スズキ「GV1400 カバルケード」の歴史
完成度が高い一代限りモデル
国内4メーカーの中で、ビッグバイクの4ストローク化が最も遅かったスズキは、1978年になってようやく、アメリカ&ヨーロッパ市場向けに空冷4気筒エンジンのGS1000を発表。GS1000Sなどのスポーティバージョンの活躍でアメリカでのシェアを広げることに成功したが、より広くアメリカ市場に向けた商品としてゴージャスツアラーの開発をスタート。
そして1982年に登場したのが、ビッグカウルを装着したGS1100GK。しかし、まだGSX1100にカウルを後付けしたようなスタイルだったためか、1984年発表のアメリカンGV1200GLの水冷V4エンジンを、1360ccまでスープアップした新エンジンをブランニューモデルに搭載。それが1985年発売のGV1400GTカバルケードだ。
当時の国産モデル最大排気量をもつ水冷V4DOHC4バルブエンジンで、スズキはスポーツ性の高そうなこのユニットを他機種に転用することなく、カバルケード専用エンジンとして開発、搭載したのだ。
ゴージャスツアラーとしては国産最後発だっただけに完成度も高く、カバルケードは大きな変更なく人気モデルとなり、1990年には販売終了。アメリカ向けのツアラーはイントルーダー1400に受け継がれていく。
112PSを発揮する大排気量、ハイパワーはもちろん、油圧バルブクリアランスアジャスターやオートカムチェーンテンショナー、シャフトドライブなど、徹底してメンテナンスフリーを目指した水冷V4エンジンを搭載したカバルケード。タンデムライダーの快適性やサイド&トップケースによる積載性能も追求し、タンデムシートはエア圧でクッション調整ができた。
文:RIDE編集部