「未舗装路走行ありきのフロント21インチで開発され、Vストロームシリーズ最長となる前後220mmのサスペンションストローク量を確保した『Vストローム800DE』ですが、シートも高そうだし普通のツーリングが楽しめるのかどうかちょっと心配です……

Vストローム800DEは“未舗装路ありき”で開発された“オンロード主体”のバイクです!?

画像1: Vストローム800DEは“未舗装路ありき”で開発された“オンロード主体”のバイクです!?

この度はスズキのバイク!編集部による「Vストローム800DE」のレビュー記事をご覧頂き、誠にありがとうございます。

まずはじめに、筆者の私(岩瀬)は、Vストロームシリーズのようなアドベンチャーバイクが大好物でして、とりわけVストローム650シリーズの“ツアラー的な万能力”の大ファンでございました。

そんなVストロームシリーズには、他にもフラッグシップモデルの「Vストローム1050」シリーズもあるし、街乗りからツーリングまで楽しめる「Vストローム250」まで排気量別に幅広いラインアップがあるので、まさかそこへ“800ccモデル”まで加わるなんて思ってもいませんでした。

画像2: Vストローム800DEは“未舗装路ありき”で開発された“オンロード主体”のバイクです!?

Vストローム1050と650の中間的な排気量で登場した「Vストローム800DE」は、開発の段階からフロント21インチで設計され、シリーズ最長となる前後220mmのサスペンションストローク量を確保した“未舗装路走行ありき”のディメンションで登場しました。

さらには、スズキのモトクロッサー「RM-Zシリーズ」の開発に携わった方もプロジェクトに加わっている……などなど、下馬評からして大型アドベンチャーでガチでダートを走る人のための「上級者向けVストロームなの?」と、誤解されている方もいらっしゃるかもしれません。

斯く言う、筆者の私(岩瀬)も、正直そう思っておりました(笑)

画像3: Vストローム800DEは“未舗装路ありき”で開発された“オンロード主体”のバイクです!?

でも、いざVストローム800DEに試乗してみると、ちょっと走っただけで想像の遥か上を超えちゃうほど乗りやすくて楽しいマシンだったんですよ!

当記事では、Vストローム800DEに乗ってみたいけど、見るからにシートも高そうだし「いかにもガチっぽくて自分には難しそう……」と思っている方に、一般的なツーリングでの扱いやすさや、スポーティな走りを楽しむために“最初に知っておきたいこと”をまとめてみました。

Vストローム800DEの不安要素を取り除くための、ひとつの参考になれば幸いです。

Vストローム800DEへの不安を取り消すためにまず知っておきたいこと

シート高855mmの足つき性について

画像1: ライダー身長/172cm

ライダー身長/172cm

大型アドベンチャーバイクに乗るうえで、まず気になるのは足つき性かもしれません。

確かに、Vストローム800DEのシート高は855mmで、数値的にもけっこう高い部類に入ります。

それに、未舗装路の走破性を高めるフロント21インチに加え、サスペンションストローク量もVストロームシリーズ最長となる前後220mmもありますから、実際に跨ってみるまで足つき性に不安を感じる方も多いかもしれません。

画像2: ライダー身長/172cm

ライダー身長/172cm

確かに、身長172cmの筆者も両足で跨るとつま先はツンツン立ちでした(笑)

でも、こう見えて不思議なくらい「これはちょっと足つき性がキツイかも……」ってならないんですよ。

Vストローム800DEは、Vストローム1050シリーズや650シリーズに採用されているアルミフレームではなく、車体やフレームをより細くできるパイプ製のスチールフレームが採用されています。

ライダーが跨るシートの先端が、ほぼオフロードバイク並みの細さになっていて、その下にも足を遮るものが何もないので、高さはあるのに足が地面に着きやすい形状になっているんです。

画像: シート高855mmの足つき性について

それでも足つきに不安がある場合は、腰を僅かにズラして片足で停車するのがおすすめ。

こうすることで、片足でも足裏全体をしっかり地面に着けるため、両足でつま先で支えるより安心感が高まります。

Vストローム800DEはシート高の数値は高めでも、車体の横幅が異様にスリムなので、足を自然に下ろすことができるので、片足1本で支えても車体がフラつくようなことはありませんでした。

車両重量230kgの押し引きや取り回しについて

画像1: 車両重量230kgの押し引きや取り回しについて

続いて、バイクを駐輪場から動かす時などの押し引きや取り回しのしやすさを試してみます。

フロントは大径ホイールの21インチですし、サスペンションストロークも長いので、ハンドルの位置はかなり高く感じます。

それに加えてハンドル幅も975mmとかなりワイドなので、前輪が大回りしながら取り回すことになるのかな?と思いきや、ハンドル切れ角が左右40°もあるおかげで、全開まで切ってもバランスを崩さずに軽々と動かせます。

スペック上の最小回転半径は2.7mですが、フロントが21インチもあると思えないほど取り回しがしやすいです。

画像2: 車両重量230kgの押し引きや取り回しについて

ちなみに、エンジンやフレームが共通のロードスポーツモデル「GSX-8S」の最小回転半径は2.9mなので、前後17インチのロードスポーツモデルよりも小回りが効くんですね。

それよりも意外だったのは、サイドスタンドからの車体引き起こしの軽さです。

車両重量は230kgですが大型アドベンチャーバイクにありがちな引き起こしの重さをほとんど感じさせず、垂直に支えているだけなら250〜400ccクラスのような軽さがあるんです。

電子制御システムが複雑で操作が難しそう……?

画像: 電子制御システムが複雑で操作が難しそう……?

Vストローム800DEには、路面の変化やライダーの好みに合わせて走りをサポートしてくれる電子制御システム「S.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)」が搭載されています。

しかも、最新の電子制御システムが搭載されているのにも関わらず、操作が複雑にならないのがVストローム800DEのスゴイところ。

ハンドル左のスイッチボックスには、ウインカーとホーンボタンの他に、S.I.R.S.を操作するためのシンプルでわかりやすいモードチェンジボタンが備わっていて、走行中に切り替えられる電子制御システムは下記の3種類を覚えておけばOKなんです。

スズキトラクションコントロールシステム「STCS」

「STCS」は、リヤタイヤのホイールスピンを検出した際、エンジン出力を効率よく路面に伝えるために自動調整してくれるトラクション・コントロール・システムです。

トラクションの介入レベルを「モード1〜3(+OFF)」から選ぶことができ、さらに未舗装路で一定量のリヤタイヤスリップを許容してくれる「G(グラベル)モード」も追加されています。

スズキドライブモードセレクター「SDMS」

「SDMS」は、ボタン一つで3つのエンジン出力フィーリングを変化させられる、いわゆる“パワーモード”で、天候や路面状況、走るシチュエーションなどで切り替えが可能な電子制御システムです。

最も鋭いスロットルレスポンスでスポーティな走りを味わうことができる「Aモード(アクティブ)」、市街地走行やツーリングなどがしやすく、中間的な出力特性の「Bモード(ベーシック)」、ゆったり走りたい時や、雨のウェット路面、ダートなどの滑りやすい状況にマッチしたマイルドな出力特性になる「Cモード(コンフォート)」から任意で選ぶことができます。

2モードABS

急ブレーキの際にタイヤのロックを防止してくれる「ABS(アンチロックブレーキシステム)」も介入レベルを2つのモードから選ぶことができるようになっています。

さらに、ダート走行などでライダーが意図的にリヤブレーキでの車体コントロールを行いたい場合は、リアのみABSをOFFにすることもできます。

画像1: 2モードABS

さらにVストローム800DEは、ライダーがクラッチやスロットル操作をせずにシフトアップ/ダウンが可能な「クイックシフトシステム」も標準で装備されました。

アクセル全開のままでもスピーディなシフトアップができ、エンジン出力を自動的にカットしつつ、駆動トルクを瞬間的に調整してくれるので、クラッチレバー操作が不要でほぼ連続的な加速が可能になります。

画像2: 2モードABS

特にシフトダウンの時は、スロットルのブリッピングやクラッチ操作をすることなく、各回転域で自動で最適なシフトフィーリングにしてくれるので、ライディングが上手くなったように感じるほどです(笑)。

ちなみにクイックシフトシステムはOFFにすることも可能なんですよ。

(下に続きます)

Vストローム800DEは以上のことを乗る前に把握しておくだけで、ツーリングを抜群に楽しむことができます。

次回は、高速道路に乗ってもっと距離を伸ばして、Vストローム800DEのツーリング性能やコーナリング性能を確かめてみたいと思います!

【文/岩瀬孝昌(モーターマガジン社)】

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