レーサーチックにというオーダーを形にしトーンを調整

純正のカラーリングパターンを踏襲しながら、ブルーを主体とした色使いでシャープなイメージを持たせ、前後17インチ化した、ホンダCB1100RC。フレーム各部の補強溶接や燃料タンクの加工からはタジマエンジニアリングならではのワンオフらしさも感じられる。

「そうですね。この車両は、いろんなバイクを持っておられるオーナーさんのもので、“とにかくルックスをレーサーに近づけてほしい”という依頼から最近仕上がったものです。作り方や作業といったものは今までと基本的には同じですよ」

こう言うのは、’22年春にタジマエンジニアリングを引き継いで新代表となった村嶋さんだ。

画像1: レーサーチックにというオーダーを形にしトーンを調整

村嶋さんは同店にもう25年近く務めてきた。同店はCB-F現役の1980年に田島歳久さんが開き、以後多くのノウハウを積み上げる。カスタムを中核に据えるのは2000年代に入ってからだが、これは車両販売や整備、レースといった活動が落ち着き、田島さんが腰を据えて行えるようになったから。前後17インチホイールやフロント16/リヤ18インチの車両を多く手がけ、快適な車体のための補強やディメンション変更を確立する。

同じように、前述のような多彩な経験を生かして壊れにくく、快適に回るエンジン作りも確立する。この頃には村嶋さんも既に加入していて、田島さんと一緒に作業を続けてきた。’22年2月に田島さんが逝去したのを受けて、村嶋さんが後を継いだ。だから“基本的に同じ”で作業が行われたのだ。

画像2: レーサーチックにというオーダーを形にしトーンを調整

「エンジンはRSC(HRCの前身)製ピストンを組んで、ミッションも5速ですがクロスレシオに変更。クランクの軽量加工も今まで同様に行っています。フレームは当店の前後17インチホイール車向け定番で20カ所を補強して、燃料タンクはCB1100R純正のアルミにクイックチャージャー加工をしています。当初はカラーリングはラップ塗装をしてほしいとか、各部パーツももっと派手な感じのものを、と依頼されたのですが、田島さんが調整して、このくらいのルックスバランスでいいかなと落ち着きました」(村嶋さん)。

ルックスについては元々CB1100Rがレースベース・ホモロゲーションモデルであったことから、冒頭のようなレーサースタイルをどう解釈するか。そこは現代パーツとのミックス&再構築で進化させる。その中に、安定した内容を作り込んでおく。そうしたタジマ流は今後も維持されるということを裏付ける1台ともなっているのだ。

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カウルステーは純正鉄からアルミで作り直している。純正フロントカウルは現状でノーマルの位置だが、もう少し燃料タンクに寄せてマウントしても良かったとも村嶋さんは言う。

メーターはパネルをカーボンでワンオフしSTACK ST-3852速度計/同ST-200エンジン回転計とヨシムラ・プログレスメーター等で構成している。トップブリッジはアグラスのSC59(CBR1000RR)用、フロントマスターはブレンボRCS。これに合わせてクラッチレバーはブレンボ・メカニカルクラッチレバーキットに変更し、作動性とルックス統一を図っている。

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燃料タンクはCB1100R純正アルミだが上側を加工してクイックチャージャー仕様に変更。カラーは純正赤部分を青にし銀のストライプを追加した。

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シングルシートカウルはCB1100RD用純正でシート部を新作。前後ウインカーは超小型LEDのケラーマン製バレット・アトーで車検適合品だ。

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エンジンはCB1100Rの1062ccにRSCピストンを組み、サニーサイド製1100用ビッグバルブ、5速クロスミッション組み込みなどを行う。発電系強化やポート加工等もしっかり行われている。フレームはネック部や同下半2重管、左右ループ接続パイプなどタジマ流で20カ所を補強する。

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キャブレターはFCRφ37mmをK&Nエアフィルター仕様で装着している。これに組み合わされる排気系はミズノモータース製4-1チタンメガホンだ。

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倒立のフロントフォークはZX-14R用オーリンズFGRT207で、フロントフェンダーにはZX-14R純正を装着する。フロントブレーキはAPレーシングの鍛造切削2ピースキャリパー・CP7853にサンスター・プレミアムレーシングディスクの組み合わせで、各部ボルトとアクスルにはベータチタニウム・64チタンを使う。

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リヤショックはアラゴスタでスイングアームはウイリー製アルミハンドメイド。田島さんがルックス重視で下側ブレースを追加した。ホイールはマグネシウム合金鍛造のMAGTAN JB4で前後サイズは3.50-17/6.00-17インチ、リヤはチェーンラインを特注で合わせている。

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リヤブレーキはAPレーシング製削り出し2ピストンキャリパーのCP4226にサンスター・カスタムディスクの組み合わせ。ステップはOVER製だ。

取材協力:タジマエンジニアリング

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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