文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年1月28日に公開されたものを転載しています。
実用2輪EVのオサを、ベースにしている電動ブッシュバイク!!
CAKEの「オサ」は、EICMA2021で公表された"ワークシリーズ"の電動小型車です。そのシリーズ名が示すとおり、「仕事」に活躍する実用2輪EVというコンセプトから生み出されたモデルです。
そんなオサをベースにした「オサ+ AP」と「オサ フレックス AP」は、アフリカ大陸などのブッシュでの運用に最適したモデル・・・といえます。
シート下の、フロントからリアまで伸びるメインフレームのデザインは"ワークベンチ"から着想を得ており、クランプ式モジュールのオプション・・・カゴ、バッグ、ツールボックスなどを取り付けることで、オーナーの使い方に適した1,000通り以上の構成を選ぶことが可能になっています。
"オフグリッド・トランスポーター"というユニークなコンセプト!!
そもそもCAKEのAPシリーズは、SAWC(サザン・アフリカン・ワイルドライフ・カレッジ)との密接な関わりから誕生しました。まず密猟防止活動をするレンジャーのために、CAKEとSAWCは「カルクAP」を開発。2輪EVの長所である"静粛性"を活かし、密猟者に気付かれることなく接近できることがカルクAP最大の強みです。
さらに、SAWCなど密猟者と戦う人々の活動を支えるため、CAKEはアフリカなどのブッシュでの「ロジスティックス(兵站)」と「サスティナビリティ(持続性)」を考え、「オフグリッド・トランスポーター」というコンセプトでオサ APを生み出しました。
なおオフグリッドとは、電力会社の送電網に繋がらず、電力を自給自足する状態をさす言葉ですが、CAKEはAPシリーズの運用を電力網に頼らず、別売のソーラーパネルと充電ステーションを用意することで、既存の送電網に頼ることなくAPシリーズを走らせることを可能にしています。
一般論として、2輪EVは電力インフラが整った都市部にマッチした乗り物・・・というイメージがあるものです。また電力インフラが整備されていない僻地などでは、2輪EVとてもではないが使い物にならない・・・というイメージを持つ人も多いでしょう。
しかし、CAKEのAPシリーズは太陽光発電による"オフグリッド"電源で運用することを前提に開発されており、僻地で2輪EVを"オフグリッド"で使うことこそ効率的で、さらにカーボンニュートラルに対しても効果的な貢献ができることを実証している・・・といえるでしょう。
CAKEのYouTube動画の説明によると、ICE車10台編成のレンジャーを運用すると仮定したとき、トラック輸送のケースでなんと年間2万2,000リットルものガソリンを取引することになります。また輸送をヘリコプターに頼った場合は、その量は2倍になってしまいます。
つまり僻地で2輪EVをオフグリッド運用することは、現地まで燃料を運ぶ際に消費する化石燃料を実質ゼロにすることができるのです。そのことはCO2排出削減につながりカーボンニュートラル的にプラスであるとともに、さらに燃料代という経費を削減することができるメリットがあるわけですね。
APシリーズやそのアパレルなどを購入することで、密猟防止活動に貢献することができます!!
なおCAKEはAPシリーズの2輪EV3機種のほか、APアパレルラインのグッズを8種類販売しています。そして密猟防止活動をサポートするために、それら車両およびアパレルグッズの売り上げの3%はSAWCに寄付されることになっています(2022年1月末までは、売り上げの6%を寄付するキャンペーンを行なっています)。
CAKEのAPプロジェクトのマークには「サイ」が描かれていますが、SAWCがある南アフリカは世界のサイの8割が生息するといわれています。サイのツノを伝統薬(または媚薬)として売買するアジア市場を目当てにした密猟者の存在は、野生のサイを絶滅の危機に追い込む要因になっています。
CAKEとSAWCの取り組みによって2輪EVが密猟防止に貢献することは、広義の意味では2輪が社会のためになることの証明のひとつ・・・ということで、EVに一切興味ないバイクファンにとっても嬉しい事象に違いないと思います。彼らの密猟防止活動を、応援しましょう!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)