豊富な手法やパーツを駆使できるZの強みを生かす
純正タイガーパターンを元にカラーリングを変更、前後17インチ化を図ったZ。しっかり乗り込まれてきた感じもある1台だ。
「足まわりはフロントがXJR用のオーリンズフォークでホイールがそれに合うゲイルスピード、リヤホイールはカワサキ車用。スイングアームはPMCで、ステムも前後17インチ対応仕様になっています」
こう、車両の内容を教えてくれるのは北海道・札幌のバイクプラザ・メカドックでメカニックを務める畑中さん。この車両は今回、トラブルを抱えて同店に入庫してきたものだった。
「いじってあったエンジンでしたが、当店に入ってきた時はバルブまわりがダメになっててオイルは漏れている、煙は噴くという状態でした。それでバルブガイドは打ち直しして、元と同じビッグバルブを入れて、ピストンもヨシムラΦ73mmだったものを、ピスタルレーシングのΦ74mmにして組み直し。キャブレターもこれに合わせてセッティングし、完成後に旭川のタカサキさんでパワーチェックしたら前の仕様での後軸120psが、同じく136psになってました。1mmボアアウトしただけですけど。これが実際にも速い(笑)」
新しく組み直したエンジンはこのように快調に仕上がっていて、これは’80~’90年代車を広く扱ってきたメカドックの本領だ。広い北海道を走る上で不安がないということはじつに重要で、このようにZを困らないように仕立て、修理してくれる存在はありがたい。しかもパーツの流行もよくにらんでいて、使えるパーツをこうした再オーバーホールや再修理という時にも織り込んでくれるのが心強い。ただ、同店での今の悩みどころはZよりも、むしろずっと多く扱ってきたスズキ車にありそうだ。
「昨年(‘20年)からの大量の純正パーツ廃番化の影響ですね。空冷Zはそれこそどんな形でも、どんな修理でもできるくらいに純正もリプロもカスタム用もとパーツがありますが、油冷や空冷のスズキではそこまでないんです。それが、ヘビーに手を入れる人も多いスズキ系の困りどころになるかも」とも畑中さん。
ともあれ、同世代旧車についてはこのようにしっかりした修復もカスタムも問題なく、メカドックではこなす。ここに紹介したZはその好例なのだ。
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Detailed Description 詳細説明
ヘッドライトはマーシャルのクリアレンズにLEDバルブの組み合わせ。純正ライクなウインカーともバランスする。左右マスターはブレンボ製。
ステアリングステムは17インチ/φ43mmフォーク適合の、アルミ削り出し品。メーターは速度計のスケールを240km/hとし、ヨシムラ・プログレスメーターを追加した。
燃料タンク/テールカウルはZ純正のタイガーパターンを使いつつ、上側のラインをレッド、下側のラインをイエローで仕立てている。
エンジンは入庫時にオイル漏れや煙噴きという症状があったが、その原因がバルブガイドの割れにあったことを突き止め、バルブガイド打ち替え等を行う。カムシャフトは入庫時の仕様のヨシムラST-2、バルブも同仕様に同じビッグバルブで、排気量はΦ73mmヨシムラピストンでの1105ccから、ピスタルレーシング製鍛造Φ74mmピストンでの1135cc仕様に。入庫時の症状は直り、後軸136psをマークした。
キャブレターはヨシムラTMR-MJNのデュアルスタックファンネル仕様で、メカドックで新仕様エンジンに合わせて再セッティングが施される。
フロントフォークはオーリンズRWUのXJR1200用で、フロントブレーキはブレンボ4ピストンキャリパー+サンスターディスクの組み合わせ。
リヤショックもオーリンズでリヤブレーキキャリパーはブレンボ2ピストン。マフラー/サイレンサーはナイトロレーシング・チタンだ。
スイングアームはPMCドラフト・モノコックスウィングアームで、ホイールはアルミ鍛造のゲイルスピード・5本スポークのType-C。[純正値:1.85-19/2.15-18→]3.50-17/5.50-17サイズとしてフロントはXJR用、リヤはカワサキ車用を履く。タイヤはダンロップ・ロードスマートⅢ。
コンパクトでシンプルながら機能的なステップキットはスピードショップイトウ製。フレームのピボット上には補強も見える。