LEDウインカーが登場してからカスタムの幅が広がった。その魅力と装着時の注意点などを解説する。
※本企画はHeritage&Legends 2020年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

流行のLEDウィンカー 装着する場合の留意点は?

電球式に比べ、物理的な故障が少なく(なんといってもフィラメント切れがない)長寿命、省電力が魅力のLEDランプ。バイクやクルマに限らず、家庭用照明など広く生活の中に浸透しているのは、皆さんもご存知の通り。バイクのハナシに限ったとしても、ここのところ純正採用も進んですでに普通の装備アイテムになりつつある。

そんな中、カスタムの領域でここにきて注目を集めるのがそのLEDウィンカーだ。キモとなるLED素子の進化もあって高輝度化が進んだ結果、アフターマーケット品のウィンカーボディも、どんどんミニマム化している。

「こんな小さなウィンカーで、本当に大丈夫なの?」と、ベテランのカスタムファンさえ困惑させるほどなのだ。 さて、そんなLEDウィンカーだが、ここではその装着にあたっての留意点について触れておこう。

まず、明るさについては道路運送車両の保安基準にはざっくり、「方向指示器の発光色は橙色、10W以上60W以下」とあるのみだから、例えば車検場で検査官が目視で見てよほど暗かったり、点けた途端に目がくらむほどの眩しさ……なんてシロモノでなければ問題ない。それでも心配な向きは、国内でも車検対応品として扱われる欧州の基準、ECE認証(50R)を取得した製品を選ぶといいだろう。

そして次に気になるのはその装着位置。極小タイプのウィンカーなど、アイデア次第でどこにでも装着できるわけだが、厳密には道路運送車両の保安基準に位置範囲が指定されている。ただ、実際の車検の上などでは各地の陸運支局など〝現場〞に委ねられ、検査官による現車を見ての判断がなされているのがどうやら実情のようだ。

つまるところ、ウィンカーが点いていること、左右どちらのウィンカーが出されているかが誰にも明確に分かるようにしておくことが大事。具体的には左右の距離が極端に近過ぎたり、ウィンカーの照射面がナンバープレートの陰に隠れてしまう位置に付けるなんてことはNGだ。老婆心と笑われかねないが、ここは各自のモラルが問われる部分。悪質なマナー違反が目立つようになっては、ナンバープレートのように厳密に装着方法が決められてしまうなど、皆のカスタム遊びが不自由になるかもしれないから、くれぐれもご注意のほどを。

ハイフラは車検NG! リレー交換で対応を

そして、なにより注意したいのは、アフターマーケット品への変更で、いわゆるハイフラッシャー状態になってしまうこと。これも道路運送車両の保安基準で「60〜120回/分で一定の周期で点滅させなければならない」とされているが、白熱球からの変更時はもちろん、純正LEDから市販品への変更でも、ハイフラ化してしまうのは少なからずあるハナシ。これでは車検に通らない。

市販LEDウィンカーの販売元に聞けば、「過度にバッテリーの負担とならないようにする配慮か、純正のウィンカーリレーでは容量が小さめに設定されているものもある」そうで、こうした場合は容量が大きめのウィンカーリレーに交換する必要があることも。何度も用品店に走る必要がないように、購入時にはお店で適合情報を確認するのも賢い買い方かもしれない。

ちなみに、「60〜120回/分で一定の周期で点滅」は流行のシーケンシャルウィンカーにも当てはまる。つまりこのテの製品は1秒以内にあの流れるような点滅を実現しているわけだ。さらに蛇足を加えれば、一時、シーケンシャルタイプは車検不適合とされた時期もあったが、’14年10月の法律改正で合法となっている。

そのほか、自身で市販品に交換する場合の留意点としては、簡易タップでの車体側ハーネスへの接続は避けること。タップの防水性や耐久性はやっぱり疑問が残るし、後々、電装系のトラブルシューティングをしなければならなくなった時、整備性で足を引っ張る可能性がある。ビニールカバーの被せられるギボシやカプラーを使いたい部分だ。また、+側電源はアクセサリーコードから取りたいし、-側アースもしっかりとした箇所で取っておきたい。

簡単に見えるウィンカー交換も、やはりある程度の知識は必要というわけだ。自信がなければ迷わずショップに依頼しよう。ウデのあるメカニックなら、美しさにまでこだわり配線してくれるはずだから。

ショップに聞いたLEDウィンカーカスタム

ブライトロジック・竹中 治代表

画像1: ブライトロジック・竹中 治代表

「ZやGSのようなオーセンティックなデザインのバイクはさておき、フルカウルのスーパースポーツでウィンカーが出っ張っているのは、なんだか格好悪いなって思いませんか? 僕はなるべく目立たなくしたい派(笑)です」と、ブライトロジックの竹中さん。

画像2: ブライトロジック・竹中 治代表

独特の流麗なカスタムバイクを製作するツボとして、これまでもウィンカーには常に気を配り試行錯誤してきたという。そして、そんな同店が製作した最新のGSX-RやKATANAには、キジマ製nanoタイプLEDウィンカーが多用されるようになった。なにより、その自在性に着目したという。

画像3: ブライトロジック・竹中 治代表

「やっぱりカスタムは格好よくなきゃ!」(同)を地でいくアイデアで活用してみせる。


ブルドック・和久井維彦代表

画像1: ブルドック・和久井維彦代表

愛車、Z1-Rにアクティブ製LEDウィンカーを使うのは、ブルドックの和久井維彦さん。

画像2: ブルドック・和久井維彦代表

「この車両を最初に組み上げてお披露目したのは2015年の東京モーターサイクルショーですが、ウィンカーもボディにビルトインしたくて。着目したのはアクティブのLEDウィンカーだったんです。ナンバープレート両サイドに付けるものでしたが、“これならオイルクーラー両サイドに付けられるかも”ってピンときて」(和久井さん)。

画像3: ブルドック・和久井維彦代表

公道使用にあたっては、地元の陸運事務局にもその装着位置など良否を確認。リヤにも同品を使うが、むき出しになる配線が気になってコード収納スペース付きナンバープレートも自作した。


レッドモーター・中村圭志代表

画像1: レッドモーター・中村圭志代表

このVMAX1700のオーナーはJD-STERドラッグレースにも参戦する選手。

画像2: レッドモーター・中村圭志代表

常にカスタムの最新モードにもアンテナを張るオーナーさんが、キジマのnanoウィンカーをレッドモーターに持ち込んだ。「豆つぶみたいに小さいのに明るいね!」と驚いたのは中村さん。

「最初は別売ステーを使いミラーステー部に付けようかって話だったけれど、それじゃ芸がないねって」(同)。

画像3: レッドモーター・中村圭志代表

まずはVMAXの特徴でもあるエアスクープ基部に装着。「どこにでも付けられるだけにビルダーのセンスも問われますね。まあ、気に入らなければ装着位置も簡単に変えられるけど」とも。

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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