2021年は、2050年カーボンニュートラルに向けてさまざまな動きがあった1年でした。2022年はさらに"脱炭素"への歩みが加速していくことになると思いますが、2022年どうなるのかをみなさんが占う材料に・・・ということで? 10大ニュース(順不同)形式で2021年を振り返ってみました。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2021年12月31日に公開されたものを一部再編集し掲載しています。

6:東京都主催の2輪EVイベントが初めて開催されました!

12月4〜5日の2日間、東京国際フォーラムで開催された「EVバイクコレクション in TOKYO 2021」は、東京都環境局が主催だったことが注目されました。東京都はCO2を排出しない環境先進都市「ゼロエミッション東京」実現のため、都内で新車販売される2輪車を2035年までに100%非ガソリン化することを目指しています。

画像: 12月4日、「EVバイクコレクション in TOKYO 2021」での小池百合子都知事。跨るのはカワサキが展示した、2輪EVのプロトタイプです。写真:オートバイ編集部

12月4日、「EVバイクコレクション in TOKYO 2021」での小池百合子都知事。跨るのはカワサキが展示した、2輪EVのプロトタイプです。写真:オートバイ編集部

COVID-19感染対策で事前申請優先(定員制)だったにも関わらず、2日間で約3,300人が来場。会場の賑わいぶりからは、世間の人々が思いの外2輪EVに関心があることをうかがわせました。東京都が目標とする"2035年"まではあと約13年ほどですが、このイベントが啓蒙のために毎年開催されるのだとしたら・・・年を追うごとにその規模や盛り上がりは増していくことになるかもしれませんね?

7:MotoGPが、持続可能な燃料を使うことを公表!

11月24日、ロードレースの最高峰であるMotoGPは2027年完了というスケジュールで、使用する燃料を「持続可能」なものに切り替えていくことを明らかにしました。MotoGPを統括するFIM(国際モーターサイクリズム連盟)は、2024年までにMotoGPクラスの使用燃料成分の最低40%を非化石由来のものにして、そして2027年までにはその比率を100%まで高め、完全な非化石燃料化を達成すると公表しました。

画像: FIMが目指す持続可能燃料の導入は、MotoGPのみ・・・ではありません。Moto2、Moto3両クラスも2024年から持続可能燃料を部分導入し、2027年にはすべてのクラスで100%持続可能燃料化すると公表しています。 www.motogp.com

FIMが目指す持続可能燃料の導入は、MotoGPのみ・・・ではありません。Moto2、Moto3両クラスも2024年から持続可能燃料を部分導入し、2027年にはすべてのクラスで100%持続可能燃料化すると公表しています。

www.motogp.com

カーボンニュートラル化という潮流のなか、モータースポーツも今後一層、環境への配慮が問われることになるのでしょう。FIMによるMotoGPの脱化石燃料方針には、きっとほかの2輪モータースポーツも追従していくことになるのではないでしょうか? 

8:2023年からドゥカティが、MotoEのワンメイク車両サプライヤーに!!

2輪EVロードレーサーによる選手権「FIM エネル MotoE ワールドカップ」に、初年度の2019年からワンメイク競技車両を提供してきたイタリアのエネルジカが、2022年限りで撤退することが公表されたのは2021年10月のことでした。

そしてその直後、イタリアの名門ドゥカティが、MotoE用競技車両を2023年シーズンから供給することが発表されました。それまで本格2輪EV開発に関するニュースが全くなかったドゥカティが、エネルジカの後を継いでMotoEマシンを供給するというニュースは、多くの人を驚かせることになりました。

そして12月21日には、開発中のMotoEマシン試作車「V21L」の姿が公開され、その開発の進展ぶりが明らかになっています。この「V21L」で得たEV技術を活かした、ドゥカティ製公道用市販車が登場するとしたら・・・それは実現するとしてもちょっと先のことになるでしょう。2023年のことを言うと鬼も呆れるでしょうが(苦笑)、まずは2023年のレースデビューの日を楽しみに待ちたいです。

9:電動モータースポーツの発展は、オフロードレーシング業界が牽引!?

長距離のラリーやエンデューロを除く、モトクロスやトライアルなどのオフロードレーシングのジャンルは、現代のバッテリー技術でも使用に耐えうる2輪EVを作ることが可能です。2021年はそんなオフロード競技をベースにした、2輪EVレースが活性化しはじめた年と言えるでしょう。

今日のISDE(国際6日間エンデューロ)と、その前身であるISDT(1913〜1979年)は国別の代表選手により競われることから「モーターサイクルのオリンピック」と呼ばれていますが、ISDTの時代は特に、量産モーターサイクルの耐久性・実用性をテストする場として(日本を除く)世界の多くのメーカーから重要視されたイベントでもありました。

近い将来、ワンメイク方式ではない2輪EVのオフロード競技が順調に発展していったら、2輪EVを製造するメーカーが「実験場」としてそれらイベントを活用するようになるのかもしれませんね? ともあれ、2022年度も2輪EVのモータースポーツはオフロード系が発展の牽引役となりそうです。

そもそもオフロードレーシングは全般に、運用コストが高いロードレースより参加のハードルが低いのが特徴です。この先、電動時代になってもオフロードがモータースポーツ事始め・・・というライダーが多いという状況は、世界的に変わらないのかもしれません? 個人的には将来のMotoGP(およびMotoE)レーサーを育成する、手軽で高性能な電動ミニバイクの登場を期待したいです!

10:多くの軍隊が、軍用車両としての2輪EVのポテンシャルに注目!?

便利なモノ・・・に注目するのは私たち市井のライダーだけではありません。近年、世界各国の軍隊が、主に偵察用の車両としての2輪EVを研究、および配備するのがブームになりつつあります。

ICE車のように高熱や排気音を発したりしない2輪EVのステルス性能の高さは、偵察の任務にはピッタリの特徴と言えるでしょう。軍用車に搭載してラスト数マイルの偵察に使用したり、輸送機に搭載して兵士とともにパラシュート降下させ、地上での移動手段に活用したりと、戦場などで2輪EVが活躍できる場面は数多くイメージすることができます。

一方、戦争以外での偵察業務・・・アフリカ大陸で密猟を防ぐ活動をしているレンジャーの足にも、2輪EVが活用されている例もあります。警察車両などに2輪EVが普及したら、そのステルス性能の高さから、追尾されていたとしても気づかなかったりすることがあるのかも・・・? 

画像: 2021年10月にSAWC(サザン・アフリカン・ワイルドライフ・カレッジ)のレンジャーに提供されたカルクAP特装車。CAKE=ケーキとSAWCは共同で、密猟者パトロール用のカルクAP特装車を開発。ICE車よりもはるかに静かな2輪EVの特性を活かし、気付かれることなく密猟者に接近できるのがこの特装車の強みです。 ridecake.com

2021年10月にSAWC(サザン・アフリカン・ワイルドライフ・カレッジ)のレンジャーに提供されたカルクAP特装車。CAKE=ケーキとSAWCは共同で、密猟者パトロール用のカルクAP特装車を開発。ICE車よりもはるかに静かな2輪EVの特性を活かし、気付かれることなく密猟者に接近できるのがこの特装車の強みです。

ridecake.com

2022年もよろしくお願いいたします!

2022年もLawrenceは、2輪EVなどカーボンニュートラル関連の話題を、みなさまにお届けしていきたいと思います。よろしくお願いいたします!

文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)

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