文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年7月27日に公開されたものを転載しています。
2,688 対 311.6万 ・・・これは何の数字でしょうか?
上の小見出しに書いてある数字・・・これはトライアルGPとMotoGPの公式Twitterの、それぞれのフォロワー登録数です(2022年7月27日現在の数字)。前者がトライアルGP、後者がMotoGPというのは説明不明? かもしれませんが、同じ2輪モータースポーツでも、これほどまでに注目度が圧倒的に違うのか!! と改めて思い知らされた想いです・・・。
洋の東西を問わず、トライアルを愛好する人はかなり熱心なファン層という傾向がありますが(私調べ?)、あまりにも通好みな競技ゆえか、そのポピュラー度は2輪モータースポーツで最も人気のあるMotoGPに比べると、かなり低いというのは誰もが否定できないと思います。
ただ、電動2輪車に興味がある人にとっては、今年のトライアルGPはかなり注目度が高いジャンルなのではないでしょうか? 2022年度からFIMはトライアルGPの開催クラスのうち、トライアルGPとトライアルGPウィメン、そしてトライアル2の各クラスに、電動車の参戦を認めています。ICE(内燃機関)搭載車と電動車が同条件で戦うのはFIMが統括する世界選手権では初の試みであります。
第1戦スペインおよび第2戦アンドラでは、仏のEMのエースライダーのガエル・シャタヌがトライアル2にフル参戦。強力なライバルを相手に奮闘しています。
そして第3戦ドイツでは、G.シャタヌはDAY1を9位、DAY2を19位でフィニッシュ。現時点でシャタヌは33ポイントでランキング10位の位置にいるのですが、全6戦の半分を消化した時点で実績豊富なICE車のライバルたちを相手にトップ10以内をキープしていることは非常に素晴らしいことです。EMとシャタヌのシーズン後半戦のさらなる活躍を、期待したいです!
M.ペナの初陣はDAY1で15位、DAY2で13位という結果に
トライアルは男性と女性でクラスを分けており、ドイツGPはトライアル2ウィメンが今シーズン初開催される大会になりました。このクラスにはフランスのマーゴ・ペナがEMを駆り、クラス唯一の電動トライアル車ユーザーとして参戦しています。
M.ペナはフランス国内で活躍する女性トライアルライダーですが、世界選手権の出場は今回が初。経験豊富なライバルたち相手に怯むことなく戦い、DAY1/DAY2を15位/13位で完走しました!
両日で合計4ポイント獲得したM.ペナのランキングは15位。なおトライアルGPとトライアルGPウィメン、そしてトライアル2が"世界選手権"であるのに対し、トライアル2ウィメンは"ワールドカップ"という扱いになっています。ですのでM.ペナの参戦は「電動車に乗る女性ライダーの世界選手権初参加」とはうたえないのですが、EMやFIMにとっての歴史的な第一歩を記したといえるでしょう。
当初公表された2022年カレンダーでは、トライアル2ウィメンはドイツGPのほかベルギーとイタリアの両GPで開催される予定でしたが、パンデミックの影響などもあって結局全2戦となり、9月16〜18日に開催されるイタリアGPが最後の戦いの地となりました。
トライアルE ワールドカップの時代から、熱心に電動トライアル車による挑戦を続けてきたEMですが、G.シャタヌ同様、M.ペナがひとつでもランクを上げられることを期待したいです。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)