2023年4月30日、MotoGP第4戦スペインGPが行われ、フランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)が優勝し2勝目をマークした。熱狂の地ヘレスでチャンピオンのバニャイアとバトルを繰り広げたのは成長著しいKTMだった。KTMを飛躍させたレジェンド、ダニ・ペドロサ(Red Bull KTM Factory Racing)のワイルドカード参戦、そして衰え知らずのペドロサのポテンシャルの高さにヘレスは熱狂した。

A.エスパルガロが地元スペインでポールポジション獲得

画像: 地元スペインで今季初ポールポジションを獲得したA.エスパルガロ。

地元スペインで今季初ポールポジションを獲得したA.エスパルガロ。

ヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで行なわれたMotoGP第4戦スペインGP。スプリントレース前に行なわれた予選でポールポジションを獲得したのは、母国スペインで優勝を目指すアレイシ・エスパルガロ(Aprilia Racing)だった。

フランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)やファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP)といったチャンピオン経験者に、ランキングトップのマルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)などトップ常連の実力者たちによる戦いとなった予選Q1。

ベッツェッキが暫定トップに立つも、バニャイアとブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)がベッツェッキのタイムを更新しQ2に進出。ベッツェッキやクアルタラロといった上位勢がまさかのQ1敗退となった。

Q1終了直後、雨を知らせるレッドクロスが提示され、Q2では各チーム難しい選択を迫られる。ドライタイヤとレインタイヤに選択が別れる中、セッションが進むにつれコンディションが回復したことによりドライタイヤによるアタック合戦となる。

トップタイムが更新されていく中、ラストアタックでトップに立ったのはエスパルガロ。1分37秒216を記録し、今季初のポールポジション獲得となった。2番手はジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)、3番手はホルへ・マルティン(Prima Pramac Racing)が食い込んだ。

そしてワイルドカード参戦ながら、FP1でトップタイム、初日総合3番手タイムを記録したダニ・ペドロサ(Red Bull KTM Factory Racing)がQ2で6番グリッドを獲得。引退して2年が立ったペドロサだが、衰え知らずの速さをみせた。

画像: J.ミラー(左)予選2番手につけ、3番手にはスペイン人ライダーのJ.マルテイン(右)が入った。

J.ミラー(左)予選2番手につけ、3番手にはスペイン人ライダーのJ.マルテイン(右)が入った。

同門対決を制したB.ビンダーがスプリント2勝目!D.ペドロサも6位入賞

画像: 優勝争いを繰り広げたKTMの2台。

優勝争いを繰り広げたKTMの2台。

全12周のスプリントレース時は天候が回復し、気温30度、路面温度50度まで上昇し、暑いコンディションの中行なわれた。

スタートではKTMの2台が好スタートを切り、ワンツー体制でターン1をクリア。その直後のターン2でフランコ・モルビデリ(Monster Energy Yamaha MotoGP)、アレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)、アウグスト・フェルナンデス(GASGAS Factory Racing Tech3)、そしてランキングトップのマルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)の4台が絡むアクシデントが発生。この接触事故により赤旗が提示され、レースはすぐに中断となった。

1周減算の11周で再開されたレースでも、抜群のスタートを見せたKTM勢。今度はビンダーがトップに浮上しレースをリードしていく。3位から2位にあがったミラーはトップをいくビンダーを3周目にオーバーテイクしトップに浮上。しかし後続を引き離すことができず4台の先頭集団が等間隔で周回を重ねる。しかし残り5周を切ったあたりからトップのKTMの2台が後続を引き離していき、優勝争いはKTMの同門対決となる。

残り2周でビンダーはバックストレートエンドでのブレーキング勝負を仕掛けると、次のターン7にかけてミラーの前に立ちトップに浮上。最後のスパートを見せるビンダーに対し、2位に落ちたミラーはファイナルラップのバックストレートエンドでラインを膨らませてしまい3位に後退、バニャイアが最後に2位の座を射止める事となった。

画像: スプリントで強さを発揮するB.ビンダー。早くもスプリントで2勝目を挙げた。

スプリントで強さを発揮するB.ビンダー。早くもスプリントで2勝目を挙げた。

第2戦アルゼンチンのスプリントを含め、スプリントで強さを見せたビンダーが優勝。2位はバニャイヤ、3位にはミラーが入り、KTMの2台が表彰台に上がる結果となった。そして好調KTMを支えるペドロサがワイルドカードながら6位入賞を果たし、KTM3台がトップ6でフィニッシュするという躍進ぶりをみせた。

画像: テストライダーとして確実にマシンをゴールに運んだD.ペドロサ。しかも6位フィニッシュと大健闘だ!

テストライダーとして確実にマシンをゴールに運んだD.ペドロサ。しかも6位フィニッシュと大健闘だ!

画像: KTMが1-3フィニッシュ。ワイルドカード参戦のD.ペドロサも6位入賞で最良の日となったKTM陣営。

KTMが1-3フィニッシュ。ワイルドカード参戦のD.ペドロサも6位入賞で最良の日となったKTM陣営。

王者の貫禄をみせたF.バニャイアが今季2勝でランキングトップに浮上

画像1: 王者の貫禄をみせたF.バニャイアが今季2勝でランキングトップに浮上

決勝レースは曇り空から日差しが差し込む天候で、気温28度、路面温度33度というコンディションで行われた。24周の決勝でも抜群のスタートを決めたのがKTM。今回はミラーがホールショットを奪い先頭に立つも、前日と同じくターン2で再びアクシデントが発生。クアルタラロが転倒し、外側にいたミゲル・オリベイラ(CryptoDATA RNF MotoGP Team)が巻き込まれ、多重クラッシュに。スプリントに引き続き、決勝でもオープニングラップのターン2のクラッシュにより赤旗が提示された。

クアルタラロはマシンに乗り換え、再スタートを切ることができたが、オリベイラは接触の影響でレースを欠場。接触の責任を問われたクアルタラロにロングラップペナルティが科されることになった。

リスタートでも好スタートを決めたKTM勢。ビンダー、ミラーの順で首位争いを繰り広げる中、3位につけるバニャイアはトップの2台に離されないように序盤から積極的な走りを見せる。一度バックストレートエンドでミラーをオーバーテイクしたバニャイアだったが、強引な追い抜きとみなされ、レースディレクションから1ポジションダウンの指示が言い渡された。

2位争いが激しかったこともあり、トップのビンダーは徐々にマージンを稼いでいくが、2位のミラーが挽回。レース終盤にはビンダーの背後まで接近する。

しかし、残り10周をきったところでミラーがラインを外してしまい、バニャイアに先行を許してしまう。2位にあがったバニャイアはペースをあげビンダーに肉薄、そして残り4周のターン11でビンダーをパスしトップに浮上する。抜かれたビンダーもバニャイアに引き離されずくらいついていき、最後の勝負所である最終コーナーの飛び込みに照準を合わせるも僅かに及ばず。

好調KTMの2台を相手に冷静なレース運びをみせたバニャイアがトップチェッカーを受け今季2勝を挙げた。また、ランキングトップのベッツェッキがノーポイントに終わったため、バニャイアが再びランキングトップの座に返り咲くことになった。2位ビンダー、3位ミラーでKTMはスプリントに続きダブル表彰台を獲得。ペドロサは決勝でも7位とシングルフィニッシュを獲得している。

また、これまで苦しい結果が続いていた中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が今季最上位の9位入賞。得意のコースで日本メーカー最上位を獲得している。

画像2: 王者の貫禄をみせたF.バニャイアが今季2勝でランキングトップに浮上

2023 MotoGP 第4戦 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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第5戦の舞台はフランス 「ブガッティ・サーキット」

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再びヨーロッパに帰ってきたGP。次の舞台は「ル・マン24時間耐久レース」でお馴染みのフランスのブガッティ・サーキットだ。ホームストレートから1コーナーにかけての高速コーナーを除けば、中低速コーナーで構成されているストップ・アンド・ゴーサーキットである。

比較的ブレーキングと旋回性が要求されるサーキットだが、2020年以降はドゥカティがこのサーキットを制している。そんなドゥカティに乗り母国GPを迎えるのがヨハン・ザルコ(Prima Pramac Racing)である。まだ最高峰クラスで優勝がないザルコにとって、最も気合の入るレースと言えるだろう。

そして2021年のチャンピオンであるクアルタラロにとっても母国凱旋レースとなる。クアルタラロもフランスでは優勝経験がなく、ザルコ同様、母国優勝を狙っている。マシンのポテンシャルに悩まされているチャンピオン クアルタラロと、絶好調のドゥカティに乗り初優勝を狙うザルコ、地元フランスで流れを変えることができるのか、2人のフランス人ライダーに注目だ。

レポート:河村大志

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