※本企画はHeritage&Legends 2022年10月号に掲載された記事を再編集したものです。
機能と製品信頼性を獲得した、至高のカーボンホイール
人気車種向け外装パーツを中心に、カーボン/FRPパーツをリリースする老舗メーカー、マジカルレーシング。同社製カーボンミラーやフェンダーなど装着した、カスタムバイクを見かける機会も多いだろう。マジカルレーシングはZ900RS用にもオリジナルで数多くの外装パーツをラインナップするが、ここでは同社が輸入発売元となるもうひとつの看板製品、BSTカーボンホイールにフォーカスしよう。
同ブランドをざっとおさらいしておくと、BST(Black Stone TeK)社の創業者で現代表のひとり、ギャリー・ターナーはかつて自ら欧州スーパー・モノに参戦。故ジョン・ブリッテンによるV1000プロジェクトにも参加して、欧州でのレースの際にはチームマネージャーも務めた人物だ。余談だが、ブリッテンV1000は後述するジョンの死後、’98年に筑波サーキットでのバトル・オブ・ツイン(BOTT)に姿を見せ話題となった。
’95年、ジョンの死でプロジェクトが解散となり、ギャリーは故郷の南アフリカに戻って’01年にBST社を創立。翌’02年には最初のカーボンホイール、ブラックダイヤモンドの生産を開始した。そのBSTに着目、’06年に輸入発売元として国内に紹介したのがマジカルレーシングだったのだ。
ところでBST製品の販売以前、カーボンホイールの黎明期にはその強度について懐疑的な意見もあったが、序々に理解が進んだのは同社製品の高品質による貢献も大きい。ドゥカティやMVアグスタのスペシャルモデルが、BSTとのコラボ・ホイールを履いているのもその証だ。
さて、そんなBST製カーボンホイールにはZ900RS用に、ブラックマンバ7本スポークモデルをラインナップ。他のBST製品同様、ホイール本体はドライカーボン、ハブまわりにはアルミ削り出しパーツを組み合わせるハイブリッドタイプで、前後サイズは3・50-17/6・00-17。その重量は2・5㎏/4・7㎏(参考値)と驚異の軽量性を誇る。
もちろんJWL規格適合の車検対応品で、マジカルレーシングは2年間の製品保証を謳う。さらには軽微なスクラッチ傷にも補修対応してくれるという。ただし、マジカルが扱うBST製品はシリアルナンバーで厳密に管理され、製品保証は同社扱い品に限定、補修対応も同じく同社扱い品に限り現物確認の上となるが、カーボンホイールという高額製品を購入するユーザーには、そうした国内発売元によるアフターサービスも安心要素となるだろう。
街中で多く見かけるようになったZ900RS。他者との差別化を図りたいドレスアップ派にも、走りを突き詰めたい向きにも、BSTカーボンホイールは愛車の満足度を一気に高められる、至高の逸品としてお勧めしたい。
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20年超のカーボンホイール製作実績とノウハウが、製品安全性に輪をかける!
カーボンホイールの材料となる炭素繊維は温度管理された状態でドイツから輸入、独自の樹脂マトリックス(母材)とでカーボンコンポジットを形成する。上写真のBST社内のオートクレーブを使い、熱と圧力で硬化される。外装コート剤もUV保護に秀でた素材で、耐候性も抜群という。
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コンサバティブで美しい7本スポークデザインも、中身は最先端カーボン技術が投入される逸品
ブラックマンバはBSTの他のホイール同様に、ホイール本体はドライカーボン製で、車種別に用意されるアルミ削り出しによるハブまわりのアタッチメントを組み合わせる、ハイブリッド仕様。他車種用も広くラインナップする。
リヤホイールのスプロケットキャリアを外すと、ストリートでの使用にも耐えるための、ハブダンパーも顔を出す。もちろん、消耗パーツもマジカルレーシングで対応してくれる。
本体はスポーク部も含め中空モノコック構造を採用。下写真は他車種用のものだが、精緻に削り出されたアタッチメントの見本として見てほしい。