ホンダ・CB1000SFの発売後、続々と他社からライバルが登場し、BIG-1も進化を迫られていた。よりデカくより速いBIG-1を目指して、排気量は大幅に拡大されたのだった。
文:オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸、松川 忍

ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」(SC40)誕生ヒストリー

画像: Honda CB1300 SUPER FOUR SC40・1998年 当時価格:税別94万円 1997年に発売されたX4の2本出しマフラー、1300ccエンジンを使用し、CB用にパワー特性を設定された。排気量アップで、さらに力強く「太い走り」を目指した。パワーアップと同時に車体剛性もアップされ、このモデルから前後17インチラジアルタイヤを装着。

Honda CB1300 SUPER FOUR
SC40・1998年
当時価格:税別94万円

1997年に発売されたX4の2本出しマフラー、1300ccエンジンを使用し、CB用にパワー特性を設定された。排気量アップで、さらに力強く「太い走り」を目指した。パワーアップと同時に車体剛性もアップされ、このモデルから前後17インチラジアルタイヤを装着。

太い走りに磨きをかけた第2世代のBIG-1

CB1000SF誕生から5年。1996年に免許制度の改正があったその翌年に、ホンダから新たなビッグバイクが生まれる。それが「パワードカスタム」をコンセプトとしたX4だ。

カスタムとは、ホンダ用語でアメリカンスタイルのカテゴリーのことで、当時のビッグバイクの人気はネイキッドモデル、そこにアメリカンのイメージを重ねよう、というチャレンジ。教習所で大型二輪免許が取れるようになった時代、ドッと増えたビッグバイクライダーの幅広い趣向に合わせたモデルを目指したニューモデルだった。

画像: Honda X4 1997年 当時価格:税別89万円

Honda X4
1997年

当時価格:税別89万円

ロー&ロングな車体に搭載されたのは、新設計の1284ccの排気量を持つ水冷並列4気筒。CB1000SFのエンジンをベースとしてピストン軸間距離を同一としながら、ボアを1mm、ストロークを13.6mmアップしたもので、CB1000SFと比べてピークトルクを37%向上させていた。

これは、排気量やパワーアップを望むCB1000SFファンの思いにドンピシャの新エンジン。X4からパワー特性をリファインし、低回転からゴリゴリと加速するトルク型エンジンに、4気筒エンジンらしい高回転の伸びを持たせたものが、新BIG-1のエンジンに選定されたのだ。

そして1997年の東京モーターショー。太い走りに、動力性能をアップさせた第二世代のBIG-1が誕生する。

画像: CB1300 SUPER FOUR(SC40)イメージスケッチ

CB1300 SUPER FOUR(SC40)イメージスケッチ

CB1000SFとCB1300SF|クレイモデル比較

CB1000SF

画像1: CB1000SFとCB1300SF|クレイモデル比較

CB1300SF

画像2: CB1000SFとCB1300SF|クレイモデル比較

初代のCB1000SF(写真下左)と、フルモデルチェンジ版のCB1300SF(同右)のクレイモデル。車体の姿勢が前下がり後ろ上がりのCB1000SFから、やや水平基調とされているのがわかる。この時点でダブルプロリンクの採用を考えていたのがわかる。

画像1: 【名車の歴史】ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」(SC40・1998年)|“よりデカく、より速く”それが1284cc化のスタート
画像2: 【名車の歴史】ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」(SC40・1998年)|“よりデカく、より速く”それが1284cc化のスタート

CB1000SFとCB1300SF|出力特性比較

排気量が1000ccから1300ccとなったことで、パワー/トルクアップが図られた。先に発売されていたX4とも比較しての出力特性比較ではCB1300SFがやや高回転型になっているのがわかる。

画像3: 【名車の歴史】ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」(SC40・1998年)|“よりデカく、より速く”それが1284cc化のスタート
画像4: 【名車の歴史】ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」(SC40・1998年)|“よりデカく、より速く”それが1284cc化のスタート

走りで勝負する新スーパーフォア初代1000SFを上回る人気に

X4の新型水冷並列4気筒エンジンと、モノバックボーンフレームをベースに生まれたのが、新BIG-1ことCB1300スーパーフォアだ。

「1000cc時代にたくさんのお客様が買ってくれて、僕も含め、ホンダ社員も80人くらいが買ってくれたんだ。そのユーザーの声を聞いてみると、やっぱり1000ccじゃ小さい、93PSじゃ足りないというんだ。それならばX4の1300ccを使おう、ってことになったんだ」とは、初代CB1000SFと同じく、X4のプロジェクトも率いた、ホンダ開発者の原国隆さん。

排気量アップと同時に、サイズが大きすぎるという声にも対応して、シート高も引き下げた。パワーアップでブレーキの強化や車体剛性の確保など、車両重量は17kgアップ。それでも軽快なハンドリングを実現するため、前後17インチラジアルタイヤや、リアサスのダブルプロリンクも採用している。

「1000ではスタイリングで勝負して、1300ではより性能を上げたい、という思いでした。これで狙い通りのパフォーマンスは出せたけれど、ライダーの走りの意思が反映させにくくなったのかもしれません」(原さん)

実際に1300cc化された新スーパーフォアは、よりどっしりとした手応えになったものの、重心は下がってハンドリングは軽快になり、シート高も数字以上に足つきが向上。

さらに低回転からトルクアップを果たした1300ccエンジンは、高回転の伸びも力強く、低く太く、速くなった、という印象が残っている。

そしてCB1300SFは、いろんなユーザー層の意見を取り入れた、免許制度の改正でドッと増えた大型二輪免許ライダーに歓迎され、発売された1998年に、販売計画を上回る約4600台を販売し、ベストセラーの座をキープ。登場年に約4000台を売り上げたCB1000SFを越えてみせた。

画像: CB1000SFに比べて、ボア&ストロークをアップさせたX4用の水冷並列4気筒エンジン。CB1300SFは、ここから高回転化を図り、トルクも意図的に絞って力の盛り上がりを演出。

CB1000SFに比べて、ボア&ストロークをアップさせたX4用の水冷並列4気筒エンジン。CB1300SFは、ここから高回転化を図り、トルクも意図的に絞って力の盛り上がりを演出。

画像: リアサスには、2本サスのままリンク付きモノサスの減衰力立ち上がりを期待できるダブルプロリンクを採用。

リアサスには、2本サスのままリンク付きモノサスの減衰力立ち上がりを期待できるダブルプロリンクを採用。

画像: ソリッドカラーはやや落ち着きを感じさせ、ビッグCBの元祖、ナナハンを思わせた。

ソリッドカラーはやや落ち着きを感じさせ、ビッグCBの元祖、ナナハンを思わせた。

ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」(SC40)主なスペック

※《》は単色

全長×全幅×全高2200×780×1165mm
ホイールベース1545mm
最低地上高130mm
シート高790mm
車両重量273kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量1284cc
ボア×ストローク78.0×67.2mm
圧縮比9.6
最高出力100PS/7500rpm
最大トルク12.2kgf・m/5000rpm
燃料タンク容量21L
変速機形式5速リターン
タイヤサイズ(前・後)130/70ZR17(62W)・190/60ZR17(78W)
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格(1998年当時)94万円(税別)

文:オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸、松川 忍--

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