レトロポップなスタイリングで幅広い層から人気を集めるヤマハの原付一種スクーター「ビーノ」を1カ月間試乗した。通勤におけるビーノの使用感や便利な機能などを紹介する。
文:石神邦比古/写真:南 孝幸、石神邦比古
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ヤマハ「ビーノ」通勤レポート

時計の針が11時を回ろうかという頃。

駅から家まで約4キロの道のりを原付に運ばれてトコトコと走っていく。

ここでいう原付は、最近人気の125ccじゃなくて、文字通りの原付一種。ヤマハの50ccスクーター「ビーノ」だ。

画像: YAMAHA Vino 総排気量:49cc エンジン形式:水冷4ストSOHC2バルブ単気筒 シート高:720mm 車両重量:81kg 税込価格:20万3500円 ※写真はドラマ「ゆるキャン△」仕様

YAMAHA Vino

総排気量:49cc
エンジン形式:水冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:720mm
車両重量:81kg

税込価格:20万3500円

※写真はドラマ「ゆるキャン△」仕様

時間も時間だから人も車もほとんど見当たらない夜道を、ビーノの明るいハイビームが切り裂いていく。

まるで道路を独り占めしているような気分だけど、時速はきっちり30キロを守る。道路交通法で決まっているから、っていうのはもちろんだけど、単純に心地よくないからだ。

小さいホイールは溝で足を取られやすいし、サスペンションは大きなバイクに比べればやや硬く、制動力を疑うわけじゃないけど、全力でブレーキレバーを握らなければならない場面には極力遭遇したくない。

画像1: ヤマハ「ビーノ」通勤レポート

逆に言えば、30km/hで走っている時の乗り心地は至って良好だった。

もともとフラットなトルク特性のオートマチックエンジンは、0~30km/hの加速にもこれといった不満はない。タコメーターが無いので回転数はわからないけど、極低速時の一番力がほしいタイミングでしっかりとパワーが得られ、合流や曲がり角でもたつかず、非常に扱いやすいものだった。

ただし、振動が少ない上に静粛性が高く、時速30キロからでも平気で加速してしまうから、気づかぬうちに制限速度を超えないよう注意が必要。

急な上り坂に差し掛かると流石に排気量の壁が立ちはだかり、制限速度を維持するにはほぼフルスロットルの状態だったけど、そもそもそれ以上出してはいけないので気にはならなかった。

画像2: ヤマハ「ビーノ」通勤レポート

ハンドリングは意外にもフロントがどっしりとした印象で、軽快さを持ちつつも穏やかで安定感のある乗り味。それでいて、小径ホイールと短いホイールベースで小回りが効くから、大きなバイクで躊躇うような細い路地でもスイスイと入り込めた。

もう少しサスペンションがしなやかだと乗り心地は上がりそうな気もしたけど、操作性と天秤にかけた時に現在の設定が最適なのかもしれないと納得した。肉厚でクッション性の高いシートが硬さを補っていたので、使用範囲が自宅から最寄り駅や会社・学校までと考えると快適性は十分なものだったと思う。

画像3: ヤマハ「ビーノ」通勤レポート

そうして鼻歌交じりに時速30キロの世界を楽しんでいると、駅から家までにある少ない信号のうち一つに捕まった。

しばらく待っているとエンジンがひとりでに停止する。現行モデルのビーノに備わったアイドリングストップシステムだ。

画像4: ヤマハ「ビーノ」通勤レポート

50ccとはいえ、人の寝静まった閑静な夜道では小さな音でもよく響く。燃費や環境へ配慮した装備だけど、近隣の方への配慮という点でもあって嬉しい装備だ。

再び走り出す際も、スロットル操作に対し目立ったラグもなく発進するので、必要がない限りアイドリングストップ機能はオンのまま走った。

画像5: ヤマハ「ビーノ」通勤レポート

50ccの原付一種は出せる速度が30km/hと決まっているし、マニュアル機種が絶滅した現代の原付スクーターにお客さんが求めるのは内燃機関などのメカニズム・スペックよりも、シート下荷室の容量やUSBソケットといった機能的装備の有無だろう。

でも、現行ラインナップを見渡せばその辺りは当たり前に装備しているものが多く、似たり寄ったりな印象が否めない。

画像6: ヤマハ「ビーノ」通勤レポート

そこで、原付を選ぶ際に注目されがちなのは、やはりルックスではないだろうか。

アシとして動けば、乗れればなんでもいい、という場合を除いては、毎日乗るものだから可愛い、カッコイイといった外見的チャームポイントがあるものに乗りたい。

その点、レトロポップで愛らしいスタイリングのビーノは、初代から多くの人々を魅了し続けていて、現在の根強い人気にも頷ける。

画像7: ヤマハ「ビーノ」通勤レポート

ビーノに乗り始めてもうすぐ一か月。貸出車両なのでそろそろお別れの時が近付いているけど、このビーノがない生活を想像すると少し寂しい気持ちになる。

走り慣れた道でも、ビーノに乗っていると通勤がちょっぴり楽しくなる。愛嬌のあるスタイリングと実用性を兼ね備え、近場ならどこへ行くにも一緒な可愛い相棒。

私もすでに、ビーノの虜となっていた。

ヤマハ「ビーノ」実測燃費

画像: ヤマハ「ビーノ」実測燃費

実測燃費も計測したが、かなりばらつきが出てしまった。参考になるか怪しいところだけれど、下表が今回の計測結果。

給油ポイント走行距離給油量燃費
A131.0km2.29L57.21km/L
B206.6km2.63L78.56km/L
C231.9km3.20L72.47km/L
D34.30km0.76L45.13km/L
E61.50km1.02L60.29km/L

B、C区間は信号の少ない郊外を長距離走行したため、主に街中を走行したのはA、D、E区間。この三区間の平均燃費は55.53km/L。WMTCモード値が58.4km/Lなのでもう少し良い数値が出てもいいように思ったが、乗り方の問題だろうか。もしくは、給油の際に多くガソリンを入れてしまっていた可能性もある。

しかし、タンク容量は4.5Lなので、今回の平均燃費から算出しても航続距離は249.89km。通勤・通学の往復が10km程度であれば一か月程度は給油の必要がなさそう。

もしB、C区間のような数値をコンスタントに出すことができれば、300km以上走ることができるので、さらに給油回数を減らせるだろう。

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