシング・9インチ13段フラットオイルクーラーを追加した。

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キャブレターはヨシムラTMR-MJNφ40mmのデュアルスタックファンネル仕様で、ナイトロレーシング・ウェルドチタンフルエキゾースト+グレネードチタンVIIIハーフポリッシュサイレンサーと組み合わせた。

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ノーブレストのオーリンズ倒立フロントフォークE×Mパッケージでブレンボ GP4 RXキャリパーをマウント、RCMコンセプトφ320ホール&スリットディスクを組み合わせる。

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リヤブレーキはブレンボGP2-SS CNCだ。

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オーリンズ・ブラックラインリヤショックはスカルプチャー・ワイドスイングアーム(スタビ追加)にセット。ホイールはO・Z GASS RS-Aで3.50-17/5.50-17サイズを履く。

取材協力:ACサンクチュアリー(SANCTUARY本店)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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