2018年のデビュー以来、ビジネスバイクとしての「カブ」ではなく、上質なパーソナルコミューターとして支持されてきたスーパーカブC125が、2021年秋に新型エンジンを搭載して、モデルチェンジ! ロングストローク化されたエンジンに注目が集まる新型C125ですが、伊藤真一さんは試乗中、"車体まわりのパーツの違い"の方が、気になったみたいです。
談:伊藤真一/まとめ:宮﨑 健太郎/写真:松川 忍

操安が非常に絶妙にまとめ上げられているところが、新型スーパーカブC125の最大の魅力!?

スリッパークラッチのように、急速にシフトダウンしても衝撃を逃したり、5速DCTを採用すれば、というのはコスト的に難しいでしょうけど…。機能としてはCVTのような無段変速でも十分だと思いますが、自動遠心クラッチと変速機があってこそスーパーカブというこだわりは、造り手にもユーザーにもあるのでしょう。

車体については、見た感じでは新旧の違いがわからないと先ほど言いましたが、実際に乗ってみるとエンジンの違いは新旧であまり感じなかったのに対して、車体から受ける印象は新旧で随分と違うことに驚きました。

まず、旧型のシートは硬い印象があり、その硬さから125ccのスポーツバイクっぽい操作感を覚えるのかな、と思ったのですが、新型のシートはそういう硬さがなく、座っているときのポジションもより自然な感じになっていました。座り心地は旧型も悪くなかったですが、新型はより良くなっています。C125は長時間乗っているとお尻が痛くなる、というオーナーが多いらしいですが、今回は丸一日走らせていてもお尻が痛くなることはなかったですね。

新旧でパッと見では変わっていないですが、前後のサスペンションも新型は手が入っているみたいで、操安が非常に良くなっていて感動しました。停まった状態で跨っているときも、走らせているときも、自転車に乗っているときくらいの扱いやすさがC125にはありますが、燃料タンクが自分のお尻の下にあるのは、そういう印象を受ける理由なのかもしれません。

一番下に一番重いエンジンがあって、人間の下に燃料タンクがあるので、走らせているときはリア側が、操安要素の大きな部分を占めるような動きになっています。長年スーパーカブを作っている開発者たちはそこを深く理解しているので、リア側をしっかり作り込むことにより、C125の乗り味をまとめているのでしょう。

リア側のサスペンションの動きはすごく良くて、接地感も乗り心地も素晴らしく良いです。リア側に比べると、フロント側は少しダンパーが効いていない感じで、停車したときにフッと戻ったりしますが、操安をまとめ上げるときに前後のバランスを考えて、このような造りになっているのでしょう。

若い頃は気付くことがなかった魅力を、スーパーカブC125に乗って理解できるように…!?

新型はフロントブレーキに1チャンネルABSが標準で装備されていますが、最新技術が投入されているので悪路でフルブレーキングかけてもまったく破綻することがなく、すごいなぁと感心してしまいました。一方リアはドラムブレーキですが、ドラム式特有のシューが食い込むことによるサーボ効果がちょっと気になりました。制動力が急激に立ち上がり、最後にキュッとなる感じなのですが、もっと制動力のカーブがフラットになれば、より扱いやすいブレーキになると思います。

そのほか気になったのは、ハンドルグリップの材質ですね。プラスチック的な硬さがあって、握っていてちょっと太く感じました。最初は厚みのあるウインターグローブを着けていたせいかと思い、グローブを脱いで握ってみたのですけど、その印象は変わりませんでした。

旧型をテストしたときも思いましたが、スーパーカブC125は125ccクラスのモデルとしてはオーバークオリティじゃないかと思うくらい、各構成部品が良くできています。昔のスーパーカブといえば、チェーンの遊びが適切で接触することがなくても、スチール製のフルチェーンカバーが振動に共振して、カチャカチャ音を出しながら走っていたイメージがありますが、現代のC125はその手のノイズを発することがなく、とても上質なコミューターに仕上がっています。カラーリングは青と赤が用意されていますが、どちらの色も良くて、どちらを選んでもいいかなと思いました。

若いころは、スーパーカブ的な乗り物には一切興味がなく、単なる「新聞配達マシーン」にしか思っていませんでした(苦笑)。根が田舎者だからかスーパーカブが「お洒落」という近年の若い人たちの感覚も、よくわからなかったりします。

でも最近になってようやく、ホンダのベンチマーク的というか、スーパーカブならではの良さというものが、受け入れられるようになりましたね。誤解を恐れずに言うと、スーパーカブを否定することはホンダの歴史を、そして本田宗一郎を否定するようなものですからね。

C125についていろいろ語りましたが、ホンダOBにはカブに思い入れのある方が多いので、今度先輩たちとツーリングとか一緒に行ったときには「お前、カブについてどうのこうの言ってたみたいだけど…」とお叱りを受けそうで、ちょっと怖いですね(苦笑)。

2021年春に開業した横浜の新名所「ヨコハマエアキャビン」の近くを散策する伊藤さん。押し歩きしながら、横浜までのツーリングを回想しC125の完成度の高さに思いを巡らせている様子でした。

スーパーカブC125の乗り味の秘密はリアまわりにあり?

画像5: ホンダ「スーパーカブ C125」インプレ(2022年)|新型は見た目やスペックでは分からない部分が大きく改善している!?【伊藤真一のロングラン研究所】

伊藤さんが気になったのは、リアショックやスイングアームが生み出す操安の印象、とのこと。「操安に関する比重は、リア側が占めているような感じですね。リア側の足まわりはしっかり作り込まれており、カブ独特の乗り味を生んでいるのだと思いました」(伊藤さん)。

余談にはなりますが、米国、欧州でも販売されるC125ですが、US仕様はスイングアーム両側に付くピリオンステップと荷台が、標準では備わっていない1人乗り仕様になっています。

画像6: ホンダ「スーパーカブ C125」インプレ(2022年)|新型は見た目やスペックでは分からない部分が大きく改善している!?【伊藤真一のロングラン研究所】

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