当時から変わらない機能性も軸に置いたひとつ

1970年代末のAMAスーパーバイクと欧州耐久選手権。前者は市販車ベースに多くのモディファイを行ったカワサキZとヨシムラスズキGS、後者はプロトタイプレーサーのホンダRCBが席巻。その両者が初めて激突したと言えるのが、1978年の第1回鈴鹿8時間耐久ロードレースだ。

当初、欧州で常勝を誇ったRCBによる凱旋レースと言われたこの場に、ヨシムラはAMAスーパーバイク用GS1000を持ち込んだ。結果は#2ウエス・クーリー/マイク・ボールドウィン組GS1000の優勝。ヨシムラはその名声をさらに高めることとなった。

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そこでこのGS1000。ブライトロジックによる’78年優勝車のレプリカだ。2022年の鈴鹿8耐で歴代の8耐優勝車とともに特別展示されたそのものでもある。車両としては元々レプリカで作り進めていたところ、写真の保安部品なし仕様で仕上がったところで展示された。後に超小型ウインカーなどを装着して、現在はほぼそのままの形で公道仕様となっている。

ブライトロジックでは何台かこうしたヨシムラ8耐レプリカGSを手がけてきたが、今回はより当時感を高めたとのことで、前後ホイールはテクノマグネシオ・アルミ鋳造(2.75-18/4.00-18サイズ)、フロントフォークはKYBを使い、リヤのベンチレーテッドディスクやスロットルホルダーは当時のスズキファクトリー車=XRパーツでリヤキャリパーも2ストロークレーサーRGのパーツを使う。

エンジンシリンダーフィンへのドリルホール加工、横回しのオイルクーラー配管も当時のGSをそのままレプリカと、現車の雰囲気を強めている。

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同店・竹中さんは「当時感も追いましたけど、機能性=ライダーがきちんと走れる内容もちゃんと持たせてます。シートは外観を再現しつつ状態が無理のない形で作りました。ハンドルはレプリカだけど切れ角も確保してますし、ハンドリングはニュートラル。エンジンもしっかり回っていいですよ」と、試乗の様子を教えてくれる。

ここで言う機能性は、’80年代を前にヨシムラが作ったレプリカの元=GS1000レーサーにも、竹中さんがその後メカニックとして携わってきた油冷ほかヨシムラレーサーにも、もちろん今同店が作るカスタムにもずっと貫かれている。この車両にも、当然のようにそれが落とし込まれているということだ。

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コクピット中央に置かれるエンジン回転計も当時もののDENSO(NDロゴ時代)。左横はエースウェルの多機能メーターで速度のほか各種警告灯も備える。ステアリングステムやフロントマスターシリンダー、クラッチホルダーはGS1000純正パーツ。スロットルホルダーは当時のスズキファクトリー車=XRパーツだ。

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シングルシートスタイルのシートは今回新作のワンオフで、サイドのトーキョーシートロゴも当時の資料と突き合わせて再現。テールカウル内のテールレンズも小型のものを探している。燃料タンクもトップとサイドの給油口をステッカーで表現した。

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エンジンはワイセコ鍛造ピストンを組んでフルリビルド。しっかり走るという機能も確保している。同じ理由からキャブレターはTMR-MJNφ36mmを装着する。バンク角確保で上げたステップやつぶしたフレーム(クランクケース後部下など)にも注目したい。

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当時軽量化にこだわった吉村秀雄さん(ヨシムラ創設者)が施したシリンダーフィンへのドリルホールや、サイド回しでオイルクーラー下入れ下出しのオイルライン(長さや取り回しもそのもの。当時そうされていた理由は不明とのこと)も、あえて当時そのままを再現した作りとした。

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フロントフォークはKYB(当時カヤバ)のφ37mmで内部改修、片押し1ピストンキャリパー+ソリッドディスクのフロントブレーキは純正パーツによる。ブレーキラインはステンレスメッシュ化し、フロントフェンダーはパイプでの吊り下げマウントとなる。

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フローティングマウントされたリヤキャリパーは当時のスズキ2ストロークレーサー、RGのパーツ。ベンチレーテッドディスクは当時のスズキファクトリー車=XRのパーツだ。スイングアームはGS1000純正でリヤショックは当時風のシンプルなスタイルを表現するべくオーリンズ・ブラックラインを選択。十字型5本スポークのホイールはテクノマグネシオ・アルミ鋳造で2.75-18/4.00-18サイズ、排気系はブライトロジックによるオリジナル品。

取材協力:ブライトロジック

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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